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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 烏の王土 ~

2017-10-02 22:11:58 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 えッとォ~、ころもがえェでスかァ?」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!秋冬の服~!)

 こんにちは、ネーさです。
 そうよね、10月なんだから衣替えをすべき……かと
 あちこちの引き出しを開け閉めするうち、
 部屋が大混乱状態になってしまいました。
 そんなカオスにもメゲず、
 本日の読書タイムは、さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



           ―― 弥栄の烏 ――



 著者は阿部智里(あべ・ちさと)さん、2017年7月に発行されました。
 『弥栄の烏』は『いやさかのからす』とお読みくださいね。

「かんけつゥへんッ??」
「ぐるっるぅるる?」(←訳:終わっちゃうの?)

 はい、そこが肝要ですね。

 この御本は、《八咫烏》シリーズの完結編……ではなくて、
 シリーズ第一部の完結編、と
 著者・阿部さんはインタビュー等で答えておられます。

 第二部の構想は既に整っているそうですが、
 それにしても、
 第一作『烏に単は似合わない』から
 《八咫烏》シリーズを読み続けている身としては、
 或る種の感慨を覚えます。

 『烏に単は似合わない』を読んだ時は、
 うん、これはファンタジー的設定を利用したミステリなんだ、
 と思ったものです。

「でもォ、じつはッ!」
「がるるる!」(←訳:逆でした!)

 そうなのよね。
 ファンタジー的設定を利用したミステリ、
 ではなくて。

  ミステリ的な導入部を持つファンタジー

 というべき作品だったんですね。

「よいィいみでェ~」
「ぐるるるるる!」(←訳:騙されました!)

 シリーズ第一作『烏に単は似合わない』では、まず、
 八咫烏(やたがらす)たちが暮らす
 “ここではないどこか”の世界が
 私たちの前に現れ出ました。

 人の形も、鳥の形にも変化できる八咫烏の種族。

 王を戴き、
 都を建て、
 農業や商工業があって、
 領土が運営されてゆく、そこに。

 国難が訪れます。

「あらしのォようにィ~!」
「がるるぐるる!」(←訳:次から次へと!)

 シリーズ第二作『烏は主を選ばない』以後、
 描かれるのは、
 王を核に据えた“八咫烏の国”の姿と、
 国を襲う災難に立ち向かう
 若き八咫烏たちの奮闘でした。

 そして、シリーズ第六作となる
 この『弥栄の烏』では、
 八咫烏たちの度胸と真意を試すかのように、
 国の“歴史”に迫ります。

「これはァまるでッ?」
「ぐる?」(←訳:神話?)

 ローマ帝国の長大な歴史をひもとき、
 その一章を覗きみるかのような、
 “歴史”のひとコマ。

 この後、
 八咫烏たちの“歴史”は
 どこへ向かうのか――

「はやくゥ、つづきをォしりたいィでス!」
「がるぐるるる!」(←訳:待ち遠しいね!)

 シリーズを読み継いできた活字マニアさんは必読の
 第一部完結編、
 未読の御方はこれを機会に
 ミステリを底流とするファンタジー世界へ、
 ぜひ、お出掛けを♪