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5月16日(木): 複数の宇宙船が語る太陽の嵐の物語/ミッション別ページ

2024年05月16日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

複数の宇宙船が語る一つの巨大な太陽嵐の物語

<はじめに>: 引続き 「火星探査写真集(5月8日)」 からの記事である。太陽面の爆発(CME:コロナ質量排出)は太陽系内部に配置された探査機群にも影響を与えることがある。以下は、一つの CME の例を取り上げた物語の一部である。

2021年4月17日、まばゆい閃光が噴き出した。このような太陽からの爆発は珍しいことではないが、この爆発は異常に広範囲に及び、光速に近い速度で陽子や電子を投げつけ、太陽系内の複数の宇宙船に衝突した。

実際に、太陽高エネルギー粒子(SEP:solar energetic particles)と呼ばれるこのような高速の陽子と電子が、初めて、太陽と地球の間の五つの異なる場所にある探査機や火星を周回する探査機によって観測された。そして、今、太陽嵐に関するこれらの多様な視点が、潜在的に危険な SEP が、太陽現象によって様々な方向の宇宙空間に吹き飛ばされ、広がる可能性を明らかにしている。

科学者達のチームは、各宇宙船にどのような粒子がいつ衝突したかを分析し、その成果を「Astronomy & Astrophysics」に発表した。


現在、水星に向かっているベピコロンボ探査機は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)と日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同ミッションであり、爆風の直接の放射線に最も近く、最も強い粒子で叩かれた。そのとき、NASAのパーカー太陽探査機(Parker Solar Probe)とヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船(Solar Orbiter)はフレアの反対側にいたが、パーカー太陽探査機は太陽に近かったために、太陽軌道船よりも大きな打撃を受けた。NASAの二つの太陽地球観測所(STEREO)探査機の一つ STEREO-A で、NASAとヨーロッパ宇宙機関の太陽圏観測所(SOHO)とNASAのウィンド宇宙船が続いたが、これらは地球に近く、爆風から遠く離れていた。火星を周回するNASAのメイブン(MAVEN)とヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレス(Mars Express)宇宙船が、この出来事からの粒子を最後に感知した。

全体として、粒子は縦210度(太陽のほぼ3分の2)の空間で検出されたが、これは通常の太陽の爆発によってカバーされるよりもはるかに広い角度である。さらに、各探査機は、その場所で異なる電子と陽子の洪水を記録した。さまざまな探査機によって記録された粒子の到着と特性の違いは、 SEP が何時、どのような条件で宇宙に放出されたかをつなぎ合わせるのに役立った。

これらの手がかりは、この SEP が単一の発生源によって一度に吹き飛ばされたのではなく、異なる方向に、異なる時期に、異なるタイプの太陽噴火によって推進された可能性があることを示唆した。

研究チームは、電子は最初の閃光(太陽フレア)によって急速に宇宙空間に押し出され、陽子はよりゆっくりと、おそらく太陽物質の雲からの衝撃波、またはコロナ質量放出によって押し出された可能性が高いと結論付けた。

電子と陽子の加速源が異なっていると推測されたのはこれが初めてではなく、この測定は、複数の視点から科学者達が多様なプロセスをよりよく分離し、電子と陽子が異なるプロセスに由来する可能性があることを確認できるという点でユニークだった。

フレアとコロナ質量放出に加えて、探査機は、イベントの中で太陽からの電波の爆発を四つのグループで記録し、異なる方向への四つの異なる粒子爆発を伴った可能性がある。この観察は、粒子がどのようにしてこれほど広範囲に広がったかを説明するのに役立つかもしれない。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Vanessa Thomas (著者名です)

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5月15日(水): 科学者達、火星の太陽嵐に備える/ミッション別ページ

2024年05月15日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

NASAの科学者達、火星の太陽嵐に備える

<始めに>: この数日、太陽の、地球に向かった面に大きな爆発(CME:コロナ質量放出)が起き、地球では、普段は見られない極を離れた南の地方までオーロラが観測され、話題となった。以下は、5月1日に掲載した 「火星探査の今」 からの記事である。地球はオーロラが証明するように比較的厚い大気の層で覆われているが、火星は大気が薄く、将来の有人探査では、これら放射線の防御が重要な課題になってくる。このところの地球でのオーロラに先立つように、最近の火星探査の記事には強力な太陽からの嵐に備えるいくつかの記事が掲載された。

今年は太陽の活動がピークを迎え、太陽嵐や放射線が火星の将来の宇宙飛行士にどのような影響を与えるかを研究する貴重な機会となる。

今後数カ月、NASAの火星探査機2機は、太陽フレア(太陽表面での巨大爆発)が、火星のロボットや将来の宇宙飛行士達にどのような影響を与えるかを調査する前例のない機会を得ることになる。

これは、約11年ごとに発生する、太陽活動極大期と呼ばれる活動のピーク期に突入するためである。太陽活動極大期には、太陽フレアやコロナ質量放出など、様々な形で激しい活動を起こし、宇宙の奥深くに放射線を放出する。これらの一連の太陽現象は太陽嵐と呼ばれる。 地球の磁場は、これらの嵐の影響から地球自体を大きく保護しているが、火星は遠い昔に地球規模の磁場を失い、太陽の高エネルギー粒子に対してより脆弱になった。火星の太陽活動はどのくらい激しくなるのだろう? 研究者達は、現在の太陽活動極大期が、それを解明するきっかけになることを期待している。宇宙機関は、人間をそこに送り込む前に、宇宙飛行士達がどのような放射線からの防護を必要とするかなど、多くの詳細を判断する必要がある。

<ひとこと>: 大判イメージはありません。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

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5月14日(火): NASA、火星ロボット商業サービス研究を選ぶ/ミッション別ページ

2024年05月14日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

NASA、火星ロボット科学を可能にする商業サービス研究を選ぶ

低コストで高頻度の火星ミッションをサポートするための商用サービスのコンセプトの、初期段階の研究する9社が選ばれた。

NASAは、火星への科学ミッションを可能にするために、商用サービスをどのように適用できるかについて、合計12の概念研究を実施する米国の企業9社を特定した。各受賞者は、200,000 ドルから 300,000 ドルを受け、物資の配送、通信の中継、撮像など、将来の火星へのミッションをサポートする可能性のあるサービスに関する詳細なレポートを作成する。 これらの企業は、1月29日に米国産業界からの提案要請に応じた企業の中から選ばれた。

NASAの火星探査プログラムは、優先度の高い科学目標を前進させる可能性のある火星へのミッションの新しいパラダイムの確立を支援する提案の募集を開始した。選ばれた提案の多くは、現在、月と地球に焦点を当てている既存のプロジェクトを火星ベースのアプリケーションに適合させることに重点を置いている。

その中には、他の宇宙船を火星に運ぶための「スペースタグボート」、科学機器やカメラを搭載する宇宙船、通信中継機などがある。求められているコンセプトは、今後20年間、火星への頻繁で低コストのミッションを可能にするために、政府、産業界、および国際的なパートナー間のパートナーシップの幅広い戦略をサポートすることを目的としている。

<ひとこと>: これは、5月7日付で 「火星探査の今」の記事 に掲載したものです。いよいよ公式な有人火星探査の検討が始まりました。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

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5月13日(月): ハッブル、保全4運用開始15周年を祝う/お知らせ/ミッション別ページ

2024年05月13日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

ハッブル宇宙望遠鏡、ミッション4運用開始の15周年を祝う

2009年5月11日に打ち上げられ、12日間にわたって実施された第4回保全ミッション(SM4)は、望遠鏡の欠陥のある視界を修復する最初のミッションよりも高いリスクを伴う、それまでのどのミッションとも異なっていた。これはハッブル宇宙望遠鏡にとって最後のスペースシャトルミッションとなり、2004年には(補足;修復に必須な)スペースシャトルの引退も発表された。宇宙飛行士達は、二つの新しい機器を設置し、主要部品を交換して更新することに加えて、望遠鏡の設計時には想定もしなかった修理を行った。

スペースシャトル「アトランティス」で7人の宇宙飛行士がハッブル宇宙望遠鏡に向かったときには、救助が必要になった場合に備えて、2機目のシャトル「エンデバー」が打上台で待機した。2003年にスペースシャトル「コロンビア」の事故後、安全上の懸念からその後の保全ミッションはキャンセルされた。

ハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙での保全を前提に設計・製造されており、簡単に交換できるモジュール式のプラグアンド・プレイスタイルのコンポーネントを備えている。宇宙飛行士達は、SM4 までに4回訪れている。SM3 は、ハッブル宇宙望遠鏡の緊急修理を迅速に行うために、二つのミッション( 3A と 3B )に分かれていた。 SM4 では、この作業のために特別に設計されたツールを使って、コンポーネントを交換し、電源を再ルーティングし、機器を完全な機能に復元した。

宇宙飛行士達は、二つの古い科学機器を取り外し、可視光のみならず紫外線と赤外線の波長も観測する強力なカメラ、広視野カメラ3(WFC3:Wide Field Camera 3)と、宇宙天体からの紫外線を成分の色に分解して分析する宇宙起源分光器(COS:Cosmic Origins Spectrograph)を追加した。

宇宙飛行士達は、新しい科学用コンピュータと断熱材を設置した。彼らは、ハッブル宇宙望遠鏡がどのくらいの速さでどの方向に回転しているかを決定する望遠鏡の19年前の電池とすべてのジャイロスコープを改良版に置き換えた。これらのジャイロスコープの三つは、ハッブル宇宙望遠鏡に以前搭載されたどのジャイロスコープよりも長く動作し、一つは15年間連続して動作し、9兆回転以上を完了している。

ハッブル宇宙望遠鏡はそれまでの能力を凌駕する強力な宇宙船となった。打上げ以来、ハッブル宇宙望遠鏡のデータは、 21,000 以上の科学論文の情報源となっている。そのうち 6,000 台以上(約30%)は、 SM4 に搭載された新しい機器に因っている。

<図> ミッション4のサービス中にハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3が設置された。ミルキウェイ銀河で最も高温で明るく、最も重い恒星のいくつかを含む星団、ウェスタールンド2のイメージを撮った。

ハッブル宇宙望遠鏡が軌道上で35年目を迎えるにあたり、保全ミッション4の遺産は、望遠鏡の科学的な恩恵に表れている。「ハッブル宇宙望遠鏡は、かつてないほど科学的に生産的になり、NASAの科学の主要ミッションのポートフォリオにおいて重要な役割を果たしている。

<ひとこと>: 記事は抜粋及び意訳です。大判はイメージのリンクから。ハッブル搭載の機器類は こちら から。

<出典>: NASA Hubble Mission Team

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<お知らせ>: 地球に向かう太陽面の巨大な爆発が続いており、オーロラが、北海道を含む、これまでにない南の地方でも観測されています。更に続く可能性もあります。詳細は下表「宇宙科学の話題」から。

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5月12日(日): 夜のヨーロッパ/ミッション別ページ

2024年05月12日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

夜のヨーロッパ

2024年1月19日、国際宇宙ステーションがフランス東部上空を周回していたとき、宇宙飛行士が夜中のヨーロッパ北西部のまばゆいばかりの景色を捉えた。

イギリス海峡と北海の暗闇に、都市や町からの光が浮かび上がっている。写真には、フランスの首都パリを含む西ヨーロッパの大都市のいくつかが見える。アムステルダムとオランダ、ロンドンとイギリス。照らされた道路やインフラがこれらの明るい大都市圏をつないでいる。

この写真は斜めの角度で撮影され、地平線がイメージの上部にある。輪郭のかすかな緑色の光は、高緯度でのオーロラだろう。

特に英国では、薄い雲の層が、黄色と白の光の一部をぼやけさせている。

地球の夜景は、研究者達に、地球の人間の活動に関するユニークな視点を提供する。これらは、市街地の範囲や人々のアクセス、電気、また、自然災害後のインフラの被害を評価するのにも役立つ。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Earth Observatry

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5月11日(土): オマーン湾の複雑な美しさ/ミッション別ページ

2024年05月11日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

オマーン湾の複雑な美しさ

2024年2月8日、NASAの PACE (プランクトン、エアロゾル、雲、海洋生態系)衛星が、SpaceX の Falcon 9 ロケットに搭載されて宇宙に轟音を響かせた。 PACE の OIC(Ocean Color Instrument)装置が、2024年3月17日に、このイメージのデータを取得した。この場面は、赤(630ナノメートル)、緑(532ナノメートル)、青(465ナノメートル)の波長の光を使用して構成された。イメージは、水中の詳細を浮かび上がらせるように画像を調整している。つまり、従来の意味での自然色イメージではない。

ここに描かれた最も注目すべき特徴の中には植物プランクトンの開花がある。植物プランクトンの個体群は、条件が整えば爆発的に増加し、宇宙から見えるほど大きな花を形成することがある。この日は、乱流の渦が、花を細く渦巻く帯状に引き寄せている。

広いアラビア海では、ここ数十年、珪藻海洋食物連鎖にとって重要な、植物プランクトンの一種である 夜光虫(Noctiluca ecintillans) が優勢である。珪藻類とは異なり、これはより成層的であり、栄養素が少ない水域でも繁殖できる。

どのような植物プランクトン種が存在するかの判断は、これまで、直接のサンプルによってのみ可能だった。しかしながら、 OCI は数百の波長の光を検出できるので、科学者達は、間もなく、宇宙から植物プランクトンの種類を区別できるようになるかもしれない。

<ひとこと>: 記事は大幅に省略しています。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Earth Observatry

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5月10日(金): 巨大な星の託児所/ミッション別ページ

2024年05月10日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

巨大な星の託児所

約300万光年離れた渦巻銀河 M33 の腕の中にある巨大な星の苗床 NGC 604 は、直径約 1,300 光年である。これは、惑星地球に最も近い大きな星形成領域、ミルキウェイ銀河のオリオン大星雲の約100倍の大きさである。実際に、ローカルグループ内の星形成領域の中で、 NGC 604 は 30 Doradus に次ぐ大きさであり、大きなマゼラン雲におけるタランチュラ星雲としても知られている。 NGC 604 の洞穴のようなバブルと空洞が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラからのこの驚くような赤外線イメージを満たしている。それらは、この領域からの200を超える熱い(巨大な)若い星達からの、エネルギーに満ちた星の風によって彫られており、全ては、未だ、それらの生涯の初期にある。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

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5月9日(木): X線や巨大マグネターフレアの可視光に残光がない/ミッション別ページ

2024年05月09日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

X線や巨大マグネターフレアの可視光に残光がない

2023年11月15日、インテグラルは僅か10分の1秒のガンマ線爆発を検出した。検出はジュネーブのインテグラル・サイエンス・データセンタに送られ、ソフトウェアは、それが近くの銀河 M82 から来たと断定した。インテグラルの地図上の小さな四角は、爆発の位置を示している。切り抜かれた二つのイメージの青い円は、対応する場所を示している。

この爆発についてさらに詳しく知るために、科学者達は XMM-Newton にX線で観測するよう指示し、イタリアのガリレオ国立望遠鏡(TNG)などの地上の光学望遠鏡を使って可視光線で追跡調査を行った。

XMM-Newton の観測は、銀河系内の高温のガスと星だけを示している。爆発自体から来るX線のフェージングソースはない。 TNG による可視イメージは M82 からの光のみを示しており、爆発による追加の残光はない。

X線と可視光線では対応する検出が得られなかったため、この爆発は M82 銀河のマグネターからの巨大フレアと同定された。マグネターは極めて磁気を帯びた中性子星で、自転速度が速い。その巨大なフレアは非常に稀で、このフレア以前に我々の銀河系のマグネターから測定されたのは三つのみである。

イメージの説明: ヨーロッパ宇宙機関のインテグラル衛星のガンマ線検出器によって測定された空の一部。ぼんやりとした青い塊が、濃い青の空の地図に点在している。一つのブロブは他のブロブよりもはるかに明るく、二つのイメージはこのブロブの切り抜きのズームインを示している。切り抜きの1枚は銀河からのX線、もう1枚は可視光での観測である。この二つの切り取られたイメージには、銀河 M82 だけが写っており、輝点からの追加の信号は見られない。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Week in images (ESA)

<参考>: ヨーロッパ宇宙機関の「今週のイメージ」は、複数の記事が同時に掲載されます。リンク先から該当する記事を追ってください。

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5月8日(水): ほ座超新星の残骸のフィラメント/ミッション別ページ

2024年05月08日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

ほ座超新星の残骸のフィラメント

爆発は終わったがその影響は続いている。 約1万1千年前、有史以来歴史の始まりの頃に生きた人間が短く見えた不思議な光の点をつくって ほ座(Vela) の星が爆発するのが見えた。この恒星の外層が星間物質に衝突し、今日でも目に見える衝撃波を発生させている。 この示されたイメージは、可視光線でのフィラメント状の巨大な衝撃の一部を捉えている。爆発した星からのガスが飛び去るとき、崩壊して星間物質と反応し、さまざまな色とエネルギーのバンドの光を生み出す。このほ座超新星の残骸の中心には、核物質と同じくらい密度の高い、1秒間に10回以上回転する星、パルサーがある。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンク先から。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

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5月7日(火): トラのための余地を捜す/ミッション別ページ

2024年05月07日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

トラのための余地を捜す

人口が増加するにつれて、生息地の喪失が多くの生物を脅かしている。人工衛星を用いた野生生物の生息地のマッピングは、急速に拡大している生態学の分野であり、NASAの衛星は、これらの取り組みにおいて重要な役割を果たしている。トラは、NASAが宇宙から生息地の追跡を支援している脆弱な大型哺乳類の一つに過ぎない。

トラは、過去2世紀の間に、かつてユーラシア大陸に広がっていた歴史的な生息域の少なくとも93%を失った。現在、大型ネコ科動物はわずか10カ国のみに生息しており、そのほとんどがアジアである。科学者達は、約 3,700 〜 5,500 頭の野生のトラが残っていると推測しているが、これは、2010年の推定最低 3,200 から増加した。

最近の分析で、研究者達は、2001年から2020年までのトラとその生息地に関するデータを含む500以上の研究を再精査した。この研究チームは、大型ネコ科動物が生息していることが知られている地域が、2001年の約102万5千平方キロメートルから、2020年には、約91万 2000 平方キロメートルへと、過去20年間で11%減少したことを明らかにした。

東南アジアの国々は、最も大きな打撃を受けた。研究者達は、過去20年間で、大型ネコ科動物はカンボジア、ベトナム、ラオスの3カ国から姿を消したと報告している。これらの国々でも生息地の減少が見られたが、研究チームは、生息地の喪失だけがトラの個体数の減少の背景にあるかどうかは不明だと述べた。また、動物は違法に狩猟されて殺されたり、食料源がなくなるにつれて衰退したりする可能性もある。

タイなど、この地域の他の国々でもトラの生息地が失われた。しかし、タイ東部の一部や西部森林団地と呼ばれる大規模な保護区では、タイのトラは十分に保護されている。これらの地域は、他の地域に分散する可能性のあるトラの発生源である可能性があると、2023年12月掲載の研究は述べている。

野生生物保護協会(WCS)が主導し、NASAの生態保護プログラムから資金提供を受けたチームは、グーグルアースエンジンとNASAの地球観測データを使ってトラの生息地の変化を監視するツールを開発した。

右の図は、トラの生息域(黄褐色)とみなした、2020年1月時点のトラの生息状況を表すものである。オレンジ色のエリアは、トラが生息していることがわかっている生息地のゾーンを示している。これらの地域は、獲物の個体数を含め、保全と拡大が求められる地域であると研究チームは結論付けた。緑は、トラが最近生息していない「空き林」であるが、過去にはトラの生息地であり、現在もトラの個体数を支えるのに十分な広さがあるために、トラの回復のための潜在的な場所である。残りの色は、生息地として適している可能性があるがトラの生息地が不明な場所(茶)と、生息地が細分化されすぎてトラが生息できない地域(黒)を示している。

トラの生息地となる可能性のある場所(緑)が広範囲に広がっていることに注目しよう。もしトラが自然分散や積極的な再導入によってこれらの地域に到達できれば、そこで生き延びるのに十分な食料があると仮定すれば、「トラの陸上基盤を50%増やすことができる」と科学者達は報告している。

トラが野生で絶滅すると思われていたのはそれほど昔のことではない。世界には、トラの専門家が考えているよりもはるかに多くのトラの生息の余地がある。

<ひとこと>: 左上のイメージの大判は省略、右下のイメージの大判はリンクから。

<出典>: Earth Observatry

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5月2日(木): 火星の「クモ」の痕跡を発見/お知らせ/ミッション別ページ

2024年05月02日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

<お知らせ>: 5月3日(木)~5月6日(月)の更新は休みます。

   ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

マーズ・エクスプレス、火星のインカ・シティで「クモ」の痕跡を発見

ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスが撮影したこのイメージの黒い斑点は、火星の南極地域に散らばる「クモ」の明らかな兆候である。これらの小さな徴は、炭酸ガスが太陽光で暖められ、上にある氷のスラブを突き破り、枝分かれした溝の表面を彫り、暗い物質を表面に引きずり上げて暗い斑点をつくるときに形成される。

このような斑点の多くは、インカシティと呼ばれる火星の一部の郊外にあるフレームの左側の暗い領域内に見られる(下に全体のイメージ)。この名前の理由は明確であり、直線的で幾何学的な尾根のネットワークがインカの遺跡を彷彿とさせる。

このイメージは、2024年2月27日に、マーズ・エクスプレスの高解像度ステレオカメラ(HRSC)が、軌道 25449 で収集したデータで構成されている。これは、火星の表面に垂直に位置合わせされた真下のチャンネル(nadir channel)、およびカメラのカラーチャンネルからのデータを使用して作成された。地上の解像度は15メートル/ピクセルであり、イメージの中心は東経 300 度/南緯 79 度である。

<イメージの説明>: 火星の長方形のスライスが茶色と黄褐色の色調で示されている。地形は左に行くほど暗くなり、右に行くほど滑らかで明るくなる。イメージの中央部分には様々な物質の堆積物の渦巻く片が見られる。左側にはインカ・シティと呼ばれる直線的な格子状の尾根と壁の隆起したネットワークと、氷の下に「クモ」と呼ばれる特徴が存在することを示す黒い斑点(大判を参照)が散在している二つの重要な特徴が見られる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。これは長文の記事の中のごく一部であり、4月30日に 「火星探査の今」 に掲載した記事の再掲です。

<出典>: Mars Express

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5月1日(水): 複数の宇宙船が語る太陽嵐の物語/お知らせ/ミッション別ページ

2024年05月01日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

複数の宇宙船が語る一つの巨大な太陽嵐の物語

2021年4月17日、まばゆい閃光が噴き出した。このような太陽からの爆発は珍しいことではないが、この爆発は異常に広範囲に及び、光速に近い速度で陽子や電子を投げつけ、太陽系内の複数の宇宙船に衝突した。
--- イメージのリンク先は gif 動画です。

実際に、太陽高エネルギー粒子(SEP:solar energetic particles)と呼ばれるこのような高速の陽子と電子が、初めて、太陽と地球の間の五つの異なる場所にある探査機や火星を周回する探査機によって観測された。そして、今、太陽嵐に関するこれらの多様な視点が、潜在的に危険な SEP が、太陽現象によって様々な方向の宇宙空間に吹き飛ばされ、広がる可能性を明らかにしている。

科学者達のチームをは、各宇宙船にどのような粒子がいつ衝突したかを分析し、その成果を「Astronomy & Astrophysics」に発表した。

現在、水星に向かっているベピコロンボ探査機は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)と日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同ミッションであり、爆風の直接の放射線に最も近く、最も強い粒子で叩かれた。そのとき、NASAのパーカー太陽探査機(Parker Solar Probe)とヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船(Solar Orbiter)はフレアの反対側にいたが、パーカー太陽探査機は太陽に近かったために、太陽軌道船よりも大きな打撃を受けた。NASAの二つの太陽地球観測所(STEREO)探査機の一つ STEREO-A と共に、NASAとヨーロッパ宇宙機関の太陽圏観測所(SOHO)とNASAのウィンド宇宙船が続いたが、これらは地球に近く、爆風から遠く離れていた。火星を周回するNASAのメイブン(MAVEN)とヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレス(Mars Express)宇宙船が、この出来事からの粒子を最後に感知した。

全体として、粒子は縦210度(太陽のほぼ3分の2)の空間で検出されたが、これは通常の太陽の爆発によってカバーされるよりもはるかに広い角度である。さらに、各探査機は、その場所で異なる電子と陽子の洪水を記録した。さまざまな探査機によって記録された粒子の到着と特性の違いは、 SEP が何時、どのような条件で宇宙に放出されたかをつなぎ合わせるのに役立った。

これらの手がかりは、この SEP が単一の発生源によって一度に吹き飛ばされたのではなく、異なる方向に、異なる時期に、異なるタイプの太陽噴火によって推進された可能性があることを示唆した。

研究チームは、電子は最初の閃光(太陽フレア)によって急速に宇宙空間に押し出され、陽子はよりゆっくりと、おそらく太陽物質の雲からの衝撃波、またはコロナ質量放出によって押し出された可能性が高いと結論付けた。

電子と陽子の加速源が異なっていると推測されたのはこれが初めてではなく、この測定は、複数の視点から科学者達が多様なプロセスをよりよく分離し、電子と陽子が異なるプロセスに由来する可能性があることを確認できるという点でユニークだった。

フレアとコロナ質量放出に加えて、探査機は、イベントの中で太陽からの電波の爆発を四つのグループで記録し、異なる方向への四つの異なる粒子爆発を伴った可能性がある。この観察は、粒子がどのようにしてこれほど広範囲に広がったかを説明するのに役立つかもしれない。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Vanessa Thomas(著者名です)

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<お知らせ>: 5月3日~5月6日の更新は休みます。

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