逸話1
ある金持ちの老人が、
“金がいくらあっても死んでは何の役にも立たぬ、せめて百年行きたい。
御祈祷を願います。”
と、良寛和尚に言いました。
良寛和尚曰く、
“それはいと易きことじゃ”
と。
老人は願いが叶うと聞いて悦び勇んで
“いかに心得たらよいですか”
と問いました。
良寛和尚曰く、
“只今を百年と思わっしゃい、但し、千年とて万年とても思うには
差し支えは無い、御注文通りである”
と。
時間も空間も今より外になんにもないのです。
今ならぬ人はいないのです。 今ならぬ国もないのです。
私たち衆生は確かに、「不老」 です。
老人は忽ち「大悟」してお仲間入りが出来たということです。