ふみさんの日々雑感

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文庫「燃える氷」高任和夫著

2006-07-17 21:12:12 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
上を読み始めたとき、小松左京の「日本沈没」の映画が上映される事を知る。この本も似たように進むのかと思った。

でも、この本は日本は沈没しないが、富士山が大噴火するのである。そして、。富士山が噴火するだけで、日本経済は沈没してしまうのである。

日本は資源が少ない。そして膨大なエネルギーを消費する現代。その源が輸入に頼っていると言う事は、豊かな経済生活や発展の為には、大変なリスクとなる。

そして、ここに夢のようなエネルギー“メタンハイドレート”が登場する。高圧力と低温の状態でしか安定しない、扱い方によっては地球環境に致命的影響を与えるかもしれない恐ろしいエネルギーでもある。

日本の海の底に眠る膨大なメタンハイドレートを取り出すために、国家プロジェクトが秘密裏に動き始める。その為に立ち上げた委員会で全員一致の賛成を受け、政財界が手を結び、ハイピッチで商業化に向けて走り出した。

国や地方自治体が何か新しい事業を始めようという時、全員一致で賛成とはとても胡散臭い。つまり、あらかじめ反対の人は委員会に選ばれないし、反対したら外される。官僚はそうやって自己保身をして来た。国民の未来よりは自分の地位や権力を。そして、その為に政治家を操って行く。

メタンハイドレートのガスキックによる暴噴が原因なのか東海大地震が先だったのか。そして、それにより誘発されたのか、

“富士山大噴火”それによる被害の圧倒的なリアリティ!

国家プロジェクトに反対して更迭された室田教授の富士山噴火の予知を信じて、反対を押し切り10万人の避難を噴火前に完了させた市長の決断。それをスムーズに実行せしめた魅力的な人材。

こういう小説では、権力者は頑固で自己保身の狡猾な中年男性。そして、危機を救う知恵と統率力と勇気と実行力を持つ人は、人間的に魅力的な若者と美しい女性と決まっている。

過去から天文学的な国家予算をつぎ込んで来たダムや高速道路や鉄道等々の土木工事も、ひとたび自然災害が起きれば全てが無になってしまう。あるいはそれらがあった為に、余計に被害が広がってしまうかもしれない。

人々の幸せの為に、政治経済のトップに立つ人達はもっと未来への想像力を持ってほしい。特に少子化で、日本の人口が急速に減って行く未来を。1億強の人口が7千万くらいになるかも知れない未来を。そうすれば、国家予算はどのように使えばいいのか、おのずと考えられるはずだか。
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