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輸出製造業の大規模首切り

2008-12-28 18:34:22 | 生活・教育・文化・社会
 アメリカの金融経済の破綻の波が世界中をおそって、日本の輸出製造業業種が落ち込んだ。アメリカの消費の冷え込みと円高で、今年度決算が赤字に転じる見込みが報道されている。
 トヨタはいち早く派遣と期間雇用3千人の首切りを打ち出したら、ソニー、キャノンなど世界企業が次々に同じ処置に踏み切った。キャノンは、大分キャノンが子会社といえども、御手洗経団連会長の幹部の会社である。トヨタも経団連の前会長を長年やってきた企業である。経団連会長職にある会社が、違法ではないといえどもこのようなことをしてよいとは思わない。

 この間労働法が変わり、昔「ピンハネ」として厳しく取り締まられていた労働者斡旋を制度化し、しかも製造業に派遣を認めた。労働者を「雇用調整」として会社の利益の調整弁としているのだ。
 法的に合法だからといって、会社の利益の調整に生活がかかっている人を簡単に切るように日本社会は変わってしまった。しかもそれをする会社の幹部だった人が、経団連の会長をしている社会になっている。
 会社法が変わり、株主が4倍の配当になり、会社役員は2倍の収入となっている。これは株価を下げないという意味があるという。

 首切られた人の総数が8万5千人に及ぶというから、一人ひとりのあるいは家族も含んだ生活が崩壊していくということだ。家族も含めればと地方の県庁所在地ぐらいの人口が生活不安にさらされたことになる。これは契約社会で法的問題はないとしても、とてつもない社会不安をつくっていることだ。
 ところで単年度では確かにトヨタも赤字を予想されているが、内部留保金13兆3千億円とのことだ。解雇した3千人の人件費は90億なので、内部留保金からしたらわずかな額である。
 かつてのように会社が労働者あってのもので、福利厚生があり会社運動会に象徴されるような家族的関係のような日本的雇用文化であったら、こんな「雇用調整」と言う名の首切りはしないだろう。したとしても内部留保金からみたらわずかな財政規模からしても、1年か2年の猶予を持てるだろうに。それが会社の社会的信頼を得ていき、やがてその会社の商品の信頼性にもなってくはずである。
 ちなみにキャノンの内部留保金は2兆8千億とのことである。
 
 このような状況に対して政府、政治は無力である。臨時国会で通った1次補正予算は、福田内閣の時の物価高騰に対応するものであった。2次補正予算は、現在の状況に対してのものであり、その内容を盛り込んだ参院で決めた民主党案を、与党は衆院で否決してしまった。
 政府与党は、国民の暮らしの危機に対して手を打つことをしないで、1月5日から開かれる臨時国会に先送りしてしまった。解散総選挙で出発したはずの麻生内閣は、延命させているだけで重大な政治空白を作っている。政府、政治の力が必要な時にそれが発揮されない社会って、不安や無力感が蔓延するだけだ。

*このコラムの数字は、CTVの朝日ニュースターの番組「愛川欣也のパックインジャーナル」を参考にしている。