私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

扇を使いませんか

2007-08-06 10:07:03 | Weblog
 「うちは」は内々で、翳のように使ったのだということですが、昨今の様子を見ていますと、もうそんな遠い昔の古い古い風習は、とんと消えうせいます。
 表通りであろうが裏通りあろうと、所構わず堂々と姿を現して、臆面もなく人々に現在では使われてはいますが、さすが、国会等の公の場では姿を見ることはありません。まだ、それだけ、「うちは」は、現代でも、やはり「日陰者」であるのかも分りません。
 そんな公の場で一般に使われているものは、なんと言っても、やはり「扇」です。家庭ではめったに使いませんが、来客時に、そのお客がやおらポケットから取り出して使っている風景をよく、小津安二郎の映画の中等で見ることが出来ました。笠 智衆が白い背広を着てしきりにこの扇子を使っていたシーンが目に鮮明に焼きついています(東京物語?だったか)。
 でも、今はクーラーが家庭に常備されていて、扇を持つ人も少なくなってはいますが、かっては、紳士淑女の必携の持ち物ではあるようでした。

 前置きが長くなりましたが、この扇について、「松の落葉」には、我先生、「扇を使うはなめき(無作法な)わざとする事」とお書きになっています。
 奈良時代(天平宝字のころ)には、檜扇は持っていてもよいが、“「かわほり」を持つはなめしわざとす”とあり、扇を携えることよかったのですが、“使うは、むらい(失礼極まりない)のこととす”ありす。
 それが11世紀頃になると(清少納言の頃)、自分の顔を隠したりもして、宮廷女性の必携の物の一つになっていたのではと思われます。
 それが、順次、人々の生活の中に取り入れられていったようです。