あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

番外編第6位、人生を変えた電流爆破

2016-11-25 06:24:32 | 日記
無名レスラーが大観衆を

 とうとうテレビで見る事が出来なかったプロレスと言えば、何といっても
「電流爆破マッチ」です。
仰々しい名前ですが、文字通りロープの代わりに有刺鉄線が張り巡らされた
リングに、触れると破裂する爆弾が仕掛けられ、その中でレスラーが戦うのです。
 禁断の刺激を求めるファンに煽られ、やがて地雷や時限爆弾や超大型爆弾、
更には水中機雷まで投入されて行きました。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題して、当時のテレビ
中継で特に記憶に残った30の場面をお届けしています。
ベスト10に入る前に、諸事情でテレビでは見られ無かった番外編を。
今週は第6位「電流爆破マッチ」です。

 1990年8月4日、レールシティ汐留に4520人の観衆を集めて
「ノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチ」が行われました。
戦ったのは大仁田厚とターザン後藤。
 突飛な試合形式が話題になった大会でしたが、これを契機に大仁田は世間一般
を相手に成り上がりの道を突き進んで行くのでした。
 80年代末にはプロレスファンでさえ忘れていた大仁田に、どうしてそんな事
が出来たのでしょう。

欲しい物全てを手に入れる

 話は2年前に遡ります。
全日本プロレスを止め経済的に困窮していた大仁田は、当時黎明期にあった
インディー団体に活路を求めます。
 しかし全日、新日以外はプロレス団体にあらず、の風潮がまだまだはびこって
いました。
大仁田の試合など話題にもならず、まして戦う相手が元新日の前座レスラー栗栖正伸
とあればチケットが売れる筈もありません。
 ところがこの試合、後楽園ホールに満員の大観衆を集めたのです。
理由は「怖いもの見たさ」。
有刺鉄線の中で戦うと聞けば、誰でも少しは興味が湧くもの。
肌に触れる想像をしただけでも痛い有刺鉄線に本当に投げたりぶつかったりする
訳がない、
 そうは思いながらも残酷な期待も隠せません。
そしてファンは鉄線で切れた腕や顔から血を流す大仁田の試合に、これまでのプロレス
の流血とは全く別の、ある意味本物の戦いを見たのでした。

 たった5万円の資金を元手にFMWを創立し、数々の成功を収めた経営手腕。
涙のカリスマの称号から、とうとう国会議員の地位まで手に入れた名誉欲。
裸一貫で正に我が身を切り刻んで欲しいもの全てを手に入れた原動力は、強い
自己顕示欲でした。
 プロレスラーにはそれが最も必要です。
異常な程に強い自己顕示欲と意表を突いたアイデア、そして障害を押しのけて突き
進む行動力、これによって大仁田は成り上がって行きました。

 しかしこれほどの目立ちたがり屋、正直な話身近にいたら、鬱陶しいでしょうね。
リングの上で暴れまわる姿を遠くから眺める、それが正しい大仁田との付き合い方です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする