夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

私だけのハッピーエンディング。

2012-01-17 00:06:45 | 映画
今日は書くことが思いつかないので、先月観た映画(アメリカ)の感想を。

広告業界で働くアラサー女性、マーリー(ケイト・ハドソン)が主人公。口が達者な癖に、本音や本心は隠して生きている。男友達はいるが、本気の恋はしない。

母と父は不仲で別居。父には、20年前に、「生まれてきてよかった。あなたの娘であることを除いて」などと言い放ったことがある。ある日、顔色の悪いのを過労と友人に心配され、病院で検診を受けたところ、末期の大腸ガンで余命いくばくもないことを知る。若く優秀な担当医師のジュリアン(ガエル・ガルシア・ベルナル)の治療を受け、闘病生活を送るうちに、互いに愛し合うようになる。

友人のサラやレネーなどとの友情もよく描かれていた。二度、あの世に行きかけて神様(ウーピーの姿で現れる)に会うシーンが面白かった。

本気で恋して傷つくのが怖いから恋人を作らなかったのが無意識の本心だったことがわかったとき、本当に人は表面的な言動からだけでは理解できないと思った。

そういう、一見、陽気でおしゃべりで裏がないように見えて、両親の不和(父親が浮気して母を捨てた)がトラウマで恋に臆病になっていたような複雑さも持ち、死を前にしても勇敢である一方で、不安から当たり散らしたり、起伏の大きな人物像をケイト・ハドソンがよく演じていた。

最初は、とても共感できない女性だし、お世辞にも美人とはいえないので、どうかなという印象だったが、理解が進むにつれどんどん好きになっていった。また、自分が余命わずかと宣告されたときにどう反応し、どう行動するか。彼女のようにハッピーエンディングを迎えられるのか、考えさせられてしまった。

明日は仕事の後、神戸行き。また記事を書きます。

センター試験2日目。

2012-01-15 22:43:36 | 教育
今日は、センター試験を受験する生徒の引率で、朝から会場のS大に入る。昨日もそうだったが、1月中旬とは思えない暖かさで、今年の受験生はツイているように思う。(ただ、全国的には雪の地域もきっとありますよね。)


本校の教員の引率は、私の他に3人。また、陣中見舞いにT先生、W先生と教頭が来られ、差し入れをいただいた。ちなみに、あとのお二方の差し入れは、共にH十字のワッフルとこだわりシュークリームで、あまりの偶然の一致がおかしく、みんなで笑ってしまった。


生徒が待機場所にいる間はそちらに行って試験の出来具合や感想を聞いたりするのだが、試験時間は暇なので、教員同士で雑談をする。お酒の席でない時の教育談義も、とても有意義なものである。特に、私は文系なので、理系の先生方の話を聞くと、基本的に物の見方や発想自体が違うことがわかっておもしろい。


……と、これを書いていて思い出したのだが、数年前のやはりセンター試験引率時のこと。1日目が終わった夜、生徒が全員帰って、我々教員もそろそろ帰ろうかと駐車場に向かった。翌日雪が降った、その前触れか、夜空の満月に暈(かさ)がかかり、さらにその暈の輪を飛行機雲が斜めに貫いていた。私はその光景を見て、単に(ああ、明日の天気ヤバイかも…。)くらいにしか思わなかったのだが、数学のT先生が、
「こういうのを見ると、直線で切り取られた円の面積を求めたくなりますね」
と言い、それを聞いた物理のH先生が、
「うん、さらにその円を回転させて、切り取られた球の体積を求めたくなるな、」
と言ったので、私は爆笑してしまった。職業病、とは言わないけど、理系の先生は根本的に世界の見え方そのものが違うのかも、と思ったことだった。


明日はセンター試験の自己採点と、予備校各社へその成績・志望大学を記入して発送する作業がある。生徒が、いい点を取れていることを祈る。

今年のセンター国語は、現代文がいまいちだと思うのですが…。(ぼやき)

2012-01-14 22:33:10 | 教育
センター試験1日目の今日は、暖かく穏やかな天気で、受験生にはよかったのではないかと思う。昨年は非常に寒く、試験会場だったS大の中庭の池が凍って、噴水からもつららが垂れ下がる状態だったのを覚えている。


午前中は学校で授業をし、昼食後、I先生と入試問題作成についての打ち合わせ。


それから、センター国語の試験が終わる前に、本校の生徒が受験している会場のS大に急ぐ。ここは本校ともう一校しか利用していないので、静かに受験させることができて、ありがたい。岡山大学のように、広くて何校もの生徒が受験しにくる会場だったら、引率の先生方も大変であろう。


教員の待機場所に着いて、本校の引率の先生方と談笑していると、国語の受験を終えた生徒達が帰ってくる。持参の菓子を渡しながら、感想を聞く。また、T君に問題冊子を借り、学校に帰って国語科の教員分コピーする。その後、自分でも問題を解いてみたが、評論が思いのほか内容が理解しにくく、正直解いていて気持ちがくじけそうになった。小説は問3で落としたが、傍線部と選択肢の記述を対応させよ、という自分が普段教えている通りにやれば、「深い吐息→落胆」、「とがめる→非難する」の対応で⑤を解答できたはず。アホなことをした。古文は問3で①か②か迷った挙げ句、傍線部X直後の「おほけなし」の語義に引かれて①を選んで失敗。記述問題と違い、マーク問題はオールオアナッシングなのが怖い。漢文は問7の表現上の特色を聞くところが難しいが、基本的には良問だと思う。個人的には、近年の新傾向設問が消えてくれたのが嬉しい。


今年の問題を解いてみて、改めて現代文の難しさを感じた。自分の読解力・解答力もまだまだ足りない。また一方で、もっと集中力を高め、選択肢の記述の微妙な表現を見極めるカンの働かせ方を磨かないといけない。明日からまた勉強だ。


生徒にはとりあえず、2日目もがんばってほしい。明日もキットカットを持って(最近は応援メッセージ入りのがあるんですね)励ましに行こう。

ブレイクスルーの機会は、日常にある!?

2012-01-13 23:43:47 | 教育
明日、センター試験の引率に行かれる先生の代理で、急遽1年生の授業に2時間連続で行くことになった。模試の過去問の解説をすることに決め、今日のうちに問題を解かせて回収。自分でも問題を解いて自己採点の後、生徒の答案の採点をし、教材研究に入る。1年生の問題なのに、選択肢問題で間違えたり、記述問題で解答要素が不足していたり、教員としてかなり恥ずかしい。でも、生徒と同じ立場で、まず問題を解いてみないと、どこで生徒がつまずくのか、実感として理解することは難しいので、どんなに忙しくても、この作業は必ずやることにしている。


それに、自分もそんなに大したことがないのが分かっていれば、生徒ができていなくても偉そうに叱ることもない。自分だって、高校生だった頃、模試を受けてもあまり得点はとれていなかったような気がする。


私の授業のスタンスは、「自分が高校生だったときに、こういう授業を受けられていればよかったな」というところにあるので、そんなに志が高いわけではない。

ただし、教材研究と授業準備はなるべくきっちりやって、文章の筆者や出題者の意図を解き明かし、自分にできる最もシンプルでわかりやすく、しかも美しい形で授業として提供することを心がけている。


今回の教材研究は、ポストモダンがテーマの手強い評論で、気しんどい作業が予想されたので、喫茶店に入って自分にケーキセットのご褒美を与えながら、黙々と作業をこなしていった。タイトルの理解、テーマ解説、段落分け、意味段落毎に内容をまとめ、設問解法の指示など基本は一通り押さえた上で(言うまでもなく、この問題にしか使えない解法は意味がないのだ)、あとはどれだけ生徒に興味を持たせられるかだ。


自分が問題を解く時に必要な理解と、自分より未熟な生徒に教えるために必要になる理解とは、次元が異なる。授業で教えるためには、基礎基本を徹底した教材研究によって、ブレイクスルーする経験が必要だ。ブレイクスルーというと、何か特別のことのように聞こえるが、私は、だから、その機会は日常に不断にあるのだと思っている。


明日は、いよいよセンター試験。国語は、どんな問題が出るのか楽しみだ。







プロとは何ができる人のことか?

2012-01-12 23:13:27 | 教育
以前、遠藤功さんの『「見える化」勉強法』を読んだときに書いてあった。

皆さんはおわかりになりましたか?



プロとは不断の勉強ができる人、なのだそうだ。土台としての基本的な勉強を地道に積み重ね、基本的な力をつけなければ、「感じる力」は高まらない、とも書いてあった。


同じ仕事を十年以上続けてきて、最近、「直観」の大切さを痛感するようになった。日々変化するビジネスシーンや、突発的な事件に対応するためには、論理的思考によらず、直観、直感で対処しなければならないことも多い。まず、直観(感)で判断して行動し、後から論理的説明が付いてくることの方が多いかもしれない。教育現場では(授業でも)想定外のことが常に起こるからこそ、基礎基本が大事なのだと思う。これができていないと、目先の状況に条件反射的に無原則で対応して状況を悪化させ、周囲にも迷惑を及ぼすことになったりする。


自分自身の資質として、決して教員への適性が高いとはいえないと思う。しかし、それでもなんとか今までやってこられたのは、倦まず厭わず基本を続けてきたことの蓄積が、自分の第二の天性となって、自分を支えてきてくれたからだと思う。そんな、過去の自分の頑張りに、最近では感謝することがしばしばある。