▼1000兆円を超える我が国の借金、その現実的でない数字に麻痺しているわけではないが、膨大過ぎて全く実感が持てないというのが、国民の素直な感情だ。消費税が我が国で初めて導入された時、旧大蔵省の官僚が「消費税は一旦始まったら麻薬と同じで、止めることが出来ない」と言った言葉を思い出す。だが、先日函館で講演をした稲田朋美自民党政調会長が、消費税の10%引き上げは、経済情勢の見極めが必要と、躊躇する姿勢を示した。7月の参議院選挙への影響を考え、国民の消費税アップに懸念する気分を和らげる、煙巻作戦かもしれないが、経済政策の不安定要素を垣間見せた発言のようだ。
▼閣僚の不穏当発言や議員の不祥事で失墜状態にある自民党、内閣指示率が7%落ち込み「46,7%」になり、不支持率も「38,9%」に増えた。だが、民主と維新の党の合流については、賛成が「20,9%」で、反対は「65,9%」なので、安倍政権としては警戒感はあるものの、まだまだ余裕をかましているに違いない。ただ、日銀のマイナス金利について、期待できないが「82,2%」の高い数字を示している。堅実な日本人の気質では、金利がマイナスというのは、破れかぶれの政策のような気がして、不信感を持たれているのだろう。
▼作家司馬遼太郎と劇作家井上ひさしの対談集「国家・宗教・日本人」の中に「近代戦においても最後は合理的な兵学思想を捨てて、成算のないところへその場の雰囲気で踏み切ってしまうことや、あるところまで客観的に見ていたのがパッと主観的に切り替える癖が日本人にありそうな気がする」と話している。戦いにおいても「30%の死傷者がでたらやらないが、ノモンハンでのロシアとの戦いでは、70%セントでも退かなかった。70%といえば、現場では全員死でいるというイメージだ」と話している。最後には「気力」でという、日本人特有の感情で処理してしまうことになるようだ。
▼日銀のクロダ総裁も、マイナス金利は世界でも通用している国もあるので、我が国でもという捨て身の政策ではないかという感じがする。つまり我が国の経済死傷率は、70%を超え降参が望ましいが、いくらなんでも天下の日銀が降参はみっともないから、後は気力でという感じが国民に見透かされているのではないだろうか。景気の上昇は「気」を盛り上げることだというが、マイナス金利政策に期待できないという気分が、国民の「82,2%」に広がっているのは、既に負け戦かもしれない。
▼アベ政権は、外交や経済は、軍事力強化で補うという姿勢らしい。結局は原爆が投下されるまで、果てしなく国民を苦しめ続けた歴史を思い起こさせる気分だ。これは日本人の「性」なのだろうか。司馬さんはその思考の素地には「絶対」という観念があるからだという。「アベノミクスは絶対有効です」。「マイナス金利政策は絶対大丈夫です」という「アベ・クロ」の、もはや自信の欠片さえない、我が国の「疲ーロー」たちの?顔が浮かんでくる。
▼21日の、NHKテレビ「新・映像の世紀」を観た。60年代、若者たちの反乱が、世界を変えていった。ほとんど第一線からリタイヤした団塊世代だが、その全員が、ある日国会を取り囲む。・・・「安保関連法案・反対」、「原発再稼働・反対」そんな中に参加している、若き日の自分の夢を見たいものである。