「こんにちわッ、テディちゃでス!
またしてもォ、かなしィおわかれェ……」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!大好きなのに~!)
こんにちは、ネーさです。
スウェーデンの世界的な陶芸家・デザイナーの
リサ・ラーソンさんが3月11日に旅立たれました。
ハリネズミ3兄弟やライオンくん、ワンコたち……
リサさんの可愛い彫像たちを思い浮かべ、ご冥福をお祈りしながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~!
―― 19世紀ファッションのディテール ――
著者はルーシー・ジョンストンさん、マリオン・カイトさん、
ヘレン・パーソンさん、
日本語版監修は石上美紀さん、
原著は2016年に、日本語版は2024年1月に発行されました。
英語原題は『19th - Century Fashion in Detail』、
英国V&A美術館所蔵の資料から
19世紀ファッションのディテールにあらためて注目し、
解析してゆく大型アートブックです。
「ふわわァ~…ごうかァでスねェ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:シルクに毛皮!)
この御本で取り上げられているのは、
19世紀の富裕な、
特権階級の人びとが着用した衣服が中心となっています。
上質な絹やコットン、
極薄のシフォンで作られたドレス、
シルクベルベットで縁取りされた手織りウールの男性用コート、
といった数々は、
庶民には手の届かぬ高価な品物でしたが、
であればこそ、
現代まで長く保管保存することが可能だったと申せましょうか。
「むむゥ! こまかァ~いィ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:繊細な造りだね!)
ミシンという
”縫うための機械”の原型が発明されたのは
18世紀末――1790年のこと。
より使いやすい形になって完成するのは1845年、
足踏み式ミシンが実用化されるのは
さらのその後、でした。
しかも、製品化されてもお値段は高くて、
少しずつ普及し始めたのは、19世紀の末頃。
つまり、それまでは、NOミシン。
手です。手縫いです。
ひたすら手で、糸と針を持って、
ドレスやコートを仕立ててゆくんです。
それもね、ただ縫うんじゃダメ。
きれいに、美し~く縫わないと!
「こここッ、これェ、すごいィ~でス!」
「ぐるる!」(←訳:神業だ!)
オーバーコートにイブニングドレス、
午後用のドレス、昼間の外出着に、
部分的にミシンを使って作ったコルセット、
カシミアのショールに、室内履き……
それら絢爛たるドレス群の中で
最も驚嘆させられたのは、
本文44ページ、
『白いダウン(綿毛)のマントル』(1860年代、ロシア)。
この、ショール風の、短い丈の
真っ白なマントの素材が何かというと……
白鳥の綿毛。
「ありえないィでス!」
「がるるるぐるがる!」(←訳:現代では絶対ムリ!)
白鳥の、羽毛ではなく、
羽根のごく一部の、ふわふわした綿毛だけを集めて
ショール風マントを作る……
気が遠くなる、って、まさにこれ?
「じゅうきゅうせいきィ、ッてェ~」
「ぐるるるるるがる!」(←訳:とんでもない時代!)
21世紀の今となっては、
再現など出来ようはずもない
精緻な手仕事が生み出す美。
お裁縫好きな方々、
19世紀アート好きな活字マニアさんは、
ぜひ、一読してみてくださいね。
刺繍好きな御方にも、おすすめですよ~♪