▼戦後70年の昨年、我が国は憲法第9条があるにもかかわらず、自国から出て戦争が出来る、集団的自衛権を行使を可能うとした安保関連法を制定した。自民党創設以来の念願だった憲法改正。憲法学者ばかりではなく、義務教育を終了した日本国民なら誰もが判断できる、憲法違反をアベ総理は犯してしまったのだ。法が成立してしまっては、もはや違憲ではない。裁判所では、正義の規準として判断されることになる。なぜ正義の規準を変えてしまうほどの変化が、我が国で起きたのだろうか。
▼憲法制定70年の5月3日。テレビも新聞も、総力をあげその解明をしなければならないはずが、反アベ政権への強烈なメディアの総攻撃は、足並みが揃わないばかりか、すでにその戦力はアベ総理により、分断させられ弱体化してしまったのではないか。そんなメディアの敗北感を見せつけられたような、今回の憲法記念日である。私といえば片田舎にいて、ユーチューブで、ある評論家の講演会を観ていた。
▼「自民党に天罰を、公明党に仏罰を」と講演者は叫び、聴衆の鬱憤を晴らす。もはや神仏頼みにしか、平和を頼ることが出来ない我が国に、無力感と同時に、一抹の寂しさを覚えた。そんな国民を尻目に、アベ総理は外遊に出かけた。ヨーロッパではテロ対策について、次期日本でのサミットでの、合意形成をしようとしているようだ。今回の大きな目的は、ロシア首相との「北方領土返還交渉」である。ほとんど無理と思われる領土交渉に挑戦するアベ総理こそ、我が国の誇りではないか、などと思う国民も増えてきそうである。
▼最近のアベ総理の行動は、評価に与えするものが多い。7月の天下分け目の戦いと言われる参議院選挙の前哨戦である、北海道5区の衆補選も、適切な布陣で勝利を収めた。その間総理は、熊本県の地震の陣頭指揮にあたり、自衛隊、警察、消防などの大部隊の派遣、オスプレイ導入で日米安保の協力体制の強化を発揮した。一国の総理としては及第点だ。
▼今回の日ロ会談で、ロシア首相の来日ぐらいは取り付けて、5月の伊勢志摩サミットに望むのだろう。衆参同時選挙は、まったく眼中にないと言われるが、戦いは“勢い”である。この千載一遇のチャンスを、果たして逃すだろうか。「米国の大統領が誰になっても私の考えは揺らぐことはない。我が日本の国民の生命と平和を守るのは、アベ政権以外にありません」と総理が叫んだところで、私も拍手する寸前で、これは夢の中だと気付いた。危うく拍手をして、朝弱い妻を起こすところだった。
▼米国のトランプ候補。中国の習さん。北朝鮮の若大将。ロシアのプーチンさん、それに大日本帝国のアベちゃんである。世界はつかみ所のない男たちで、つかみ所のない地球に変貌しているような気がする。
▼今朝は、新聞が休みだ。新聞記者たちも、つかみ所のない男たちに振り回されて、疲労困憊しているに違いない。十分に鋭気を養い、国民を戦争のない国へと、誘導してもらいたいものである。