「こんにちわッ、テディちゃでス!
むッ! あのォうたごえェはァ~…!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!ウグイスくんだ!)
こんにちは、ネーさです。
予想外の寒の戻りに凍える朝、
ホーホケキョキョ、とウグイスくんの声が聴こえてきました。
春の使者さんの到来にホッとしながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅 ――
著者はレイチェル・ジョイスさん、
原著は2012年に、日本語版は2013年8月に発行されました。
英語原題は『THE UNLIKELY PILGRINAGE OF HAROLD FRY』、
発表後にブッカー賞候補作となり、
日本でも2014年の本屋大賞で第2位となった名作が、
いま、再び脚光を浴びています。
というのも――
「えいがかァ~されちゃッたのでスゥ!」
「ぐるるがるっる!」(←訳:英国で大ヒット!)
本国・英国の興収ランキングで初登場1位!となった長編映画の、
原作である小説作品は、
のどか……というか、アンニュイな
”なんてことない一日”から始まります。
ハロルド・フライさんは、
定年退職して6ヶ月の、65歳。
今朝ものんびり、庭を眺める椅子に座って、
トーストを手にしていたところへ。
郵便屋さんが。
「いまどきィ、ゆうびんッ?」
「がるるぐる!」(←訳:珍しいねえ!)
妻のモーリーンさんが渡してくれた封書に、
ハロルドさんは首を傾げます。
消印は、ベリック・アポン・ツイード……
まるきり心当たりはありません、が。
恐る恐る封筒を開けてみれば、それは、
昔むかし、ビール工場で一緒に働いていた
クウィーニ―・ヘネシーさんからの便りでした。
自分が癌を患っていることを知らせる、
お別れの便り、だったのです。
「えェッ?」
「ぐるる~…」(←訳:そんな~…)
ショックを受け、意気消沈しつつも、
返信を書くハロルドさん。
便箋を封筒に入れ、封をして、
足取り重く郵便ポストの前まで歩いていって、
手紙を投函……投函……
できません。
「はろるどォさんッ?」
「がるるるぅっるる?」(←訳:どうしちゃったの?)
もうちょっと歩こう、次のポストまで。
その次のポスト……郵便局……さらに次のポスト、そのまた次の……
と、いつしかハロルドさんの歩みは町の外へ。
町の、もっと外へ。
もっと先へ、もっともっと先へ。
ハロルドさんが住む
ブリテン島の南端に近い町キングズブリッジから、
クィーニー・ヘネシーさんがいる
イングランド北端のベリック・アポン・ツイードへ。
「まさかッ?」
「ぐるるるがるる??」(←訳:まさかのまさか??)
スポーツマンでもないハロルドさんが、歩く?
え、ちょっと待って、
その靴はデッキシューズでしょ?
スニーカーやウォーキングシューズじゃないでしょ?
携帯電話は? お財布は? 食事は?
モーリーンさんに連絡したの?
ちょっとちょっと、ハロルドさん!
「もうゥだめェ~でスよゥ!」
「がるるぐるるるるる!」(←訳:誰にも止められない!)
英国を縦断する、途方もない旅。
はたして、ハロルドさんは旅を完遂できるのか。
行ったこともない場所に行き着けるのか――
刊行から12年、
ハロルドさんの旅の物語は、
映画に形を変え、
ここ日本へもやって来ようとしています。
映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』は
6月7日公開予定!
読んでから観る派の方々は、
ぜひ、公開より前に
原作小説を手に取ってみてくださいね~♪