テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 虫たちよ、鈴々と歌へ ~

2017-10-31 22:12:10 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 はッぴきィ~はろうィんッ!」
「がるる!ぐっるーがるるぅる!」(←訳:虎です!ハッピーハロウィン!)

 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、ハッピーなハロウィンをお過ごしでしょうか?
 私ネーさは美味しいカボチャプリンをいただきましたので、
 仮装もパレードもドンと来い!な気分ですが、
 はい、今日も読書のお時間がやってまいりました♪
 本日は、読み手さんによっては、

「ひええええェ~ッ!」
「ぐる~っ!」

 と絶叫してしまうかもしれない
 こちらの御本を、どうぞ~!
 
  



          ―― 蟲(むし)の饗宴 ――



 著者は奥本大三郎(おくもと・だいざぶろう)さん、2017年10月に発行されました。
 『僕はこうして虫屋になった』と副題が付されています。

「……むしィ、でスかッ!」
「がるぅ~…!」(←訳:虫かぁ~…!)

 そう、虫です。
 もしも、この世に、

   虫好き、もしくは、どうにかこうにかだけど虫オッケー!

 な御方と、

   虫ダメ!もう絶対だめ!何が何でもダメだから!

 な御方の、2種類のヒトが存在するとしたなら、
 後者の《虫ダメ…》派さんにとっては鬼門でしかなく、
 反対に前者の《虫オッケー!》派さんにとっては至福の、
 両極端な2つの顔をあわせ持っているのが、
 この御本、なのです。

「ひょうしもォ、すごいィでスねッ!」
「ぐるがるる?」(←訳:これ何の虫?)

 御本の表紙を飾っている、
 見慣れない虫ちゃんは、
 キエリアブラゼミ――マレー半島やボルネオ、スマトラなど
 東南アジアに広く分布するセミの一種です。

 私たち日本人が知るセミとは
 あまり似ていないキエリアブラゼミくんの図譜が描かれたのは
 1800年のこと、でした。

「ふぁァ? せんはッぴゃくゥ??」
「がるるるるる?」(←訳:200年も昔?)

 この御本には、こういった虫を描いた博物画と、
 博物画のテーマに沿ったエッセイ24編、
 そして著者・奥本さんによる『はじめに』『おわりに』の
 ふたつの文章が収録されています。

  フランス文学と、詩人ランボーさんのこと。
  虫随筆を書いたことが、やがて、
  ファーブルさんの『昆虫記』訳業に結びつくこと。
  神話と虫たちのかかわり。

 そうして春夏秋冬ごとに分けられたエッセイの中で、
 たぶん《虫ダメ…》派さんも
 こころ穏やかに読破できそうなのは、
 本文56ページの
 『銀蜻蛉(ギンヤンマ)』。

「ふァいッ! とんぼォならァ~」
「ぐるるるがるる!」(←訳:かわいいもんね!)

 日本では、勝ち虫とも呼ばれるトンボくん。

 炎天下の9月、東京。
 古本屋さんの店先で汗だくになっていた奥本さんの前方を、
 何かが飛んでゆく気配がする。

 顔を上げれば、
 ああ、それはトンボ――

 こんなところに、
 ギンヤンマが。

「はやいィ!」
「がる!」(←訳:高い!)

 颯爽と、空高く飛んでゆくギンヤンマくん。

 ファンタジー小説のように美しい場面から始まる
 トンボくんたちに捧げるこの文章、
 きっと、《虫ダメ…》派さんの胸にも響くはず……!

「まずはァ、よにかくゥ!」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:読んでみてください!)

 虫たちに、
 虫たちが暮らすこの世界へ寄せる想いの数々。

 エッセイ好きな活字マニアさんには
 ことにおすすめの作品です。
 皆さま、ぜひ、一読を♪



  
 
 
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