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秋晴れ!夏の余韻の残る暖かな日差しと、それを心地よく冷ます爽やかな風。晴れ渡る水色の空はどこまでも高く宇宙まで続いる。一年の内で今一番気持ちの良い季節だと思う。
空を泳ぐ鰯雲に従って、近所を散歩。住宅街を抜け、田園にさしかかると、ついこないだまでは青色だった野山の風景が、秋色に染まり始めている。田んぼは穂先が黄金色に変わり、その畦を彼岸花が赤く縁取っていた。青空に映え、彼岸花の艶めかしい赤に魅せられて立ち止まる。
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なんて美しい花なんだろう。
まるで美女の睫毛のように魅惑的にのびる長い雄蕊、その唇のように艶めかしい朱赤の花弁は誘うように、じらすように可憐に花開く。
葉もなく地面からまっすぐにすっと立ち上がる姿は凛として美しく、なんとなく和服の女性を連想する。気品溢れる美しい女性、手が届かないと重うと同時にどうしても手に入れたくなる、そんな女。その姿に強い羨望と少しの嫉妬を感じたりする。だって、その内のなにひとつ私は持ち合わせていないから。
私を花に喩えるなら何だろう。同じ畦に咲く花なら野菊ってところか。んー、お民さんかぁ。しかし女ならば、もっと豪奢に生まれ育ちたかったな、この花のように。そしたら今頃セレブな豪邸でモヒートを傾けつつ、赤いドレスを着てタンゴでもくるくると踊っているだろうか。長い睫毛越しに見る世界は紗がかかったように淡くきらきらとして見えるに違いない。
そんな妄想に頭を満タンにしていたら、お腹が空いてきた。
気が付いたら随分遠くまである手来てしまった。さぁ、帰ってお昼にしようと、鰯雲に背を向けた。
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