私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

高尚先生と雪

2008-01-28 21:57:20 | Weblog
 今、外は雪です。この吉備津では大変珍しいのですが、早や今年二回目の積雪です。そこで今日は、「高尚先生と雪」を取り上げます。

 先生の歌の中で、雪を題にしたものはごく少ないのですが、かって山陽の題字の額が掲げられていたといわれる「鶏頭樹園」に関係ある歌の中に数首見えます。

  雪ふりける日にかへでの園にゆきて
   かへる手は雪にかくれて白玉の林の園とみゆるけふかな
   あはれはれかえでの園の冬かれを花の林となせる雪かな
   春秋のもみちもあれといいしらぬ雪の花さくかえるでの園
   山まつにとひかうけさの朝からす見はやす雪をうちちらしつつ 
   花ならは色そはましを朝づくひにほへはきゆる木々の雪かな

 なお、「かてる手」は楓の古語です。「見はやす」は見ているとぐらいの意味でしょうか。又、「朝づくひにほへは」は朝日に当ってという意味ではないかと思いますが。

 めったに降らないこの地方の雪と、ご自分手ずからお植えになられた冬枯れの殺風景な楓との組み合わせが、いかに先生のお心をお慰めしたかと言う事がこの歌から分るように思います。
 回りの障子窓を全部開け放されて、お好きなお酒でもちびりちびりと召し上がりながら、お作りになられたお歌ではなかったのでしょうか。