外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

お知らぜ& 薬物問題

2009-05-25 12:12:10 | 社会全般
先日からYouTubeへのリンクを張るようにしましたが、パソコンから正しくアクセスできない場合があったようですので、携帯用とパソコン用の二通りのアドレスを張りつけました。

「あれ?入れないよ…?」という状況となった方々には、ご迷惑をおかけしました。
モダネアーズとキャブ・キャロウェイ(写真:この格好良い姿が1930年代ですよ、皆さん!!!)の画像に、もう一度アクセスしてみてください。
dawase86さん、ご助言ありがとうございました。
m(__)m


さて、娘の高校在学中、父兄会に参加した時のこと。

父兄会には、時おり外部から講師を招いて勉強会をすることがあるのですが、その時は学校の所在地を所轄する藤沢警察署の方が、覚せい剤に関してお話ししてくださいました。

今から五年ほど前のことです。


正直言ってビックリしました。

『お父さん方は、覚せい剤の問題は我が家に無縁だと思っていらっしゃいませんか?』

『全国有数の名門校・S高校でさえ、校門のすぐ近くに合法ドラッグの自動販売機が設置してあったんです』

『また、私大の付属高校の文化祭では、合法ドラッグを正門の外で販売するというチラシが校内で出回っていました。』

『ご両親の時代にシンナーを吸うような問題児は、底辺の学校の生徒に限られていたかも知れません。しかし現在は違います。例え、しつけの厳しい学校の生徒さんでも、別の学校の友人と会ったり、別の学校の文化祭に行ったりすると、もう薬物のリスクとダイレクトに接することになるんです。』

これは大変な時代になったと思っていたら、果たして数年後に、同志社、早稲田、慶応などの大学で次々と薬物に関する事件が発生する状況となってしまいました。

それらの事件を報道するメディアについて私が今ひとつ物足りないと思うのは、多くの場合、健康に対する影響、あるいは中毒性に有無について訴えるにとどまっていることです。

合法ドラッグであろうが、違法ドラッグであろうが、そのような薬物の流通の裏側には、何らかの形で必ず反社会的な人物や勢力、すなわち、まともでない連中が潜んでいることは誰もが知っていること。

つまり、そのような薬物に手を染めることは、越えてはならない一線を越えて、反社会的勢力と能動的に接点を持つことを意味するのです。

この点において、未成年者が飲酒したり喫煙するという問題と、ことの重大性の次元が全く異なります。

現役の学生さんたちと食事する時には、
『薬物問題を健康への影響の問題と考えてはいけない。反社会的勢力との接点を持つかどうかの問題なんだ。だから学生ならば退学、社会人ならば懲戒免職など、実に厳しい社会的制裁があるんだ。』
『だから、万が一、親しい友人に奨められることがあっても、毅然とした態度をとるんだよ』
と、努めて触れるようにしています。

学生さんたちは、『なるほど』『そういうことですか』という表情をして真剣に耳を傾けてくれます。

愛する早稲田の後輩諸君が、この問題に対する正しい理解の上にたって、各々の輝く将来に向かって、まっすぐ進んでいってくれることを切望する次第です。
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"The Blues Brothers" and Cab Calloway

2009-05-24 20:03:41 | 映画、テレビ、漫画
今日は、朝方の豪雨にすっかり騙されて、出かけ損ねてしまいました。

国立競技場で関東インカレ、神宮では法明二回戦、東伏見では早慶戦と新人戦に向けた練習が行われているというのに
(T_T)

神宮では、法政が明治に連勝して、見事に完全優勝を達成しました。
武内、加賀美の主力投手を欠きながらも早明に一度も負けなかった厚い選手層は、賜杯にふさわしい立派なチームでした。

法政の皆様、優勝おめでとうございます。
そして大学選手権では、六大学の代表として、存分に暴れまくってください。
六大学の盟友として、早稲田ファンも応援いたしましょう!


さて、出かけそびれた私は、ふて寝した後に、昼過ぎからDVDで「ブルース・ブラザーズ」を観ました。

1980年に制作された本作品は、ブラックミュージックのノリを全編のベースにして、カーチェイスなどのアクション・シーンを随所に織り込んだ、とにかくアメリカっぽい陽気な名作です。

ジェームス・ブラウン、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、チャカ・カーンなどの大物ミュージシャンが勢揃いする、ブラックミュージックの好きな人間には信じられないような出演者の顔ぶれなのですが、私としては次の三人にも注目していただきたいと思います。

まず、トム・マローン。
映画ではトロンボーンとサックスを吹いていますが、ジャズ・オーケストラの鬼才であるギル・エバンンスのオーケストラで主にトランペットを担当した名手で、第二期のBS&Tにも参加しています。

次に、ルー・マリーニ。
映画ではアルト・サックスを吹いていまして、彼もBS&Tに参加していてサックスとアレンジを担当、その後もジェームス・テイラーのバックを務めるなど、守備範囲の広い腕利きミュージシャンです。


そして、何といってもキャブ・キャロウェイ!
映画では、孤児院の管理人として登場します、(写真の右端)

キャブ・キャロウェイは1930-40年代のスィング・ジャズ黄金時代を代表する大スター。
ニューヨークのコットン・クラブで、あのデューク・エリントンと人気を二分する超花形バンドのリーダーであり、かつ看板シンガー。
アメリカのテレビでは「スイングジャズ時代のプレスリー」などと紹介されたりしています。

白人が独占していた当時のキー・テレビ局に、アフロ・アメリカンのミュージシャンとして、初めて出演を果たした彼は、全ての黒人ミュージシャンから尊敬されています。
この映画への出演は、ミュージシャンたちの彼への尊敬の証でしょう。


とにかく、彼のノリの良さは半端ではありません。
彼の全盛期の映像を見ていると、スイング・ジャズがあの時代にはロックンロールのような存在だったことが分かります。

同じスイング・ジャズでも、ベニー・グッドマンやグレン・ミラーの白人リーダーが率いるバンドとは明らかに違う、押しが強く骨のあるサウンド。

私がDVDで持っているお気に入りの映像を、YouTubeで見つけました。
ぜひ、全盛期のキャブ・キャロウェイのノリノリぶりをご覧ください。
個人的には、映像の中でキャブが両脇に引き連れる二人の美女の素敵な仕草にもしびれます。

Cab Calloway携帯

Cab Callowayパソコン
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関東インカレ

2009-05-24 11:32:39 | 大学駅伝
関東インカレのハーフマラソンで、尾崎くんが二位に入る健闘。
早稲田の他の選手たちも良い成績だったようです。

5000mでは、矢澤くんがダニエル、柏原、石川に次ぐ4位。先週に続いて好調でした。

enjinさん、速報メールをありがとうございました。
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夜の東伏見( その2)

2009-05-23 23:54:28 | 大学野球
写真は、本日午後六時過ぎの東伏見の神社近くの通りです。
野球部員をはじめ、早稲田の運動部員たちが走り込みすることの多い道でして、寿司の「三河屋」さんが左手に見えます。

二日間に渡って、なぜ私が夜の東伏見をふらついているのか、さておき
仲間の一人から「趣味の音楽を話題にしたときは、ユーチューブ」へとリンクを張るのが、理解してもらいやすいですよと言われました。

それを受けて、先日モダネアーズというコーラス・グループを紹介いたしましたので、そのユーチューブへのリンクを今回は貼りました。
少し古くさい映像ですが、良き時代のアメリカン・ミュージックの輝きをご覧あれ。

Modernaires携帯

Modernairesパソコン
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夜の東伏見

2009-05-23 00:03:47 | 大学野球
写真は、本日の夜7時過ぎの東伏見の室内練習場です。

自主練習を続ける部員たちの声、学生コーチの笛、そして打球音が、絶えることなく夜の空に吸い込まれていきます。

早慶戦、そして新人戦に向けた部員たちの意気込みが、外の道路までビンビンと伝わってきましたよ。

こんな時間に東伏見をなぜ私がふらついていたかは、さておきまして、今週のナンバーと週ベ。
沢山の記事がありましたが、最も心に響いたのは、斎藤くんが文武両道について語っているところです。

「野球が上手くて、勉強もできることが文武両道ではない」
「野球をやって、勉強もちゃんとやる。その両方に取り組むことが、文武両道だと思います」


これと全く同じ趣旨のことを、実は私は高校一年生の春に、聞いたのです。


高校の体育の先生に、東京教育大在学中に体操団体で国体連覇、そして個人でも五輪強化選手だったW先生がいました。

ある日の昼休み、学校前のラーメン屋(今もある札幌屋)で、たまたま隣合わせになりました。
※当時の青山高校は、昼間の外食や喫茶店休憩も自由でした


「教頭先生がしきりに私たちに東大を受験しろとおっしゃいますし、母も同じような考えなんですが、僕は運動と音楽をやりたい。でも、きちんと両立できるのか、正直いって不安なんですよね」

そんな気持ちを率直に話したら、カウンターに並んでラーメンを食べながら、W先生はアドバイスしてくれました。
「なあay、俺の言うことを聞いて考えてみろ」
「一生懸命練習する、でも、その結果として勉強にあてる時間が、きっと制約されるだろう。それは避けられないことなんだ」
「練習に励んだ結果、勉強する時間が不十分になる、それを自覚して悩む、その一方で、試合に勝つためには練習する時間がもっと必要だとも悩む。」
「最終的な結果がどうなるかは分からない。でも、そうやってスポーツと勉強の両方に全力で取り組みつつも、それぞれの結果に必ずしも満足できずに悩むという気持ちをお前が抱く、そんな気構えをお前が持ちつづけることこそが、お前がスポーツと勉強を立派に両立しているということなんだよ。」

当時のW先生は40歳ぐらいだったと思います。

このアドバイス通り、完全燃焼の高校生活を私が過ごしたかといえば、必ずしもそうではなかった訳で、それは私の不徳のいたすところです。
W先生、ご期待に沿えず、ごめんなさい。
(;^_^A


野球と体操、競技種目も異なりますし、時代も違いますから、単純に比較はできないのかも知れません。
でも、大学三年生にして、体操の第一人者だったW先生と同じ境地に達している斎藤くんは、なかなか大したものだと思います。

もちろん斎藤くん個人の資質もあるのですが、もし学習塾通いの受け身の生活をしていたならば、今のような境地とはならなかったでしょう。

立派な若者を育てるスポーツの素晴らしさに、改めて感じ入るばかりです。

なお、マスコミは、高校からプロ入りした田中投手と斎藤投手を何かと比較したり、大学進学の損得を話題にしたがりますが、斎藤くんファンの皆さんは「勝手にどうぞ」と泰然と構えていらっしゃればよろしいかと。
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容疑者逮捕

2009-05-22 05:43:29 | 都立青山高校
中大教授だった高窪統さんを殺害した容疑者が逮捕されました。

事件から4ヶ月。
ずいぶん時間がかかりました。
でも、地道に捜査を続けてくださった警察の方々には、心から感謝の気持ちを申し上げたいと思います。

来月は青山高校の同窓会が日本青年館で行われます。
さぞかし高窪さんも出席したかったことでしょう。
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当たり週

2009-05-21 20:45:57 | 早稲田大学
「当たり年」という言葉があります。

だからと言って、こんな言い方があるのかどうかは分かりませんが、今週発売された週べとナンバーに目を通してみて、敢えて「当たり週」と言わせていただきたいと思います。


特に、ナンバーについては、野球、ラグビー、駅伝、サッカー、レガッタ、そして応援部など、幅広く早稲田の体育各部を取り上げてくれていますし、歴代の名選手に加えて、早稲田の出身者ではない方の視点で書かれた記事もあります。

私のブログに興味を示していただいている方々には、早稲田野球のファンの方が圧倒的に多いものと想像します。
ナンバーの記事を通じて、他の競技にも早稲田スピリットがそれぞれの形で脈々と受け継がれていることを理解していただけたら嬉しいですね。


個人的には、体育各部のバッチも興味深いものでした。
デザインが面白いですし、どれも各部の歴史と心意気を感じます。

そして応援部。
彼らが頑張って、一般学生と選手が一体になってこその早稲田スポーツですから。


明日、アルコールが抜けてから、改めて読み返してみたいと思う、充実の週べとナンバーです。

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ラブジェネレーション

2009-05-20 18:10:37 | 音楽
1971年(昭和46年)の4月、私は高校に入学しました。

当時の青山高校は、何ヶ月も授業が行なわれない深刻な学校紛争がようやく収束しつつも、その混乱が至る所に残る状況。

バリケード封鎖こそ機動隊によって既に解除されて授業は正常に行なわれるようになっていましたが、毎週月曜日の登校時間には校門前で、新左翼系セクトのシンパと思しき上級生たちが拡声器でアジ演説をぶってビラを配り、昼休みになると上級生たちが一年生の教室にオルグに来るのです。

音楽室の天井は、機動隊に向けて投げられた火炎ビンで焦げた跡が残り、体育館の壁や折り畳み椅子には「全共闘」「全闘委は闘うぞ」などとマジックインキでの書き込みが散見されるなど、全学集会や機動隊と衝突した生々しい痕跡がありました。
そんな紛争の影響もあって、堅苦しい詰襟の制服がなく、ジーパン・サンダルで登校してもOKでしたし、場所柄、OBの大学生も運動部や新聞部などの部室に普段から頻繁に出入りしていましたから、ちょっと大人びた、大学のような雰囲気が漂う高校でした。


さて、入学式が終わると、私たちは、教室に分かれて新しいクラスメート同士で自己紹介を行ないました。

氏名、出身中学、そしてあとは趣味やクラブ活動などを話題にするわけで、この中には、北鎌倉の閻魔さまの前で先日ピアノを弾いたSくん、あるいは、Nさんの主催する「どがじゃか会」で偶然再会したH嬢もいました。
そして、その中に面白い自己紹介をする男がもう1人いました。

最前列に座っていた彼はノソっと立ち上がり、後ろを振り返って「渋谷区立代々木中学出身のTです。岡林信康のような政治的偏向のある歌が好きです。」と言ってニコッと笑いました。

何せ、冒頭にお話ししたように学校紛争の生々しい傷が残る雰囲気でしたから、もし気難しい表情でそんなことを言われたら、ちょっと緊張の走る雰囲気になったに違いありません。

でも、その彼の笑顔がとても人なつっこいものだったので、教室がどっと沸きました。


Tくんが好んで聴いた岡林信康は、ベトナム戦争や学校紛争で揺れた時代における象徴的な歌手で、政治的メッセージの強い「山谷ブルース」「チューリップのアップリケ」などを歌い、「反戦フォークの旗手」「日本のボブ・ディラン」などと呼ばれていました。

中学生時代、私も岡林信康の歌をラジオの深夜放送で聴きましたが、歌詞はともかく、フォークギターを抱えて唄うサウンド自体には、実は殆ど興味を覚えませんでした。

しかし、私が中学三年生の時に発表されたセカンド・アルバム『見る前に跳べ』から、伝説のバンド「はっぴいえんど」がバックで演奏するようになり、サウンドが一気にロックへ移行して、私も好んで聴くようになりました。


私が最も好きだった曲が『ラブ・ジェネレーション』

ジャックスの早川義夫さんの作品ですが、「はっぴいえんど」が送り出すタイトなビートに乗って岡林さんが歌う、独特の早川義夫ワールドが最高です。

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[ラブジェネレーション]
(詞・曲:早川義夫)
Love Generation


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このアルバムの収録曲を眺めると、「おまわりさんに捧げる歌」「性と文化の革命」「自由への長い旅」「私たちの望むものは」「NHKに捧げる歌」というような曲名が並びます。
タイトルを一見しただけでも、体制や秩序への反発というか、あの時代の空気をヒシヒシと感じます。

また、「ゆでめん」を録音していた頃の初期の"はっぴいえんど"サウンドが心地良いですよ。

それにしても、こんな歌を好むTくんや私は、今考えると、先生たちの目から見て可愛いげのある中学生ではなかったでしょうね。
「お前ら、小難しいことを言わずに、『走れコータロー』でも歌ってろ」みたいな。
(;^_^A


なお、植物学者を父に持つTくんは、高校では勉強そっちのけで柔道に打ち込んでいましたが、その後は北海道大学の大学院で生物を研究し、結局、お父上と同じ道を歩んでいます。
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早慶戦に向けて

2009-05-19 18:25:53 | 大学野球
東京生まれの私ですが、両親は共に愛知県名古屋市千種区の出身であります。

愛知県は、日本屈指の野球風土の一つだと思います。
今年84歳となる私の父も、いまだに野球大好き人間です。

愛知県の野球は、明治時代に、旧制愛知一中(現・旭丘高校)、愛知二中(現・岡崎高校)、そして愛知四中(現・時習館高校)が野球部を発足させて、強豪として全国に名を轟かせたところから始まります。全国大会の決勝が愛知県勢同士という年もあったそうです。
時代が大正になると、愛知商業、中京商業、東邦商業、享栄商業などの商業学校が台頭し、元号が昭和・平成と移り変わっても、常に全国の高校野球を牽引する地域の一つであったと思います。

このような野球の歴史の話題となるとdawase86さんの独壇場でして、私なぞ足元にも及ばないのですが、なぜこれを話題にしたかというと、その野球王国・愛知が、第二次大戦中には野球を敵性競技として排除しようとする急先鋒だったことを知り、ショックを受けたからです。

昭和18年1月、『愛知県は、現戦局下米英撃滅体制を確立するための一助として、米国国技たる野球をはじめ、一切の米英的運動競技を学園はもとより全県内から徹底的に排除する。』という決議を、よりによって野球王国・愛知県の県政調査会内政部委員会が全国に先駆けて行なったのです。


当時の雑誌などから当時の論調を確かめてみると、
『愛知県政務調査会内政部委員会では米国の競技である野球をはじめ、米英的運動競技を全県下から排撃しろという決議をしたそうである。これに関し山田内政部長は野球をやっていては敵愾心の昂揚はできないと説明している。それならばやらなくてもよいのである。』

『野球だけが運動ではないし団体的訓練もほかのことで充分訓練できる。アメリカあたりでは、日本で一番普及したスポーツのベースボールはアメリカが教えてやったんだ、くらいのことを言いふらしているかもしれない。そのようなことを言わせておく手はない。』

『要は敵愾心の問題であるが、伊豆の下田では唐人お吉やハリスの銅像を取り払い、米国を「ギャング」、英国を「海賊」と呼ぶことにしたそうである。』

このような「英米憎し」の荒波は、英語教育にも及びました。

『修業年限の短縮、大学院の更生、専門学校となる師範学校等幾多の画期的な学制改革が断行され、この4月から実施される。とりわけ英語の扱いに注目すべきものがある。』

『中学では1、2年が必須で3年以上自由選択、女学校では全部自由選択で、華々しい刷新ではないが、英語を自由選択科目にしたことが画期的なことである。』

『今までは英語を知ることが方便から転じて絶対必要なものであるかの程度にまでなっていた。鉄道といわず街路といわず、日常生活に英語が必須のものになっており、日本が米英の植民地であるかのごとき観を呈していた。』

『一般の日常生活に英語などちっとも要らないのである。1週間に何時間も英語に苦労してきた学校生活を思い出して、馬鹿げたことだったと思わない人は少ないだろう。』 

いわゆる知識人たちが、万事こんな調子でもっともらしく吹聴しているのですから、たまったものではありません。本当にひどい時代でした。

現在でも良く知られている『ストライク』=『よし一本』 『アウト』=『だめ』という審判用語の改正がこの年に行なわれ、同年10月には「最後の早慶戦」が挙行されたことをみても、日本の学生野球の歴史において最も悲しい年であったと言ってもよいでしょう。

「最後の早慶戦」に関しては、壮行試合の開催の是非について、当時の早大当局の消極的姿勢が現在に至るまで問題視されるわけですが、大学を取り巻く社会全体がこんな状況であったことを考えると、大学当局を非難することはなかなか難しいのかなあという気持ちにもなってきます。
そして、想像を絶する困難な時代に、最終的に壮行試合が断行されたという厳然たる事実の重みこそを、心で受けとめたいと思うわけです。


今年も、春の早慶戦が近づいてきました。

野球を守り抜いてきた多くの先輩たちのご苦労に思いを馳せながら、平和な時代の伝統の一戦を、心ゆくまで楽しみたいと思います。
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明治の島岡監督のテレビ番組

2009-05-19 08:17:40 | 大学野球
今日の14時30分からBS2で、「あの人に会いたい」と題して明治の島岡さん、西鉄の稲尾さんの特集番組が放送されます。
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