私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

猿楽

2007-08-20 19:20:50 | Weblog
 昨日の藤井千鶴子さんのお話をもう少々。彼女曰;
 「能楽は、室町の初め、世阿弥観阿弥親子によって完成された日本の伝統的文芸だ」と。更に

 「600年の時代を経ていながら、未だにそれを越すような「お能」は出てない。
 時代時代で、多くのお能に携わる人達が、それぞれの時代により合ったと思われるような新しいお能は、沢山創られてきたのですが、でも、そこで創られた新しいお能も、初めの内は、一度二度とは演じられるのですが、いつの間にか、誰もが見向きしなくなり、結局は、世阿弥・観阿弥の600年の昔のそれに帰って行きます。
 それだけ、この二人の創り上げた芸術には「永遠性」「完璧性」があり、その美しさには、決して、誰にも飛び越える事は出来ない普遍的な神そのもののような神聖さがあるのだ」と。

 この能について。我;先生は「猿楽」という題にて、「松の落葉」の中にお書きになっています。
 猿楽は、初めは猿の真似をして可笑しいように舞っていたのが、今の世では能の中に取り入れられてしまって、可笑しくない技に成り代わっています。それは能と一緒に演ぜられる狂言に、この猿楽が持っていた元々の可笑しさが移って、能にはその型だけが伝わっている、と。


 松の落葉には221の題について先生の随想が書き綴られいます。その中で、お能に関するものは、ここに上げた猿楽だけでした。先生はお能について興味があったのか、なかったのかはこれだけの資料の中からでは分りません。今、彼の「松屋文集」という書物にも取り組んでいますが、その中にも見当たらないようです。