中国単身赴任生活 東京浦島太郎編

10数年住んだ中国を離れて東京のサラリーマン。浦島太郎です。
今は、自転車、写真、ジュリエッタなどのブログです。

若者の労働意識(その1)

2007-01-25 | 仕事
どんどん高学歴化が進み、この国も学歴社会になってきているのは確かであろう。

そんな中で農村出身の若い男性の労働に対する意識はどうなっているのだろうか。

実態を知れば知るほど、この国の将来像が見えない。非常に危うい橋を突っ走っているように感じてしまう。

(今回は割と真面目な内容を真面目に書いています。)

何度も書いているように高学歴化が進んでいるのは、都市部の「一人っ子政策」が守られており、所得が順調に伸びていって居る階層である。

農村部の子供の数は、一人っ子などではあり得ない。この田舎町周辺では3-5人兄弟は当たり前である。農村部出身の彼らの学歴の多くは中学校卒業、または中学専門学校卒業である。

問題はこの中学校卒業、乃至はそれ以下の学歴の階層であろう。中学校までは義務教育であるのはこの国でも同じであるが、義務教育というのは親が学校に行かせてやろうと思わない限り、国が義務だと言ったところで何の役にも立たないという事実を認識すべきである。この国には義務教育未終了者が、それこそ数億人居ることは明白な事実である。

農村に居続けても家を手伝う以外に現金収入はない。近所の町へ出かけていって商店や飲食店、小さなホテルなどで働いても収入は非常に少ない。


ここで大きな選択肢がある。

一つは周辺の大きな都市部や広東省や上海地区などの発展工業地区へ「単純労働力」としてキチンと就職し、出稼ぎに行く。

もう一つは、近所の町でなんとかならないかと仕事を探す、という選択肢である。

この2つは似ているようで全く違う。最初から単純労働力として出稼ぎに行くというのは、学校を出てすぐに働き始めると言うことである。

仕事を探そうとする、というのは聞こえは良いが、要はブラブラしている、だけである。


人間誰しも楽して稼ぎたいというのは同じであろう。でも卒業後間髪を入れずに働き出せば、どの位苦労してどの程度の稼ぎ、というものの目安が出来る。

ブラブラしていれば(日本のフリーターのようにアルバイトをしているわけですらない)自分の社会的目安が出来ないうちに「自己過大評価」が始まる。無論周囲の成功例が無いわけではないのでそうなるのであるが、成功例の人々の「努力」の部分は意識的か無意識かを別にしてほとんどの場合忘れ去られて、自分も成功者になれる、という自分勝手な妄想が生まれることになる。

一旦こういう夢(妄想)を持った人間がどこかの会社に就職すると言うことは非常に困難になる。どこの会社でも「試用期間」が3ヶ月から半年間有り、この機関の給与は非常に低い。低学歴の人間の平均給与は無論政府が発表しているような「給与所得者の平均給与額」には遠く及ばず、試用期間中の給与など雀の涙ほどである。この田舎町界隈の中国系メーカーの中学卒試用期間中給与は相当高いところですら700-900元/月位である。

単純労働に近い、もしくは限りなく肉体労働に近い業務内容でもあり、彼らの自己認識とは全く異なり、不満だらけの内容であるために、試用期間中にほとんどの場合が辞めてゆく。または面接を受け、翌日は出勤しないと言うことになる。

企業側もこういう実態は十分理解しているので、試用期間中の者に何の期待もしていない。100人取って5人残れば良い、位の考え方である。また試用期間終了後にどういう待遇になり、どういう業務になるとは本人に何も伝達せず、と言う場合がほとんどになる。

言ってみれば、本人が継続して働けるかどうかと言うのをテストしているとも言える状況である。この「毎日出勤できるかどうか」という程度のことすら守れない階層が多いと言うことの裏返しなのである。


これに対して新卒、即就職、という連中は最初の試用期間中を学校の延長線で捉えているのか、かなりの確立で企業の思うように成長してくれる。また学校からの推薦もあって就職しているような場合は、優良企業に就職したような場合には学校に推薦費を払わなければいけない(!!)場合が多く、その回収、後輩のことを考える様なケースも多いようで試用期間中に辞めてゆく比率は非常に低くなる。


以上のように低学歴階層の労働については、スタート時点でのほんとうに「初めの一歩」の踏み出し方で全く違った将来になってくる場合が非常に多い。

日本などでも同じような状況は当然見受けられるものと考えているが、この国での場合「一つの会社に勤め続ける気はほとんどの場合無い」という気質も手伝って更に大きな較差の源になっていると考える。

------ その2 へ続きます。


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2 コメント

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「一人っ子政策」 (愛読者)
2007-01-25 11:58:57
「一人っ子政策」を政府が推進していますが、都市部と農村部を、どのように区分しているのでしょうか? 
何か基準とする指標のようなものがあるのでしょうか?
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Unknown (管理人)
2007-01-25 13:01:57
都市部と農村部は「戸籍」によって極めて厳格に管理されています。日本の「戸籍」とは全く異なり自分の意志で移動させることはかなり困難です。重点大学を卒業する、都市部に住居を購入する等の場合には「農村戸籍から都市戸籍」への移動が認可されます。
都市部のまともな企業で働く場合などは企業から政府に対して「臨時居留就業許可」を申請します。この場合でも「戸籍」は移動しません。
「一人っ子政策」自体は少数民族以外の複数出産を認めていないはずですが、農村部では労働人口の確保と男子継承の習慣によってかなり緩やかな運用となっているのが実態です。
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