天文・宇宙探査ニュース:画像を中心とした「新しい宇宙探査情報」のページです。

NASA、ESAを始め主に外国の宇宙探査情報を
ハッブルから宇宙ステーションまで、幅広く、毎日
提供しています。

5月7日(火): トラのための余地を捜す/ミッション別ページ

2024年05月07日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

トラのための余地を捜す

人口が増加するにつれて、生息地の喪失が多くの生物を脅かしている。人工衛星を用いた野生生物の生息地のマッピングは、急速に拡大している生態学の分野であり、NASAの衛星は、これらの取り組みにおいて重要な役割を果たしている。トラは、NASAが宇宙から生息地の追跡を支援している脆弱な大型哺乳類の一つに過ぎない。

トラは、過去2世紀の間に、かつてユーラシア大陸に広がっていた歴史的な生息域の少なくとも93%を失った。現在、大型ネコ科動物はわずか10カ国のみに生息しており、そのほとんどがアジアである。科学者達は、約 3,700 〜 5,500 頭の野生のトラが残っていると推測しているが、これは、2010年の推定最低 3,200 から増加した。

最近の分析で、研究者達は、2001年から2020年までのトラとその生息地に関するデータを含む500以上の研究を再精査した。この研究チームは、大型ネコ科動物が生息していることが知られている地域が、2001年の約102万5千平方キロメートルから、2020年には、約91万 2000 平方キロメートルへと、過去20年間で11%減少したことを明らかにした。

東南アジアの国々は、最も大きな打撃を受けた。研究者達は、過去20年間で、大型ネコ科動物はカンボジア、ベトナム、ラオスの3カ国から姿を消したと報告している。これらの国々でも生息地の減少が見られたが、研究チームは、生息地の喪失だけがトラの個体数の減少の背景にあるかどうかは不明だと述べた。また、動物は違法に狩猟されて殺されたり、食料源がなくなるにつれて衰退したりする可能性もある。

タイなど、この地域の他の国々でもトラの生息地が失われた。しかし、タイ東部の一部や西部森林団地と呼ばれる大規模な保護区では、タイのトラは十分に保護されている。これらの地域は、他の地域に分散する可能性のあるトラの発生源である可能性があると、2023年12月掲載の研究は述べている。

野生生物保護協会(WCS)が主導し、NASAの生態保護プログラムから資金提供を受けたチームは、グーグルアースエンジンとNASAの地球観測データを使ってトラの生息地の変化を監視するツールを開発した。

右の図は、トラの生息域(黄褐色)とみなした、2020年1月時点のトラの生息状況を表すものである。オレンジ色のエリアは、トラが生息していることがわかっている生息地のゾーンを示している。これらの地域は、獲物の個体数を含め、保全と拡大が求められる地域であると研究チームは結論付けた。緑は、トラが最近生息していない「空き林」であるが、過去にはトラの生息地であり、現在もトラの個体数を支えるのに十分な広さがあるために、トラの回復のための潜在的な場所である。残りの色は、生息地として適している可能性があるがトラの生息地が不明な場所(茶)と、生息地が細分化されすぎてトラが生息できない地域(黒)を示している。

トラの生息地となる可能性のある場所(緑)が広範囲に広がっていることに注目しよう。もしトラが自然分散や積極的な再導入によってこれらの地域に到達できれば、そこで生き延びるのに十分な食料があると仮定すれば、「トラの陸上基盤を50%増やすことができる」と科学者達は報告している。

トラが野生で絶滅すると思われていたのはそれほど昔のことではない。世界には、トラの専門家が考えているよりもはるかに多くのトラの生息の余地がある。

<ひとこと>: 左上のイメージの大判は省略、右下のイメージの大判はリンクから。

<出典>: Earth Observatry

   ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

<ミッション別ページ>

各ページへのリンク(ペ-ジ欄をクリック: スマホの方は横位置でご覧ください)

ページ
最終更新日
参   考
掲載情報
宇宙科学の話題
 5月 7日
主要記事掲載の都度
地球観測
 5月 7日
気象を中心とした地球観測
火星探査の今
 5月 7日
多数の火星探査衛星の情報
ハッブル宇宙望遠鏡
 5月 7日
週の初めに掲載
ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡
 5月 7日
週の初めに掲載
アルテミス2
 4月22日
2025年有人月周回準備

 

コメント