テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 海を渡る、珈琲碗 ~

2024-03-18 22:03:51 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うむッ! すこしだけェ~ふッかつゥでス!」

「がるる!ぐるるるがるる~!」(←訳:虎です!メゲずに動こう~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 春のプチ大掃除を原因とする筋肉痛は、

 ゆっくりゆっくり快方に向かいつつあります。

 なので、読書タイムものんびりペースで行くことにして、

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― ニッポン・コーヒーカップ物語 ――

 

 

 著者は井谷嘉惠(いたに・よしえ)さん、

 2023年11月に発行されました。

 『The History of Coffee Cup in Japan』と英語題名が付されています。

 

「ほわわァ! きれいなァ~おちゃわんッ!」

「ぐぅーるるるがるるるぐる!」(←訳:ミュージアムアイテムだね!)

 

 日本の磁器の歴史の始まりは、安土桃山時代に遡ります。

 文禄・慶長の役の際、大名たちが朝鮮半島から

 陶工さんたちを連れて来、

 日本国内で白磁の鉱脈を発見して

 陶磁器の焼成に辿り着き、

 17世紀半ばにはヨーロッパへ輸出するほどの

 完成度の高さを誇りましたが……

 

 時代が明治へと変わろうとする頃、

 陶工さんたちは大いに戸惑います。

 

 コーヒーって、何?

 コーヒーカップって、どういうもの?

 

「ははァ、なァるほどォ!」

「がるるるっるるるる!」(←訳:知らなかったんだね!)

 

 コーヒーの歴史は、

 ことに私たちが知っているような

 ”嗜好飲料としてのコーヒー”の歴史は、

 あまり長いものではありません。

 

 コーヒー豆が欧州に伝えられて

 ロンドンで最初のコーヒー店が営業を始めたのは1650年。

 しかし、当時のコーヒーは、匂いがひどい、不味くて飲めない、と

 悪評芬々たる代物でした。

 

 けれど、人々はコーヒーを必要としていたのです。

 

 それまで、飲み物といえば、

 水、ミルク、乳清(ホエイ)、アルコール(酒類)が主で、

 劣化しやすい水や乳清は伝染病の原因になりもしました。

 

「でもォ~!」

「ぐーるーるがる!」(←訳:コーヒーは安全!)

 

 コーヒーや紅茶は、

 水を沸騰させて、

 つまり、病原菌が死滅するくらい煮沸した水(熱湯)で作るもの。

 色はおそろしく真っ黒だけれど

 (英国の硬水で淹れると紅茶も黒っぽい色合いになります)、

 衛生的で安全な飲み物は欧州の人々に受け入れられたのです。

 

 そうして、コーヒーを注ぎ入れるカップも、

 世に必要とされる品物になりましたが。

 

 極東の島国の陶工さんたちは、

 海外旅行の経験はなく、コーヒーを飲んだこともなくて、

 大名やら明治政府から

 コーヒーカップを作れ!と言われても、『?』『??』。

 

「だよねェ~」

「がるるる~」(←訳:そうだよ~)

 

 こうなればもう、見様見真似です。

 カップの見本を手に入れて、

 真似をして作るっきゃない!

 

 その見様見真似が、

 驚くほどの短期間で大輪の花となりました。

 明治初期、大正、昭和初期と、

 日本のメーカーさんが造り上げたコーヒーカップの、

 見惚れてしまう美しさときたら!

 

「きらきらァ、おうごんいろッ!」

「ぐるるるる!」(←訳:手仕事の美!)

 

 著者・井谷さんは、

 明治以降のニッポンのコーヒーカップ製作者さんたち、

 カップの輸出先となった米国での受容と需要、

 里帰りや再評価など、

 日本のコーヒーカップの歴史を

 丁寧に追いかけてゆきます。

 

 巻末には日系米国人コレクターの

 サヨ・ハーメリングさんの略伝も収録されていて、

 近代史好きな活字マニアさんは必読ですよ。

 写真や図版にも大注目の力作を、

 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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