那覇坂下通りを下り途中の道を左に曲がり道なりに行くとやちむん通りに突き当たった。古民家の琉球瓦特有の屋根が連なる景観が綺麗だ。こうした景観が那覇のアイデンティティだが、現存しているところは僅かだ。
那覇も沖縄復興の過程で本土同様のつまらない都市景観になってしまった。そこには社会的な関心がスポット的だという美意識上の問題がある。一つの建物が美的であればよいのか、それともヨーロッパのように建築の連なる街並みとして美的であればよいのかという選択肢があるだろう。日本は当然前者といわざるを得ない。「はい!、これは古いから残しましたよ、あとは土地の有効利用で開発しました」という意識であれば残る手段は残された観光資源をスポット的にして売りさばくことしかないだろう。どこか日本の観光戦略は、スポット的に縛り付け、他はみないでくれという意識があるのだろうか。そうなると陳腐化である。観光戦略というのは、陳腐化した資源だけをみてあるくツアーでしかない。
だからガイドブックにも載っていない横町を曲がってみようという探検心や意識が活きてくる。つまり観光という言葉以前に探検するという概念があったのだろう。あなたは街の観光客なのか?、それとも探検者なのか?、そう問われているようにも思われる。その探検者が探し出したところも近年ではWEBで隠れた名所として紹介されているが・・・。
そんな街でも背中に熱い日差しを浴びながら、機材をもって徘徊していると結構面白い風景にぶつかることがある。そのうち暑さで体が衰弱してくると、そんなのはどうでもいいかという気力喪失状態になり、ほうほうの体で涼しいところへ逃げ出す。自然現象には逆らえない、それが沖縄の街歩きだ。
那覇市
NikonAW130,ISO125,焦点距離25.8mm,露出補正0,f/4.9,1/800