私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

秋の七草

2007-08-30 19:32:16 | Weblog
 今年は、早々と吉備津駅の構内にススキが顔を覗かせています。
 このススキは、秋の七草の一つです。若い頃には、どうして、この花がと思うのですが、今、その佇まいをつくづくと眺めてみると、なるほど、これも秋の感覚を色濃く表すにたる草だなあと、年老いた、この頃、特に秋風が辺りに靡く頃ともなりますと、そんな思いか強く感じられます。幽霊の化身みたいに言われていますが、奥深い風情を、この草に伺うことも出来ます
 この秋の七草は、山上憶良が、萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、又、藤袴、朝顔の花と詠んだのが、元だとされています。
 それにしても、どうして、秋を代表するあの「菊」を憶良は入れなかったのでしょうか。不思議に思っていたのですが、このことについて、我;高尚先生は、『松の落葉』で、次のように説明されておられますので紹介します。
 
 『中国の菊は、わが国の「ふじばかま」だ。だから、奈良の都の頃までは、日本には、「きく」という言葉が入っている歌は見えない。 ようやく平安に入った延暦年間の頃より、中国から「きく」が渡ってきた。この菊の花が大層美しく、「ふじばかま」という日本風の呼び名があったにもかかわらず、中国読みの「きく」という呼び方がそのまま、日本でも使われるようになったのだ。
 平安の頃、中国から渡ってきた「きく」即ち「藤袴」は、当然、日本にも奈良の都にもあったのですが、あまりにも美しかったため、呼び名が「藤袴」でなく、中国名の「菊」と呼ばれるようになったのだそうです。
 だから、山上憶良が詠んだ『藤袴』は、本当は、今の「きく」で、「朝顔」の花は「桔梗」だった』
 と。

 私事(ひとりごと);
 朝顔の花は桔梗だとは知っていましたが、藤袴が菊だなんて知りませんでした。 我;先生、さすがですね。益々、好きになりますよね。藤袴がどうして菊か?匂いなんて全然ないのにと思います。
 それについて先生は、「袴」も「衣」とともに、香を炊き込めて芳ばしいにおいが立ち込めるものですから、当然、「ふじばかま」もいい香がするのか当たり前だと、平安の人は考え、「フジバカマ」は、「蘭」とも書かれていたともいう。(和名は、「布知波賀萬」で、「匂いのいいらん」と言う意味)。また、このほか、「よもぎぐさ」「かわらぐさ」とも呼ばれていたようです

 人が「思う心」とは面白いものですね。