「こんにちわッ、テディちゃでス!
そこはァ、まほうのォくにィ??」
「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!魔法の横丁かも!)
こんにちは、ネーさです。
私たち活字マニアにとって、
そこは……魔法の杖を売っている
ダイアゴン横丁のような存在、でしょうか。
さあ、本日の読書タイムは、”その場所”を舞台にした
こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 古本食堂 ――
著者は原田ひ香さん、2022年3月に発行されました。
ええ、本好きさんはもう気付いちゃいましたね、
活字……魔法の横丁……古本……とヒントが揃えば、
答えは……神保町!
「ほんのォ~まちィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:新刊も古書も!)
先日は、三省堂書店さんのビルが
建替えのためにクローズされることがニュースになりました。
三省堂さんのように大きなビルがあれば、
古書のテナントが集まる古書センターや、
洋書屋さんや、専門書を扱うお店、
小さな古書店さんも、と
神保町にはさまざまな《本の店》がありまして、
その中の一軒――
『鷹島(たかしま)古書店』は、
ビルの1階に店舗を構える
小さな古書店さん、です。
「あうゥ? しまッてまスよゥ?」
「がぅっるーるぐるる……がるっ!」(←訳:シャッターが下りて……おおっ!)
ずっと閉まったままだったお店のシャッターが、
お久しぶり~♫というかのように、
カラカラと開けられてゆきます。
開店準備をする女性は、
鷹島珊瑚(たかしま・さんご)さん。
お店周りの道路を掃除してゆく様子は、
とても手慣れたものに見えます……でも、実は。
「しんじんさんッ!」
「ぐーるーがる!」(←訳:ルーキーです!)
珊瑚さんの兄・滋郎(じろう)さんこそ、
『鷹島古書店』の店主さん、でした。
でした、と過去形で書かねばならぬのは、
滋郎さんが急な病で倒れ、
家族の看取りも間に合わぬまま、
旅立ってしまったから。
北海道の実家を出た滋郎さんは、
結婚をせず、子も孫もなく、
『鷹島古書店』を残して去ってゆきましたが……
はたして、兄は何を望んでいたのだろう?
私は、このお店をどうすべきなのだろう?
古書が並ぶ本棚にハタキをかけ、
レジのお手入れをしたりしながら、
珊瑚さんは思いめぐらせます。
「むむゥ? まさかッ?」
「がるるるるぐるるるる?」(←訳:珊瑚さんが本屋さんに?)
本屋さんで働いた経験、なし。
古書売買のノウハウ、なし。
東京で暮らしたことも、なし。
そんな珊瑚さんが、
本の街・神保町で古書店経営?
読み手の私たちは応援しつつも、
うわあ大丈夫かなぁ?とドキドキ、
珊瑚さんの親戚の美希喜(みきき)さんも、
お店にやって来るお客さんも
なんだかハラハラ。
はたして、
珊瑚さんと古書店の未来は……?
「がんばッてェ、さんごさんッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:ボクらが味方だ!)
古書店主・滋郎さんの
言葉に出来なかった想いは、
いったいどこで見つかるのか。
みつかるとしたら、
そこは――
「もっちろんッ!」
「がるるぐるぅ!」(←訳:この街でしょ!)
ページを捲るごと
神保町へ行きたくなる稀有な物語は、
書物と神保町を、
大小の本屋さんが立ち並ぶあの街を愛するすべての方々に、
激おすすめの一冊ですよ。
活字マニアの皆さま、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪