とうちゃんのぷらぷら日記

アウトドア系の日記及びうんちく

今週市場では一部の金融機関の信用不安にゆれた

2023-03-18 17:39:15 | 日記
今日の朝、「17日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は反落した。
米シリコンバレー銀行の破綻やスイス金融大手クレディ・スイスの経営危機により、売り注文が膨らみ、前日終値からの下げ幅は一時520ドルに迫った。」と報じられていた。

16日木曜日、スイス国立銀行が500億スイスフラン(7兆1000億円)の資金供給の報道があって、一安心かと思ったが、(クレディ・スイスの株価も回復)
小手先の流動性確保だけでは信用不安は解消されないのか?
来週どういう市場の動きになるのかと危惧していた。

「英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は17日、スイスの金融大手UBSが経営危機に陥った同業のクレディ・スイスの買収を検討していると報じた。」
すばやい動きだ。金融当局もリーマンショックのことを踏まえて、ことの重大さがよくわかっている。
信用リスクは火事と同じで初期消火が大切だ。
隣に燃え広がってからでは手が付けられなくなる。
ここが正念場。

実際、今金融危機が起きたら、各国の財政は行きづまっており、金融政策も打つ手がない。
とは言っても、リーマンショックの時とは異なり、ほとんどの金融機関の財務内容は問題ないと思われる。
今回の事態は、金利リスクが顕在化したことによるものだ。
アメリカは、いきなり金利をどんどん引き上げていた。いわば政策的金利ショックが発生していた。

世間には大量の国債や社債が出回っているが、そのほとんどが固定金利で、極端な低利回りの債券が長年に渡って発行されてきた。それを多くの金融機関が抱えこんでいる。
市場金利が上ると、相対的に保有している債券の価値が低くなり評価損が発生することになる。(同じ条件の債券なら、今買った方が高利回りとなるためだ。)金利上昇が急なほど評価損は大きくなる。

通常は償還日まで保有すれば債券の額面で償還されるので、他の資産運用などが順調であれば中和され問題とはならない。

今回の事態はシリコンバレー銀行の特殊性にある。(他の破綻した2行も同じような傾向を持つ)

1.取引先がテクノロジー関連企業中心であったこと。
2.しかもスタートアップ企業(新興企業)で財務基盤が弱い取引先であったこと。
3.テクノロジー関連業界が好調な時には融資や預金を急激に伸ばすことができたが、逆に不況になれば預金は取り崩され、融資も棄損するリスクが高くなる。
4.実際に取引先の業界が不況となったため、急速な預金の取り崩しが始まったこと。
5.銀行の運用資産の半分以上が債券であったこと。
6.ほとんどの預金は、即日解約や引き出しに応じなければならないので、想定を超える預金の引き出しが起こると、その資金を短期市場で調達するか、流動性のある資産を売却することで対応することになる。シリコンバレー銀行の場合は運用資産を売却してその資金に充てなければならなくなった。大量に保有していた債券は市場で売却できるが、売却して手元資金を確保して預金の引き出しに応じようとすると、売却損が発生することになる。売却する債券が多ければ、売却損も多くなる。
それで上場企業の立場上、売却損の発生を公表しなければならなくなった。
対策としての増資の計画も同時に発表したところ、すぐに増資しなければならないほど銀行は追い込まれているのかと預金者に受け取られてしまった。

あとは昭和初期の金融危機の時と同じ風評被害が発生した。
取りつけ騒ぎは、預金者が銀行へ押しかけるのではなく、おもにネット取引によるものだった。テクノロジー関連業界を得意としていた銀行だったのは皮肉なものだ。

結論から言うと、リスク管理の基本中の基本であるリスク分散が計られていなかった特殊な金融機関だったから起きたことだった。
(どうしてアメリカの金融当局はこのような銀行に対して経営改善の指導をしてこなかったのか?また格付機関のムーディーズは、これまで平気でA3の格付を与え続けていたのか?私には理解できない。)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿