ハッブル宇宙望遠鏡、ミッション4運用開始の15周年を祝う
2009年5月11日に打ち上げられ、12日間にわたって実施された第4回保全ミッション(SM4)は、望遠鏡の欠陥のある視界を修復する最初のミッションよりも高いリスクを伴う、それまでのどのミッションとも異なっていた。これはハッブル宇宙望遠鏡にとって最後のスペースシャトルミッションとなり、2004年には(補足;修復に必須な)スペースシャトルの引退も発表された。宇宙飛行士達は、二つの新しい機器を設置し、主要部品を交換して更新することに加えて、望遠鏡の設計時には想定もしなかった修理を行った。
スペースシャトル「アトランティス」で7人の宇宙飛行士がハッブル宇宙望遠鏡に向かったときには、救助が必要になった場合に備えて、2機目のシャトル「エンデバー」が打上台で待機した。2003年にスペースシャトル「コロンビア」の事故後、安全上の懸念からその後の保全ミッションはキャンセルされた。
ハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙での保全を前提に設計・製造されており、簡単に交換できるモジュール式のプラグアンド・プレイスタイルのコンポーネントを備えている。宇宙飛行士達は、SM4 までに4回訪れている。SM3 は、ハッブル宇宙望遠鏡の緊急修理を迅速に行うために、二つのミッション( 3A と 3B )に分かれていた。 SM4 では、この作業のために特別に設計されたツールを使って、コンポーネントを交換し、電源を再ルーティングし、機器を完全な機能に復元した。
宇宙飛行士達は、二つの古い科学機器を取り外し、可視光のみならず紫外線と赤外線の波長も観測する強力なカメラ、広視野カメラ3(WFC3:Wide Field Camera 3)と、宇宙天体からの紫外線を成分の色に分解して分析する宇宙起源分光器(COS:Cosmic Origins Spectrograph)を追加した。
宇宙飛行士達は、新しい科学用コンピュータと断熱材を設置した。彼らは、ハッブル宇宙望遠鏡がどのくらいの速さでどの方向に回転しているかを決定する望遠鏡の19年前の電池とすべてのジャイロスコープを改良版に置き換えた。これらのジャイロスコープの三つは、ハッブル宇宙望遠鏡に以前搭載されたどのジャイロスコープよりも長く動作し、一つは15年間連続して動作し、9兆回転以上を完了している。
ハッブル宇宙望遠鏡はそれまでの能力を凌駕する強力な宇宙船となった。打上げ以来、ハッブル宇宙望遠鏡のデータは、 21,000 以上の科学論文の情報源となっている。そのうち 6,000 台以上(約30%)は、 SM4 に搭載された新しい機器に因っている。
<図> ミッション4のサービス中にハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3が設置された。ミルキウェイ銀河で最も高温で明るく、最も重い恒星のいくつかを含む星団、ウェスタールンド2のイメージを撮った。
ハッブル宇宙望遠鏡が軌道上で35年目を迎えるにあたり、保全ミッション4の遺産は、望遠鏡の科学的な恩恵に表れている。「ハッブル宇宙望遠鏡は、かつてないほど科学的に生産的になり、NASAの科学の主要ミッションのポートフォリオにおいて重要な役割を果たしている。
<ひとこと>: 記事は抜粋及び意訳です。大判はイメージのリンクから。ハッブル搭載の機器類は こちら から。
<出典>: NASA Hubble Mission Team
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<お知らせ>: 地球に向かう太陽面の巨大な爆発が続いており、オーロラが、北海道を含む、これまでにない南の地方でも観測されています。更に続く可能性もあります。詳細は下表「宇宙科学の話題」から。
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