夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

やがてまぎるる

2017-07-06 23:21:41 | 日記
今日の源氏物語の授業では、学生が「若紫」巻から、光源氏と藤壺との密通の場面を取り上げて発表するというので、こちらもそれに合わせての準備が大変だった。
昨年、市民対象の源氏物語講座でこの場面を扱ったことはあるが、学生相手にどう説明したらよいのやら。
内容的に難しいのもあるし、源氏と藤壺の密通は、源氏物語最大のタブーというのもある。

授業プリントを作ったり、どう教えるかで悩んだりしているうちに、結局研究室で夜を明かすはめになってしまった。


徹夜明けの毎度のパターンで、吉○屋で朝食を済ませて自宅アパートに帰り、1時間ほど仮眠をとった後、無情な目覚まし時計のベルで起き、身支度を整えて出勤する。
しかし、この経緯が、後で授業の際に役立つことになろうとは思わなかった。

授業中、光源氏の歌に、

  見てもまた逢ふ夜まれなる夢のうちにやがてまぎるるわが身ともがな

とある、その「夢の中にそのまま紛れることのできるわが身であったらよいのに」というところが、解釈が難しいですよね…。
という話をして、今朝のことを思い出した。

学生に事情をしかじかと説明した後で、
「目覚ましの鳴ったときには、このまま夢の中にまぎれこんでしまえたら、と本気で思った。しかも、そのとき甘~い夢を見ていた(内容は秘密)ので、なおさら、自分がこの夢の中にまぎれて現実に戻りたくないと思った。」
と話したら、学生たちが笑っていた。

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