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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

あの名作コミックが、窯変!

2009-09-11 21:51:37 | ブックス
 彼岸花の赤が鮮やかですね……って、咲くの早すぎません??
 と思うネーさです。こんにちは。

「こんにちわゥ、テディちゃでスッ!
 あきもォたけなわッ、なのでスよゥ!」

 では、本日は敢えて、
 季節も時間も軽々と超える名作を御紹介いたしましょう!
 こちらを、どうぞ~!


 
             ―― トーマの心臓 ――


 
 著者は森博嗣さん、原作は萩尾望都さん、’09年7月に発行されました。
 『Lost heart for Thoma』と英題が付されています。
 前回の記事で御紹介した森博嗣さんの新作……なのですが、
 とても珍しい形の御本ですね。

「ふァ? ふつうのォかたちィ、してまスよッ?」

 外観の『かたち』ではなくて、
 いわば、御本の成り立ち、というか、
 来歴、由来、出発点のことです。

 御本の表紙に『原作 萩尾望都』さんとあるように、
 この物語の原作は、萩尾さんの名作、
 いえ、日本のコミック史上不朽の名作『トーマの心臓』。
 小説がコミック化されるのはよくあることですが、
 コミックが小説になるのは、
 しかも原作発表から何年も経ってから小説化されるというのは、
 やはり、珍しいことだと言えましょうか。
 
「ふむむッ、ふくざつゥでスゥ~……」

 ストーリーそのものは、
 おおむね原作に沿って進行しているように見えて、
 水面下では……違う流れが感じられます。
 いったい何が、そう思わせるのでしょう?

 原作での主人公は、
 エーリク、ユーリ、トーマ……と、オスカー。
 失礼ながら、
 やや脇役に近い部分があった少年がオスカー、だったのですが、
 この御本での主役は、そのオスカーなのです。

 オスカーは、語り手としてだけではなく、
 物語の眼であり、耳であり、
 彼なくしてこの小説世界は成立しないほどの、
 全き《主(あるじ)》。

 主(あるじ)が変われば、王国も変わります。
 題名に、『トーマの心臓』と記されてはいても、
 実際にはこの御本は……
 小説版『トーマの心臓』プラス『訪問者』、
 といったところですね。

「ほうもんしゃッ?」

 オスカーくんと彼のお父さんを描いた
 『トーマの心臓』の前日譚が
 『訪問者』という作品です。

 哀しくも美しい、
 しんしんと降りしきる真っ白い雪のようなこの作品に、
 或いは、著者の森さんは『トーマ……』以上に魅せられ、
 囚われたのかもしれません。

「むゥ~?
 テディちゃ、よんだことォ、ないィでスッ?」

 そうですね…… (←ちょっと溜め息……)
 平成生まれのお若い方々、
 オレはジャンプとサンデーとマガジンしか読まねえぜ!という御方は、
 萩尾さんの著作を御存知ない可能性もありますね。
 でしたら、まず本屋さんへ!
 原作の『トーマの心臓』、そして『訪問者』も、
 しっかり読了してから、
 小説となった『トーマの心臓』をお読み下さい!
 まず原作のコミックありき、
 その次にこの小説を、
 と前提されている意味でも、
 これは珍しい形の御本、なのです。

「ふァいッ!
 ではッ、ほんやさんにィ、いッてきまァ~ス!」

 萩尾さんの作品を未読の御方は、
 ぜひ、この機会に全作品制覇を!
 どの一冊も、読んで悔いなし!
 ネーさが特におすすめしたいのは
 『ポーの一族』と『半神』ですよ~!

「ネーさッ!
 いつのまにかァ、まんがのォ、はなしにィ、なッてるでス!」

 ……あらっ? そぅお??  
コメント
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