先週、娘と出かけた時の事。新宿の地下街を二人でズッと歩いていた。
今、思い出しても、あれは絶対に痴漢か変質者ではと思う。
平日なので、そんなに人が多いというほどでもないが、それでも沢山歩いていた。
私と娘は右側の中央寄りを歩いていた。私の方が娘の左を、中央寄りを歩いていた。
いつも、歩く時、前から歩いて来る人の顔は見ない。近所でも、すれ違う時に、 「こんにちは」 と知り合いに言われて、始めて気が付く。
「今、すれ違ったのは、芸能人の○○だよ」 「え、早く言ってよ」 と。近眼だからというのもあるが。
だから、その男性が、そうとう前方の人込みの中で、私の注意を引いたのが、始めはどうしてか分からなかった。
背が高くて目立ったわけでもない。どちらかと言えば、背が低くて、遠くても貧相な中年に見えた。
ただ、新聞を小さく折りたたんで、顔の前に持って読みながら歩いているように見えた。
今は、沢山の人が、携帯やスマホを見ながら、ゲームをしながら、パンフレットを見ながら歩いているから、別に変でもない。
でも、近眼の私が、まだ、クリアに見えない時から、その男性から目が離せなかった。
両肘を大きく外側に張って新聞を持っている。新聞は、鼻のあたりにあり、目だけが前方を見ていた。
その目。
向こうから、早足で近づいて来る、その目から視線を離せなかったのだ。
顔の表情は分からないが、その目は、奇妙に左右に揺れていた。そして、中央を真っ直ぐに歩いて来る。
その目の表情は、見た事ある。
よく、海外ドラマで、CSIとか、クリミナルマインドとか、メンタリストとかで見た事がある。
私の気のせいか、心臓がドキドキして、その男性の周りの空気まで温度が下がっているように感じた。
たまたま、その時、その男性の周りには人は歩いていない。でも、真っ直ぐ歩い来る。このまま歩いて行ったら、その男性とぶつかる!と思った。
明らかに、その肘を私の胸にぶつけようとしている。歩みを止めて娘の後に回ろうとした。
でも、間に会わなかった。
私は、とっさに左腕を上げて、胸をブロックした。大きく外側に張った男性の肘が当たった。
その瞬間も、私は、その男性の目に釘付けになっていた。私を見ているような見ていないような、左右に細かく揺れていた。
「痛い!」 と言って、振り返ったが、ロボットのように肘を張った状態で、あっという間に遠ざかった行った。
もし、私が、ボーっと歩いていたら、完全にその腕は私の胸を直撃していただろう。
「どうしたの?」 と娘が聞いたが、しばらくドキドキは収まらなかった。
肘鉄だから、まだいいけど、もし、ナイフでも隠し持っていたら…避けられなかっただろう。そう思うほど、その中年の男性の瞳は普通では無かった。
今でも、その瞳を思い出すと、心臓がドキドキする。
もし、携帯を見ながら歩いている女性だったら、ぶつかった瞬間に、自分の方が悪いと思って、「ごめんなさい」 と言うだろう。胸に痛みを感じながらも。
娘には、世の中には、予想も出来ない事が起こるから、危機意識だけは持っていてね、と言っている。
今、思い出しても、あれは絶対に痴漢か変質者ではと思う。
平日なので、そんなに人が多いというほどでもないが、それでも沢山歩いていた。
私と娘は右側の中央寄りを歩いていた。私の方が娘の左を、中央寄りを歩いていた。
いつも、歩く時、前から歩いて来る人の顔は見ない。近所でも、すれ違う時に、 「こんにちは」 と知り合いに言われて、始めて気が付く。
「今、すれ違ったのは、芸能人の○○だよ」 「え、早く言ってよ」 と。近眼だからというのもあるが。
だから、その男性が、そうとう前方の人込みの中で、私の注意を引いたのが、始めはどうしてか分からなかった。
背が高くて目立ったわけでもない。どちらかと言えば、背が低くて、遠くても貧相な中年に見えた。
ただ、新聞を小さく折りたたんで、顔の前に持って読みながら歩いているように見えた。
今は、沢山の人が、携帯やスマホを見ながら、ゲームをしながら、パンフレットを見ながら歩いているから、別に変でもない。
でも、近眼の私が、まだ、クリアに見えない時から、その男性から目が離せなかった。
両肘を大きく外側に張って新聞を持っている。新聞は、鼻のあたりにあり、目だけが前方を見ていた。
その目。
向こうから、早足で近づいて来る、その目から視線を離せなかったのだ。
顔の表情は分からないが、その目は、奇妙に左右に揺れていた。そして、中央を真っ直ぐに歩いて来る。
その目の表情は、見た事ある。
よく、海外ドラマで、CSIとか、クリミナルマインドとか、メンタリストとかで見た事がある。
私の気のせいか、心臓がドキドキして、その男性の周りの空気まで温度が下がっているように感じた。
たまたま、その時、その男性の周りには人は歩いていない。でも、真っ直ぐ歩い来る。このまま歩いて行ったら、その男性とぶつかる!と思った。
明らかに、その肘を私の胸にぶつけようとしている。歩みを止めて娘の後に回ろうとした。
でも、間に会わなかった。
私は、とっさに左腕を上げて、胸をブロックした。大きく外側に張った男性の肘が当たった。
その瞬間も、私は、その男性の目に釘付けになっていた。私を見ているような見ていないような、左右に細かく揺れていた。
「痛い!」 と言って、振り返ったが、ロボットのように肘を張った状態で、あっという間に遠ざかった行った。
もし、私が、ボーっと歩いていたら、完全にその腕は私の胸を直撃していただろう。
「どうしたの?」 と娘が聞いたが、しばらくドキドキは収まらなかった。
肘鉄だから、まだいいけど、もし、ナイフでも隠し持っていたら…避けられなかっただろう。そう思うほど、その中年の男性の瞳は普通では無かった。
今でも、その瞳を思い出すと、心臓がドキドキする。
もし、携帯を見ながら歩いている女性だったら、ぶつかった瞬間に、自分の方が悪いと思って、「ごめんなさい」 と言うだろう。胸に痛みを感じながらも。
娘には、世の中には、予想も出来ない事が起こるから、危機意識だけは持っていてね、と言っている。