テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 手仕事、その美。 ~

2024-03-12 22:04:46 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 またしてもォ、かなしィおわかれェ……」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!大好きなのに~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 スウェーデンの世界的な陶芸家・デザイナーの

 リサ・ラーソンさんが3月11日に旅立たれました。

 ハリネズミ3兄弟やライオンくん、ワンコたち……

 リサさんの可愛い彫像たちを思い浮かべ、ご冥福をお祈りしながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

 

 

 

      ―― 19世紀ファッションのディテール ――

 

 

 著者はルーシー・ジョンストンさん、マリオン・カイトさん、

 ヘレン・パーソンさん、

 日本語版監修は石上美紀さん、

 原著は2016年に、日本語版は2024年1月に発行されました。

 英語原題は『19th - Century Fashion in Detail』、

 英国V&A美術館所蔵の資料から

 19世紀ファッションのディテールにあらためて注目し、

 解析してゆく大型アートブックです。

 

「ふわわァ~…ごうかァでスねェ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:シルクに毛皮!)

 

 この御本で取り上げられているのは、

 19世紀の富裕な、

 特権階級の人びとが着用した衣服が中心となっています。

 

 上質な絹やコットン、

 極薄のシフォンで作られたドレス、

 シルクベルベットで縁取りされた手織りウールの男性用コート、

 といった数々は、

 庶民には手の届かぬ高価な品物でしたが、

 であればこそ、

 現代まで長く保管保存することが可能だったと申せましょうか。

 

「むむゥ! こまかァ~いィ!」

「がるるぐるがる!」(←訳:繊細な造りだね!)

 

 ミシンという

 ”縫うための機械”の原型が発明されたのは

 18世紀末――1790年のこと。

 より使いやすい形になって完成するのは1845年、

 足踏み式ミシンが実用化されるのは

 さらのその後、でした。

 しかも、製品化されてもお値段は高くて、

 少しずつ普及し始めたのは、19世紀の末頃。

 

 つまり、それまでは、NOミシン。

 手です。手縫いです。

 ひたすら手で、糸と針を持って、

 ドレスやコートを仕立ててゆくんです。

 

 それもね、ただ縫うんじゃダメ。

 きれいに、美し~く縫わないと!

 

「こここッ、これェ、すごいィ~でス!」

「ぐるる!」(←訳:神業だ!)

 

 オーバーコートにイブニングドレス、

 午後用のドレス、昼間の外出着に、

 部分的にミシンを使って作ったコルセット、

 カシミアのショールに、室内履き……

 

 それら絢爛たるドレス群の中で

 最も驚嘆させられたのは、

 本文44ページ、

 『白いダウン(綿毛)のマントル』(1860年代、ロシア)。

 

 この、ショール風の、短い丈の

 真っ白なマントの素材が何かというと……

 

 白鳥の綿毛。

 

「ありえないィでス!」

「がるるるぐるがる!」(←訳:現代では絶対ムリ!)

 

 白鳥の、羽毛ではなく、

 羽根のごく一部の、ふわふわした綿毛だけを集めて

 ショール風マントを作る……

 

 気が遠くなる、って、まさにこれ?

 

「じゅうきゅうせいきィ、ッてェ~」

「ぐるるるるるがる!」(←訳:とんでもない時代!)

 

 21世紀の今となっては、

 再現など出来ようはずもない

 精緻な手仕事が生み出す美。

 

 お裁縫好きな方々、

 19世紀アート好きな活字マニアさんは、

 ぜひ、一読してみてくださいね。

 刺繍好きな御方にも、おすすめですよ~♪

 

 

コメント
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