Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Frank McComb @Motion Blue Yokohama 3/10 2nd

2012-03-12 10:30:45 | その他のライブ
横浜駅に着いてタクシーに乗ると車は地下道へと滑り込んでいった。
その様子はまるで香港の街にでも降り立ったかに思えた。
みなとみらい、三菱重工の跡地に建つマンション群を通過していく。
その地域から見る観覧車やベイブリッジの眺めがエキゾチックこの上ない。
普段、都会と言えば東京しか知らない私にはこれだけでワクワクするに足りる。

横浜赤レンガ倉庫、夜にライトアップされている様子、
この町独特の美しい風情がある。
「モーションブルー横浜」エリック・べネイの昨年9月のライヴで初めて来た。
低いステージ、間隔が充分に取られたテーブル、
ブルーノートやビルボードよりもぐっとアーティストとの距離を近く感じる。

開場前に着いたので赤レンガ倉庫内で軽くビールとガレットを摘まむ。
モーションブルーへと戻ると既に入場は始まっていた。
席の選択肢はアリーナ内のステージに向かい左後方中程テーブルか、
あるいは、一番後ろの左端の壁際のカウンター風の席。
ずいぶん迷って後者を取る。
厨房の出入り口の脇だ。

8時半を回ってほどなく、この出入り口から、
余りにもさりげなくフランク達が出てきた。

キーボードに向かうと、"Cupid's Arrow"
続けて新しいアルバムから"Spiral"

YAMAHAのグランドピアノへと位置を変える。
ロマンティックな曲も彼の雰囲気に合っている。

数日前にビルボードで聴いたジョージ・デュークから、
歌ってグランドピアノへと向かうアーティストという流れが続いている。

"Time and Time Again"
甘く切ない曲だ。
ピアノを離れると今度はスティーヴィー・ワンダー"Superstition"

気候のせいで喉を傷めてしまったこと、
日本は今、いろいろとたいへんなのに
自分のライヴにお金と時間を使って来てくれたことに感謝の言葉。
"Contact"

私のちょうど脇を通っての退場なので、挨拶する。
ビルボードで会ったことを覚えていてくれて、
来たことを喜んでくれた。

その後、その横のテーブルでサイン会が始まるが、
スタイリスティックスの"Betcha by Golly Wow"が店内に流れ始めた。
ビールを片手にベースとドラムの二人が歌いだしたので、
私達も一緒になって歌っていると、
スポットがソファー席のカップルにあたり、
男性が跪いてお花を渡している。

もしかするとお誕生日のお祝いだったのかもしれないが、
「プロポーズしている!」と私達は思い、アーティスト達もそう思った。
フランクは「それなら君たちのために曲をプレゼントしないとな。」
とサイン会を中断してステージへ。

"The Wedding Song"
12年くらい前に作った最初のアルバムの曲、
いや作ったのは18年位前だったかなと。
「たくさんの幸せで二人が満たされるように、世界中が二人を祝福しているよ。
ハネムーンも楽しんで、いつまでも愛を大切に。」そんな歌詞だった。
歌い終わるとカップルのテーブルへと行きお祝いの言葉を掛けたフランク。
そのまま一度楽屋へと戻る。

サイン会が今度はステージに向かい右後方で始まる。
Tokuさんも来ていて「今度、一緒に何かやろうよ。」とフランクに話している。
「次回はぜひトクと共演して。」と言うと、
「日本のファンに言われたなら、やらなくちゃ。」とにっこりするフランク。
疲れているはずなのに笑顔を絶やさず、ほんとうに感じの良い人だ。

フランク・マッコム、昨年のコットンクラブで観て、
今年は同じ週のアル・ジャロウ&ジョージ・デュークに行くことにしたので、
諦めていたところ、アル&ジョージのショウでフランクと偶然会い、
こうして横浜まで足を運ぶことになった。

「次回の来日は?」と尋ねると「えっ、今来たばかりなのに次の事?」(笑)
近くにいたスタッフが5年後かもしれないし、半年後かもと。
「なるべく早く戻ってきてね。」と伝える。

帰りにステージ上の機材を片付けているフランク。
「気を付けて帰ってね。」と声を掛けると「二人も気を付けて。またね。」
どこまでも心配りのある人だ。
でもステージの上では自分の世界に入り迫力の演奏を聴かせてくれた。
歌う声も少し掠れていたが、それもまた耳に心地よく魅力的だった。

Frank McComb(vo,p,key)
Anthony Crawford(b)
Robert Miller(ds)