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カメムシに完敗したオヤジ

2016-11-30 06:25:05 | 日記
生き物を探す

 晩秋の林の中はほとんど生き物の気配がありません。
落ち葉のカサつく音と木の実が落ちる音がするだけで、鳥の鳴き声も
聞こえません。
それでも生き物は寒さを逃れてどこかに潜んでいる筈。
普段と違う場所にも目を配りながら、何かの気配を見つけたいと
歩き出しました。
 遊歩道から奥まった場所に生えている広葉樹の幹に、派手なコントラストを
見つけました。
灰褐色の木肌にとまった緑色のカマキリです。
その気で探すと見つかる物だと思いながら近づくと、カマキリは爪を立てて
木肌に張り付いたまま死んでいました。

 地面や洞の奥に潜り込んでしまって、何も見つからないかな、そう思った
頃にクヌギの大木を這う1cm程の薄黄色の虫が目に入りました。
細長くて少し艶のある体、長い触角には黒と黄色の縞模様があります。
 一見したところカミキリムシの仲間に見えましたが、帰宅後に検索して
「クヌギカメムシ」と知りました。
いわゆるカメムシと比べるとスマートな体型で、ペン先で突いても嫌な臭いを
出しません。
 きれいな色の流麗なボディ、なかなかいかした存在です。
この種類の普通の個体は薄緑ですが、産卵前の成虫はこの色になると説明
されていました。
 よく似た仲間にはサジクヌギカメムシとヘラクヌギカメムシがいますが
「同定は専門家でないと無理」とも書かれています。
気門の色や生殖器の形で見分けるそうですが、私には先ずそれを特定できません。
その道のプロの仕事はスゴイ物です。

実はコイツも凄い

 さてこのクヌギカメムシ、近年の研究で凄い事が判明しました。
晩秋にクヌギの樹幹にゼリー状の物質に覆われた卵塊を産み付けますが、
これが驚きです。
 エサの無い厳冬期に孵化した幼虫は、冬の間はこのゼリーを食べ、春に
なると植物の液を吸って成長します。
液を吸収するカメムシの生活には共生してくれるある種の細菌が必要に
なります。
冬に食べたゼリーの中には、しっかりとその細菌が含まれているのです。

 もっと驚くのはゼリーの主成分であるガラクタンと呼ばれる多糖類です。
この物質は良く知られたムチンと同様に、サトイモや寒天などのヌルヌル
する粘りの中に含まれていて、動脈硬化を防ぎ、脳細胞を活性化してボケを
防止する働きがある事が知られています。
 高齢化社会でおおいに役立つこの物質、普通は植物や藻が造る物で、動物が
生成するのは非常に例外的な事だと言います。
今後の研究で、人間の身体の中でガラクタンを産生できる様になるかも知れません。
(独立行政法人 産業技術総合研究所HPより)

 カメムシなんて臭いだけだろうと侮っていたら、実はとんでもなく優秀な
相手でした。
こちらはオヤジ科、加齢臭属に分類されるただの前期高齢者。
蔑んでいた相手が実は凄い技術の持ち主と知って、そんな能力の欠片も無い
我が身を恨めしく思うばかりです。
コメント
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