私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

ぶどうが届きました。

2007-08-29 11:51:42 | Weblog
 一寸遅い朝食を済ませて、新聞を読んでいました。
「赤木さん~、宅急便です」
 朝のしじまを打ち破るような元気のよい大きな声と一緒に、宅配便が届きました。
 それは、定年後、故里である美袋に帰って来て、静かに晴耕雨読の生活を楽しんでいた高杉君の奥様からのものでした。
 彼は、裏庭の自分の畑で、小学校時代の故里の友人、有安君達に教えて貰って「ぶどう」作りにも挑戦していました。他ではめったにお目にかかれない大変美味しいぶどうなのだそうです。玄人顔負けのような本格的なぶどう棚も設え、「出来たらお裾分けする」と、会うごとに、自慢げに口癖のように言っていました。その農園に、故里の友人の昔と変らない温もりを感じたのでしょうか、「フレンドリイシップ ファーム」となずけて、何やかやと野菜つくりにも挑戦していたのですが、3年前、がんに侵され帰らぬ人になったのです。
 その「ぶどう」を、高杉君がなくなった後、奥様が引き継がれたのでしょう。 「今年は、今までの欲を少し捨てたので、その分甘くできたような気がします」
 と、いう奥様の文面と一緒に送られてきました。
 まずは、兎も角と、高杉君の思いが、一杯にこもっているだろう、その故里のぶどうの一粒を口に頬張りました。甘いぶどうの香とともに、「フレンドリーシップ」という甘酸っぱい懐かしい心だけにしか味わえない匂いを嗅ぎながら、過ぎ去りし日々を、幾重にも思い出しながら、つれづれに時をやり過ごす事が出来ました。ぶどうの一粒にこんなに時間をかけて味わったことは、今までにないぐらいゆっくりと味わいました。

 故里って何でしょうね。不思議なものですね。