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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 森を見、歴史を見。~

2022-06-14 23:30:23 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うるとらまんッ、とうじょうゥでスゥ~!」

「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!地上波放送だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 6月19日深夜1:54から『ウルトラマン』第1話&第30話が

 NHK総合にて放送決定!

 これは絶対に見たいわ!と録画の予約し終えたら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― 森と木と建築の日本史 ――

 

 

 著者は海野聡(うんの・さとし)さん、

 2022年4月に発行されました。

 

 前回記事で御紹介しました

 小林朋道さん著『動物行動学者、モモンガに怒られる』は

 野生動物たちとの共存を探るノンフィクションでしたが、

 こちらは日本建築史における

 “樹木との共存“

 に目を向ける歴史ノンフィクション作品、と言えましょうか。

 

「もくぞうゥ~ぶんかッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:それが日本!)

 

 西洋は石の文化で、

 東洋は木の文化――

 

 いや、実際はそんなに単純ではない、と

 著者・海野さんは『序章』で指摘します。

 

   洋の東西を問わず、

   人類は森林のめぐみを享受してきた。

 

   木を用いながらも

   石造のように見える、

   そんな建築が欧州には点在している。

 

「いしにィみえてもォ~…?」

「がるぐっるる!」(←訳:木を使ってる!)

 

 つまり、西洋でも東洋でも、

 建築資材として木材は重用されてきた、んですね。

 石に比べて軽いし、

 丈夫だし、

 加工しやすくて、いろいろ使い勝手はいいし、と。

 

 ただ、この”木材“ってものは……

 

 使うと、なくなっちゃう。

 

「それはァ、とうぜんッなのでスよゥ!」

「ぐるるるるがる!」(←訳:万国共通の真理!)

 

 どれほど豊かで大きな森であろうと、

 バリバリ切り倒して

 ガンガン使ってしまえば、

 尽きてしまう。

 

 日本では、既に中世以前の時点で、

 森林資源枯渇の危機が露呈したことを、

 分かりやすい例を挙げて、

 海野さんは解説してゆきます。

 

 その例とは――

 東大寺の再建。

 

「うむむゥ! だいじけんッでしたでス!」

「がるるぐる!」(←訳:南都の火事!)

 

 治承四年(1180年)、

 平重衡による南都焼き討ちによって、

 東大寺や興福寺では伽藍の大部分が焼失しました。

 

 この、“東大寺大仏殿の再建“は、

 数々の物語(小説)・映画・ドラマ他にも描かれていて、

 当時の一大事件として知られていますが、

 再建の過程で

 或る問題が発生しています。

 

 材木が、ない。

 

 柱材や棟木、

 大仏殿の再建に必要な巨材が、ない。

 

「さがしてもォ、ないィ?」

「ぐるるる!」(←訳:大騒ぎに!)

 

 かつては在った巨木が、

 容易に見つけられた巨大なヒノキの樹木が、

 もう森に無い。

 理由は言う迄もなく、乱開発してしまったから。

 

 そこで、建材の主流をヒノキだけでなく、

 アスナロ、マキなどヒノキ系の木材、

 ブナ、マツも加えるなど種類を増やし、

 クス、センダイ、スギ、サクラも

 建材に利用してゆくようになるものの――

 

「ひつようゥなのはァ~」

「がるるぐる?」(←訳:根本的解決?)

 

 木材資源を、

 消費から、保全と管理へ、

 利用抑制と植林へ。

 

 植林や休山といった方法を組み合わせての

 積極的な保全が芽生えたのは、

 実に、18世紀以降のことになりました。

 

「ふゥ! ようやくゥ!」

「ぐっるがる!」(←訳:やっとだね!)

 

 森と木と、

 日本の建築の、長い長~い歴史。

 これからの展望。

 

 地味に見えても重要な、

 歴史好きな活字マニアさんに

 激おすすめの一冊です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪