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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 万巻の書物はささやく ~

2022-06-05 22:10:10 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 そこはァ、まほうのォくにィ??」

「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!魔法の横丁かも!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 私たち活字マニアにとって、

 そこは……魔法の杖を売っている

 ダイアゴン横丁のような存在、でしょうか。

 さあ、本日の読書タイムは、”その場所”を舞台にした

 こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 古本食堂 ――

 

 

 著者は原田ひ香さん、2022年3月に発行されました。

 ええ、本好きさんはもう気付いちゃいましたね、

 活字……魔法の横丁……古本……とヒントが揃えば、

 答えは……神保町!

 

「ほんのォ~まちィ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:新刊も古書も!)

 

 先日は、三省堂書店さんのビルが

 建替えのためにクローズされることがニュースになりました。

 三省堂さんのように大きなビルがあれば、

 古書のテナントが集まる古書センターや、

 洋書屋さんや、専門書を扱うお店、

 小さな古書店さんも、と

 神保町にはさまざまな《本の店》がありまして、

 その中の一軒――

 

 『鷹島(たかしま)古書店』は、

 ビルの1階に店舗を構える

 小さな古書店さん、です。

 

「あうゥ? しまッてまスよゥ?」

「がぅっるーるぐるる……がるっ!」(←訳:シャッターが下りて……おおっ!)

 

 ずっと閉まったままだったお店のシャッターが、

 お久しぶり~♫というかのように、

 カラカラと開けられてゆきます。

 

 開店準備をする女性は、

 鷹島珊瑚(たかしま・さんご)さん。

 

 お店周りの道路を掃除してゆく様子は、

 とても手慣れたものに見えます……でも、実は。

 

「しんじんさんッ!」

「ぐーるーがる!」(←訳:ルーキーです!)

 

 珊瑚さんの兄・滋郎(じろう)さんこそ、

 『鷹島古書店』の店主さん、でした。

 

 でした、と過去形で書かねばならぬのは、

 滋郎さんが急な病で倒れ、

 家族の看取りも間に合わぬまま、

 旅立ってしまったから。

 

 北海道の実家を出た滋郎さんは、

 結婚をせず、子も孫もなく、

 『鷹島古書店』を残して去ってゆきましたが……

 

   はたして、兄は何を望んでいたのだろう?

   私は、このお店をどうすべきなのだろう?

 

 古書が並ぶ本棚にハタキをかけ、

 レジのお手入れをしたりしながら、

 珊瑚さんは思いめぐらせます。

 

「むむゥ? まさかッ?」

「がるるるるぐるるるる?」(←訳:珊瑚さんが本屋さんに?)

 

 本屋さんで働いた経験、なし。

 古書売買のノウハウ、なし。

 東京で暮らしたことも、なし。

 そんな珊瑚さんが、

 本の街・神保町で古書店経営?

 

 読み手の私たちは応援しつつも、

 うわあ大丈夫かなぁ?とドキドキ、

 珊瑚さんの親戚の美希喜(みきき)さんも、

 お店にやって来るお客さんも

 なんだかハラハラ。

 

 はたして、

 珊瑚さんと古書店の未来は……?

 

「がんばッてェ、さんごさんッ!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:ボクらが味方だ!)

 

 古書店主・滋郎さんの

 言葉に出来なかった想いは、

 いったいどこで見つかるのか。

 みつかるとしたら、

 そこは――

 

「もっちろんッ!」

「がるるぐるぅ!」(←訳:この街でしょ!)

 

 ページを捲るごと

 神保町へ行きたくなる稀有な物語は、

 書物と神保町を、

 大小の本屋さんが立ち並ぶあの街を愛するすべての方々に、

 激おすすめの一冊ですよ。

 活字マニアの皆さま、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪