「こんにちわッ、テディちゃでス!
うむッ! すこしだけェ~ふッかつゥでス!」
「がるる!ぐるるるがるる~!」(←訳:虎です!メゲずに動こう~!)
こんにちは、ネーさです。
春のプチ大掃除を原因とする筋肉痛は、
ゆっくりゆっくり快方に向かいつつあります。
なので、読書タイムものんびりペースで行くことにして、
本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪
―― ニッポン・コーヒーカップ物語 ――
著者は井谷嘉惠(いたに・よしえ)さん、
2023年11月に発行されました。
『The History of Coffee Cup in Japan』と英語題名が付されています。
「ほわわァ! きれいなァ~おちゃわんッ!」
「ぐぅーるるるがるるるぐる!」(←訳:ミュージアムアイテムだね!)
日本の磁器の歴史の始まりは、安土桃山時代に遡ります。
文禄・慶長の役の際、大名たちが朝鮮半島から
陶工さんたちを連れて来、
日本国内で白磁の鉱脈を発見して
陶磁器の焼成に辿り着き、
17世紀半ばにはヨーロッパへ輸出するほどの
完成度の高さを誇りましたが……
時代が明治へと変わろうとする頃、
陶工さんたちは大いに戸惑います。
コーヒーって、何?
コーヒーカップって、どういうもの?
「ははァ、なァるほどォ!」
「がるるるっるるるる!」(←訳:知らなかったんだね!)
コーヒーの歴史は、
ことに私たちが知っているような
”嗜好飲料としてのコーヒー”の歴史は、
あまり長いものではありません。
コーヒー豆が欧州に伝えられて
ロンドンで最初のコーヒー店が営業を始めたのは1650年。
しかし、当時のコーヒーは、匂いがひどい、不味くて飲めない、と
悪評芬々たる代物でした。
けれど、人々はコーヒーを必要としていたのです。
それまで、飲み物といえば、
水、ミルク、乳清(ホエイ)、アルコール(酒類)が主で、
劣化しやすい水や乳清は伝染病の原因になりもしました。
「でもォ~!」
「ぐーるーるがる!」(←訳:コーヒーは安全!)
コーヒーや紅茶は、
水を沸騰させて、
つまり、病原菌が死滅するくらい煮沸した水(熱湯)で作るもの。
色はおそろしく真っ黒だけれど
(英国の硬水で淹れると紅茶も黒っぽい色合いになります)、
衛生的で安全な飲み物は欧州の人々に受け入れられたのです。
そうして、コーヒーを注ぎ入れるカップも、
世に必要とされる品物になりましたが。
極東の島国の陶工さんたちは、
海外旅行の経験はなく、コーヒーを飲んだこともなくて、
大名やら明治政府から
コーヒーカップを作れ!と言われても、『?』『??』。
「だよねェ~」
「がるるる~」(←訳:そうだよ~)
こうなればもう、見様見真似です。
カップの見本を手に入れて、
真似をして作るっきゃない!
その見様見真似が、
驚くほどの短期間で大輪の花となりました。
明治初期、大正、昭和初期と、
日本のメーカーさんが造り上げたコーヒーカップの、
見惚れてしまう美しさときたら!
「きらきらァ、おうごんいろッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:手仕事の美!)
著者・井谷さんは、
明治以降のニッポンのコーヒーカップ製作者さんたち、
カップの輸出先となった米国での受容と需要、
里帰りや再評価など、
日本のコーヒーカップの歴史を
丁寧に追いかけてゆきます。
巻末には日系米国人コレクターの
サヨ・ハーメリングさんの略伝も収録されていて、
近代史好きな活字マニアさんは必読ですよ。
写真や図版にも大注目の力作を、
皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪