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絶対王者、クマムシに学ぼう

2016-02-03 07:00:53 | 日記
冬はつらい、夏が良い

 先日の氷点下10度はこたえました。
目が覚めても布団から這い出せない、ストーブが燃え盛っていても手足の先が
暖まらない、風呂場の水道はチョロチョロとしか流れずに危うく凍結寸前、
道の雪はツルツルに固まって半透明な氷に変わり、深く息をすると鼻の奥が
痺れました。
 「暑いのは我慢できるけれど、寒いのは無理」
毎年冬になると出るボヤキを今年も口にしていました。

 その程度の寒さがどうした、そんな嘲りが聞こえて来そうなニュースがありました。
今月15日に国立極地研究所が「30年前に採取して昭和基地で凍結保存していた
コケの中からクマムシが蘇生した」と発表しました。

 クマムシは地球上のあらゆる環境に耐えうる小さな生物です。
50マイクロメートルから大きな物でもせいぜい1.7mm程しかありません。
しかし驚異の生命力を持っていて、160度の高温にもマイナス273度の絶対零度
でも平気。
真空にも乾燥にも6000気圧の高圧にもビクともしません。
宇宙空間に放り出されても10日間生存した記録があり、電子レンジでチンされても
持ちこたえ、挙句は人間の致死量を超える放射能を浴びても死にません。

 驚異の力は「クリプトビオシス」と呼ばれています。
これは「代謝を伴わない永久的休眠状態」あるいは「隠された生命活動」の意味だそうです。
 クマムシは危険な場面に遭遇すると、体内に糖の一種であるトレハロースを蓄積
して組織を保護します。
その状態のままで休眠をして、水分が供給されると再び生命活動のスイッチが入り
活動を始めます。
 人間はクマムシの持つ驚異の力のメカニズムは解明しましたが、残念ながら真似を
する事は全く叶いません。 

今選ぶべき道は

 生物が持つ驚異の力に学ぶ研究は昔から盛んです。
生物の特殊能力を研究する「バイオメミティクス」(生態模倣技術)で我々は多くの
ヒントを手にしました。
 古くはクモが吐く糸の研究から銃弾も通さない繊維が開発され、最近では蚊の口の
研究から痛くない注射針が生み出されています。

 この様に自然に学ぶ研究が本来あるべき姿でしょう。
しかし今脚光を浴びているのは遺伝子の操作です。
それが孕む危険性は素人目にも明らかです。
 我々は保護された環境で漸く生きている弱々しい存在です。
その人間が自然の摂理に逆らった遺伝子操作で、己が望む姿の生き物や作物を次々と
造り出しています。
神の領域に踏み込んだ研究は許されるのでしょうか。

 クマムシの真似は出来ないとしても、驚異の生命体クマムシから学ぶ事はまだ
限りなくある筈です。
魔人の如き軀(からだ)を持った死とは無縁な生物、「軀魔無死」に学ぶ事こそ、
今私たちが選択すべき道なのではないでしょうか。
コメント
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