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意外な素顔のアブラムシ

2016-11-02 06:25:15 | 日記
代表的な害虫

 急に冷え込んだので散歩中に見る虫も随分減りましたが、それでも目を
凝らすと懸命に生きている生き物が見つかります。
ニセアカシアの老木の小さな洞を覗くと、数ミリもある大きなアブラムシが
蠢いていました。
腰の辺りに赤い斑点がふたつあり、他は黒一色のぶっとい胴体からか細い脚
と触角が伸びています。
 図鑑を調べましたが同定できません。
何しろアブラムシの仲間は世界中に6000種、日本には700種もいると
言います。

 種類は多いのですが生態はほぼ同じ。
世界中で好きな植物にしがみ付いて、ひたすら樹液を吸いまくり宿主植物を
疲弊させています。
 更に困るのは口針を突き刺してウィルスをまき散らす事です。
植物が感染するウィルス病は世界に600種あると言われています。
その半分を昆虫が媒介し、そのまた半分以上をアブラムシが媒介しています。
 ウィルス病に感染した樹木への対応は困難で、被害の拡散を防ぐ為に一般
には焼却されてしまいます。

役に立つかも
 
 害虫の代表格とも言えるアブラムシですが、植物の研究では貴重な役割を
担っています。
植物は土中の水分や無機質養分を、導管を通じて吸い上げ光合成で有機物に変え、
師管を通じて各器官に運んでいます。
 この時どんな有機物が作られたかを調べようと幹を切っても、導管と師管が
維管束にまとまっている為に中身を分けて採取する事が出来ません。
そこで登場するのがアブラムシ。
 口針を師管に刺して中身を吸ったアブラムシを捕まえ、レーザーで口針を
焼き切り液体を取り出して成分を分析します。 

 役に立つと言えば、多くの天敵のエサとしても重要です。
クサカゲロウやアブの仲間に食べられ、有名なナナホシテントウムシのエサ
ともなります。
このテントウムシの幼虫は数百匹のアブラムシを食べて成長します。
 しかし食べられているばかりではありません。
テントウムシは天敵の鳥に捕食されない様にアルカロイドを体内に持ち、目立つ
蛍光色で体を包んでいます。
それを真似たアブラムシもいるのです。

 街路樹に用いられるキョウチクトウは有毒な植物です。
花から根まで毒を持ち、周囲の土を毒性土壌に汚染し、挙句は生木を燃やした
煙にまで毒を含みます。
 この毒の塊の様な植物に寄生するのがキョウチクトウアブラムシ。
液を吸って毒を体内に貯め込み、食べたテントウムシを中毒死させます。
おまけに派手な黄色で体を包んで警告を発してもいます。
 小さな虫の世界に、手の込んだ保身術がありました。
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2016-11-02 06:25:10 | 日記
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