道元禅師 「学道用心集」 のお示しの中にある言葉です。
「仏道を修行する者は、先ず須(すべか)らく仏道を信ずべし、
仏道を信ずる者は、須らく自己本(元)道中に在って迷惑せず、
顚倒(てんどう)せず、増減なく、誤謬(ごびゅう)なしということを
信ずべし、是の如きの信を生じ、是の如きの道を明めて、
依って之を行ず、乃ち学道の本基なり」
「自己本道中に在って」 ということは、既に私たち衆生の煩悩、不安、
焦燥、怒り、愚痴というようなものは全部、そのものが既におシャカ様や
歴代の覚者の説かれる、「道」 である、「法」 である、「禅」 であるということを
まず信じなさいということです。
そして仏道だけに見られる修行ですが、
「一応信じて、そしてその信をなくする」
ことです。
他の宗教は、おそらく 「信」 ということが、すべてです。
仏道は、はじめは「信」に従って道を求め、そしてその
「信」 をなくすることによって、「道」 も 「法」 も 「禅」 も
「悟り」 も 「迷い」 もなくなるという教えです。