Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

京都暮らし261. 冬の小さな旅33.

2010年03月19日 | Aomori city

 酸ヶ湯から背後の丘にあがると八甲田山が燦然と姿を現す。言い換えれば酸ヶ湯温泉は、丘の窪みに八甲田山から隠れるように構えている。多分火山だから、万が一の時を警戒しての建築的身の構え方である。それは、日本の集落が風土的了解の姿をとってきた姿と類似している。
 そんな話は置いといて、私は八甲田山の美景を楽しんでいた。ここから数キロ程のところでは、明治期に青森第5連隊の雪中行軍で200人以上の屈強な兵士が吹雪の中で遭難した事件が起きている。八甲田の気候は大変厳しい。
 私が車に乗っているときに「来た!」ということばに眼を前にこらすと、フロントガラスを目がけて大きな白い塊が静かにやってくる。地吹雪である。乳白色の地吹雪に囲まれると、周囲はおろか自分の足下すら見えなくなる。こうなると暫く車を停めておく他ない。天気がよければ地吹雪は10分もすれば通り過ぎてゆく。そんな気候の変化をドラスティックに感じさせてくれるところが、八甲田の面白いところである。
 そして5月下旬の新緑の頃になれば、まだらに雪が残る紫かがった八甲田山と青森の緑は大変美しい。あたかも信州の高原にいるような風景である。緯度が高い分、気候条件が近いのだろうか、それ故に植生も類似してくるのであろう。
 これが北海道に渡ると植生がガラッと変わり、大陸ですなぁーという風景になる。だから青森県は、典型的な日本の植生の北限だと個人的感覚では理解したいと思われる。雪かきをしないよそ者の無責任な立場から言えば、特に冬の雪が降った青森の風景は大変美しいと思う。

青森市,酸ヶ湯温泉,撮影日2006年3月4日
EOS Kiss Digital ,SIGMA18-125mm/f3.5-5.6.
シャッター:1/1250,絞りf18,焦点距離125mm,ISO400.

コメント
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