私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

中村不折の書道論

2009-09-05 09:29:17 | Weblog
 吾輩の猫も漱石先生が描いた猫の絵でもって終わりにします。大磯の海水浴場の絵ハガキから始まって、なんだかんだと1ヶ月ばかり横道にそれてしまいました。

 元の話題に戻そうかと思っていた矢先に、また例のメール「飯亭寶泥」氏から注文が入りました。
 「豪渓絵葉書や「吾輩は猫」の挿絵をけえた中村不折という先生にちいて、あんたはよう知っとりんさるんか。知っとりんさるんなら教えてつかあせえなあ」
 と、まことにしょうらしいメールが届きました。

 そうえ言われても、私も4,5枚の「豪渓絵葉書」を持っていることは分かっていたのですが、その不折先生という人が描いたという事は全然知らなかったのです。もちろん中村不折という人もです。
 そこで、早速、インターネットで調べてみて「不折」という人が絵描きだという事を知りました。さらに調べていくと、この人が「吾輩は猫」の挿絵も描いているではありませんか。これも驚くべき大きな発見でした。
 また、彼の本業は洋画家だということも、その他、日本画や書道についても大変な名家だという事も分かりました。 
 よく捜してみると私の書架にも、いままでは、全然、気がつかなかったのですが、彼の書いた書道や美術に関する本があるではありませんか、早速ひもときます。
 彼の一般的な人となり等はインターネットに譲り、これらの彼の美術論や書道論の一部を、私の書画にある本の中から拾ってみました。
 

 その本によると、
 「書の第一の主意は先ずシッカリした力の入った気高い字を書く事。続いて質朴な飾り気のない字を書く事。次では雅な形を書く、面白い字を書くと云う事。・・・・・その古朴な俗気のない高尚な字を書くのは精神教育によらなければならない・・・・精神的な修養が足りなくっては決して品位のある字は書けるものではない・・・」
 と書いてあります。
 更に、字を習い始めるには一點一画から徐に習う事が肝要だと、「龍」の字を例にとって説明されている絵図がありましたのでお見せします。

      

 この中で彼は
 「書の秘訣として上手に書こうとするな。正しい字を書く事が出来ればよい。旨く書いてやろいとか、己の書いたものを見せてやろうなどという誤った考えでは初めから正道ではないと分っているから、到底ものになる筈はない。一字一画で文字に対する趣味を感じて真面目にやるのが道に入る捷径(しょうけい)である」
 とも言っておられます。