活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

おシャカ様の驚き

2016年04月01日 | おシャカ様

おシャカ様の 「悟り」 を開かれる直近の様子は、何もかも自分でも訳が分からなかったのです。

分からないほどに其の物と親しかったのです。

 

別の言葉で言えば、「一つに成っていた」 のです。

そして、「一つに成っている」 という事すら分からないほどに、

自分も何もかも存在しなかったのです。

「死に切っていた」 ということです。

 

それが、「縁(夜明けの明星)」 に触れて、「ポッ」 と 「一念」 が起きた途端に、

「アッ」 と驚いたのです。

 

「驚くほど確かな事が自分に行われていた」 のです。

「今まで要求していたものが、何だ、初めからちゃんとしていたではないか」

ということなのです。

 

その様子を有名な 「華厳(けごん)経」 の中で

「奇なる哉 奇なる哉 我今普く一切衆生を見るに

如来の智慧、徳相皆具足す、唯妄想執着を以っての故に證得せず」

と、宣言されたのです。

 

「奇なる哉 奇なる哉」 とは、「何という事だろう」 という意味です。

「ちゃんと誰でも救われていたではないか」

ということが、はっきりなさったのです。

 

「人の念が生ずる」 と、それによって 「迷い」 というものが起きるという事が

はっきりしたのです。