大関琴欧洲が久しぶりで自分の相撲を取りきり、初優勝を成し遂げた。
11日目の横綱朝青龍戦、がっぷり組んで下半身が安定した彼は、いつもの琴欧洲とは違う相撲を、はっきり土俵の上で見せていた。
その違いと言うのは、今までは外国人の相撲を取っていたのだ。
体の大きさと力だけの「ウドの大木」のような相撲である。しかし今場所は、日本相撲の精神を、身体にたたみ込ませた内容であり、見ていて安定感を与えてくれた。
モンゴル相撲出身の両横綱は、相撲道に対しては下地が出来ているので、横綱の資質といわれる「心・技・体」は、会得しやすい環境にある様に思う。
しかし他の外国人相撲は「体」のみで「心と技」がそなわり難いと、私は日頃考えていた。
全勝で迎えた13日の安美錦戦、2度の仕切り直しに、狼狽振りが大関の顔にあらわれるのがわかった。相手に「心」を完全に飲み込まれているのである。長年相撲を観戦していると、こんな時の結果はおおよそ見当がつく。本人が一番口惜しがる負け方をした。
次の日の対戦相手は、相撲界きっての曲者、安馬である。しかし一眠りした後の大関には「心」が戻っていた。千秋楽の千代大海戦も堂々とした「心・技・体」の相撲を見せ、初優勝を飾った。
場内で観戦していた、大きな体の父親が振る小さなブルガリア国旗が「よく辛抱した」と声援を送っていた。
しかし、最後の両横綱の大一番が情けなかった。
負けて土俵に手をついた白鵬に、さらに駄目押ししようとしたのを白鵬がそれを払いのけ、二人が土俵中央でにらみ合ったのである。
その時の二人には、もはや横綱と言う人格の欠片さえ見えなかった。「心・技・体」がバラバラになった、ただの裸の男が土俵の上に立っていただけにしか見えなかった。
両横綱も後で反省をするであろう。琴欧州にはこの場面を心に焼き付け、立派な横綱をめざして欲しい。
外人勢が上位を張る日本の相撲界、寂しい気持ちはぬぐえないが、外国人力士であっても「心・技・体」を兼ね備えた、歴史に残る立派な横綱の登場を期待したい。
2メートル2センチの豪快な土俵入り、ぜひ拝見したいものである。
11日目の横綱朝青龍戦、がっぷり組んで下半身が安定した彼は、いつもの琴欧洲とは違う相撲を、はっきり土俵の上で見せていた。
その違いと言うのは、今までは外国人の相撲を取っていたのだ。
体の大きさと力だけの「ウドの大木」のような相撲である。しかし今場所は、日本相撲の精神を、身体にたたみ込ませた内容であり、見ていて安定感を与えてくれた。
モンゴル相撲出身の両横綱は、相撲道に対しては下地が出来ているので、横綱の資質といわれる「心・技・体」は、会得しやすい環境にある様に思う。
しかし他の外国人相撲は「体」のみで「心と技」がそなわり難いと、私は日頃考えていた。
全勝で迎えた13日の安美錦戦、2度の仕切り直しに、狼狽振りが大関の顔にあらわれるのがわかった。相手に「心」を完全に飲み込まれているのである。長年相撲を観戦していると、こんな時の結果はおおよそ見当がつく。本人が一番口惜しがる負け方をした。
次の日の対戦相手は、相撲界きっての曲者、安馬である。しかし一眠りした後の大関には「心」が戻っていた。千秋楽の千代大海戦も堂々とした「心・技・体」の相撲を見せ、初優勝を飾った。
場内で観戦していた、大きな体の父親が振る小さなブルガリア国旗が「よく辛抱した」と声援を送っていた。
しかし、最後の両横綱の大一番が情けなかった。
負けて土俵に手をついた白鵬に、さらに駄目押ししようとしたのを白鵬がそれを払いのけ、二人が土俵中央でにらみ合ったのである。
その時の二人には、もはや横綱と言う人格の欠片さえ見えなかった。「心・技・体」がバラバラになった、ただの裸の男が土俵の上に立っていただけにしか見えなかった。
両横綱も後で反省をするであろう。琴欧州にはこの場面を心に焼き付け、立派な横綱をめざして欲しい。
外人勢が上位を張る日本の相撲界、寂しい気持ちはぬぐえないが、外国人力士であっても「心・技・体」を兼ね備えた、歴史に残る立派な横綱の登場を期待したい。
2メートル2センチの豪快な土俵入り、ぜひ拝見したいものである。