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番外編9位「前田がアンドレに潰されそうになった日」

2016-11-04 06:25:49 | 日記
火の粉を払う

 何から何まで異様な試合でした。
普通これ程の人気者同士が戦えば、大々的に宣伝をして、大会場に大観衆を集めて、
更にテレビで放映するのが当たり前。
ところがこの試合は地方都市で突然行われ、テレビ中継の準備をしながらもとうとう
放映はされませんでした。
 不穏な試合の背景には何があったんだ、直後から物議をかもした一戦でした。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題して、当時テレビで見た
記憶に残る30の場面を取り上げています。
ベスト10入りの前に、テレビで見られ無かった試合などの番外編を。
今週は第9位「前田対アンドレに誰もが?を抱いた瞬間」です。

 1986年4月29日、三重県津市の地方会場で唐突に試合は組まれました。
第1回IWGP大会で、前田がアンドレの胸板にニールキックを叩きこんだ迫力満点
の場面の再現を、当日の観衆は期待したでしょう。
 ところがこの日の試合は全く異なる展開になりました。
開始早々組んだ前田をアンドレが押しつぶしにかかったのです。
前田は192cm、115kgの堂々たる体躯です。
しかしアンドレの巨体は規格外、223cm、236kgの全体重を浴びせかけられ
たら普通の人なら即死です。

 異変を感じた前田はすぐさま距離を取って打撃技で様子を伺います。
しかしアンドレには通常のプロレスを行う気配は見えません。
首を絞めたり関節に体重を掛けたり、怪我をさせる事さえ躊躇しない様子に前田も
決意を固めました。
正面から膝がしらに重いキックを叩きこんだのです。
 一発二発!
禁じ手の蹴りがアンドレの巨体を支える膝を破壊していきます。
 そこに至ってアンドレはマットにゴロリ、戦意喪失を態度で示して異常な戦いを
切り上げたのでした。

目線は世界に

 一度は新日を飛び出した前田日明。
UWFを旗揚げし既存の勢力に理論闘争を仕掛け、従来のプロレスに矛盾を感じて
いた層の熱い指示を獲得していました。
 そんな前田の振る舞いを快く思っていない新日首脳が、アンドレをそそのかして
ガチンコ勝負を仕掛けたのが真相だ、当時からそう噂されていました。
黒幕として名前が挙がったのが坂口征二。
 事の真偽は兎も角として、巨体のアンドレと真っ向勝負してもいささかも引けを
取らない前田の技量と心の強さに、ファンは真の強者を見たのでした。

 前田は格闘王の称号を得て新しいプロレスを、そして新しい格闘技を目指して進み、
やがて現役引退の時を迎えます。
その時ファンは熱望しました、当時プロレスラーがどうしても勝てなかったヒクソン・
グレイシーを前田が倒してくれる事を。
 1999年2月21日現役最後の相手はオリンピックのレスリングで無敗を誇った
ロシアのカレリンでした。
一部のファンだけに知られたヒクソンでなく、世界が認めるカレリンを選んだ所が
如何にも前田らしい決断でした。
コメント
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