▼20日、函館市民会館で、函館市町会連合会主催の「大間原発建設凍結市民集会」が行われた。3度目の集会だが、来賓には民進党衆議員逢坂誠二氏と、自民党衆議員前田一男氏の二人が出席した。
▼18日には、戦後最大級と思われる「衆議院解散台風」が吹き始め、19日には、北朝鮮ミサイルに対抗する迎撃ミサイル、パトリオットが函館市内に配備された。市内は騒然とした状況での、民進と自民の呉越同舟の場面で、雨上がりの会場の熱気もMAXに達した。
▼司会は原発担当の私だが、両議員の全身からは、いつも感じない殺気がみなぎっているような気がした。こんな状況下で、来賓あいさつとなれば、話が長くなるのが普通だが、今回は5分と制限し、ぴったり守っていただいた。さすが我が選挙区の議員だと、そこはいつも関心する。
▼逢坂氏は「核燃料サイクルが進まずプルトニウムが大量に保管されているのは、海外から見ても安全保障上問題がある」と、大間原発建設中止に意欲を示せば、前田氏は、函館市が国に対して建設凍結の訴訟を起こしているが、そんな不利な状況下で、予算の獲得ができるのは政権与党の私だ」と主張し、舌戦を繰り広げた。
▼対抗する二人の議員が出席するのも、町会連合会という市民最大組織のなせる業のように思う。函館市長は、様々な原発反対団体に公平を期すため、このような集会には出席しない旨を公言しているが、町会連合会の集会には、防災トップの総務部長を出席させ、市長のメッセージを読み上げている。
▼今回の講演は、福島原発事故現場に近い、浪江町商工会長の原田雄一氏だ。今年3月末に避難解除が出たが、帰還率は1%だという。商工会という立場で、原発による交付金をあてにし、当初は賛成したが、コミュニテーが崩壊してしまっては、商売どころではないと語る。原発を誘致して、故郷を追い出されたという言葉が強く心に残った。
▼テレビでは、72年前に敗戦国だった我が国の総理が、国連で北朝鮮への制裁を声高に演説するのを観て「虎ンプ大統領」とは兄弟の杯を交わし、アメリカ組の傘下に入ったのではないかと、目を疑う。さらに、所信表明もせず解散とは、全権委任法を行使する「ヒッ虎ー総督」のようにも見える。国会を愚弄どころか、国民を愚弄した総理だ。
▼などと、ネズミ年の私がいくらほざいても、解散選挙という大型台風の水害で水攻めにあいそうだ。号令は発せられたので、我が8区の予想を立ててみる。2009年は逢坂氏で、2012年は前田氏だ。前回の2014年は、逢坂氏が返り咲き、前田氏が比例で当選するという激戦区だ。その差、僅か6,394票だ。そこに共産の原田氏が17,465票を獲得している。
▼前田氏の敗戦の弁は「大間原発にやられた」と記憶している。選挙の年の4月、函館市は大間原発中止を求めて国に提訴した。そこで、市町会連合会も、原発中止署名を12月1日から行うことになっていた。ところが、解散選挙の公示が12月2日だという。「自民VS民主」の激戦が予想されたので、署名は選挙終了後に変更された。この変更には、自民党シンパが素早く行動したのは事実だ。
▼反対署名は14万6184筆になり、国と大間原発本社に届けられ、函館市町会連合会の名が全国に知れ渡った。もし、署名活動が先行していたら、自民の前田氏はもっと票を落としたに違いない。
▼今回の選挙で、民進と共産が共闘を組んだら、8区の共産は候補を見送るという可能性が出ている。アベ総理への批判が前面に出ると、前田氏は窮地に陥るだろう。さらに、パトリオットの町中配備は、自民批判につながる。今回の前田氏の応援演説は、温厚そうな顔に見え、女性に人気がありそうな、小野寺防衛大臣かもしれない。
▼『大間原発とパトリオットのない函館』が、今回の8区の選挙戦の最大のテーマになれば、勝敗は見えるような気がする。
▼占いの嫌いな私が占っても、当たる確率はほとんどない。今まで随分投票に行ったが、書いた候補が当選した確率は、私の場合相当少ないからだ。