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長野県上田市で大日本プロレスを生観戦

2016-02-19 07:00:55 | 日記
恐怖に震える表情のレスラー

 二階席から見ていると、その男が又リングの周囲に戻ってきました。
暫く前思いつめた表情でリングの周囲を歩き回り、控室に繋がる通路に消えた男です。
ジャージ姿のガタイの良い若者は団体関係者でしょう。
うつむき加減の顔が異様な程に青ざめているので、妙に気になりました。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題して、当時生観戦した試合を
思い出しています。
今週は長野県上田市で行われた大日本プロレスの試合です。

 1995年か96年頃だったと思いますが、定かではありません。
グレート小鹿率いる大日本プロレスが上田市にやってきました。
この団体、テレビでお馴染みのスター選手は所属しておらず、かろうじて世間に知られた
存在は、巨人軍桑田選手の暴露本を出版した中牧照二だけでした。
 この日のメインはその中牧に中堅クラスの山川竜司が初めてデスマッチで対する一戦でした。
その試合目当てに、私は友人と上田市まで一時間以上車を走らせました。
恐らく興行を協賛したのであろう地元企業信州ハムのポスターが、殺伐とした会場の
あちらこちらに張られていたのが少々場違いな感じを与えていました。

恐怖を乗り越えたレスラー

 最終試合を迎え両選手がリングに登場しました。
その時になって初めて、先ほど見かけた男が今日メインを張る山川竜司だと分かりました。
それまで週刊プロレス等で山川の存在は知っていたし、写真で顔も見てはいました。
しかし会場内を徘徊していた男は全くの別人でした。
 初めて有刺鉄線に囲われたリングに上がり、血を流しながら厳つい男と殴り合い
蹴り合いをする。
額を切られて有刺鉄線に投げ込まれるのが筋書き通りと分かっていても、それで恐怖が
消える筈もありません。
 衆人環視のリングに足を踏み入れる覚悟が固まらず、逃げ出したい気持ちで一杯だった
筈です。
だから青ざめた表情で、じっとしていれば恐怖に負けそうになる自分を必死で抑えながら、
あても無く会場内を歩き回っていたのでしょう。

 176cm、93kgとプロレスラーとしては小柄な山川。
人生初のデスマッチを終えたリングで、生きて戻れた事に安堵しきった汗と血にまみれた
表情を見せました。
 この一戦で肝っ玉が据わった山川、その後はデスマッチ路線に身を投じて全国のファン
に名を知らしめていきました。
対戦相手だった中牧と「新血みどろブラザーズ」を結成して有刺鉄線は言うに及ばず、
ファイヤーデスマッチ、蛍光灯デスマッチ、闇討ちデスマッチ、五寸釘デスマッチと
考えうる限りの形式で血を流しまくりました。

 しかし悲運な事に絶好調の頃、試合中に大けがを負ってしまいます。
恐怖に負けそうな顔、逃げ出さずに仕事をして安堵した顔、そして己の生き方に自信を
持った顔、山川はいくつもの表情を見せてくれた後、2012年リングを下りたのでした。
コメント
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