Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Betty Wright @ Billboard Live Tokyo 2/28 2012

2012-02-29 13:02:45 | その他のライブ
大御所の女性ヴォーカリスト達には何回かライヴで裏切られてきている。
そんな苦い経験からベティ・ライト、楽しみだけど、がっかりしないためにも、
期待しすぎないようにしようと思っていた。

結果から先に書いてしまうと実に素晴らしかった。

黒いパンツにフリンジの付いたロングカーディガン、
腰回りには光物系のストールというか、スカート。
グレイのヒールの高いショートブーツ、髪は強烈なアフロ。

バンドのメンバー、キーボードはプエルトリコ、パーカッションはハバナから、
ギターは兄、バッグコーラス、三人の内、向かって右が長女、左が末っ子だと紹介。
ベティーの娘たちは謙虚で歌も上手、可愛らしい。

"That's the way I like it"と観客に歌わせる。
一番前の女性、最初はためらっていた。
次に小さな声で歌う。納得しないベティー。
彼女に4回歌わせる。最後は会場全体に響く歌声を聴かせてくれた。
さすがベティ。歌える観客を見抜いている。

"Tonight Is The Night"
高音から低音まで音域が広く、どの音階も完璧に歌いこなす。
ステージを圧倒的に支配している。
カジュアル席から下を見下ろし観客の様子を観察すると、
誰も食べている人はいない。
じっとベティーの歌に聴き入っている。

「グラミーの前日に私たちは大きな存在を失った。
この曲を彼女に捧げたい。」
Whitney Houston"The Greatest Love Of All"
最初は娘たちに歌わせ、途中からベティーが入ってきたが、
歌い終わって、バックヴォーカル達も涙。
やっぱり巧い人は何を歌っても巧い。
こうやって多くの人が歌っている曲を歌うと、よりそれが明確になる。

「自分はカラードだけど、あなたたちもそう。
違うカラーが集まってカラフル。
違うカルチャーをもつ同士が集まって音楽に共感する。
それってすごく楽しいと思わない?」

「昔は良かったっていうのは好きじゃないわ。
10年前は良かったではなく、10年後により良くありたい。
10年たって悪くなるんじゃなくてね。Keep love, keep in new!」
"Keep Love New"

新しいCD、スヌープ・ドッグ、ルーツととコラボした映画の宣伝も。
映画の中の曲から"Surrender"

バンドのイントロとともに客席はいっせいにスタンディング。
"Clean Up Woman"
彼女は13歳からスタートしてこの曲をヒットさせたのは17歳?
芸歴は55年位だろうか。
でも10代のベティー・ライトとは違う"Clean Up Woman"
昔は良かったんじゃなくて、確実にずっとずっと良くなってきているはず。
そこからジェームズ・ブラウンの曲へと流れ、観客は熱狂する。

"No Pain"
しっとりと歌いかけてベティは楽屋へと戻っていった。
年齢が高い人は出たり、戻ったりの手間を省いてアンコールなしが多い。
最後の曲がアンコールのつもりかな、とも思ったが、拍手は止まない。
隣の二人組は「アンコールないよね。」と席を立って帰ってしまった。
ずっと拍手が続いている。
カーテンが開き、窓の外には六本木の夜景が映る。
「本日のライヴは終了」のアナウンスが会場に流れた時だった。

楽屋口付近から歓声とひときわ大きな拍手が拡がっていく。
バンドメンバー、そしてベティーが出て来てくれたのだ。
靴はフラットシューズ、目には老眼鏡らしきメガネ。

楽屋で寛ぎかけたところ、止まない拍手をずっと聞いていて、
娘たちが「ママ、行こうよ。皆、こんなに喜んでくれているんだし。」
「じゃあ、何を歌う?」
そんな会話があったのかもしれない。

歌ってくれたのはマイケルの"Rock With You"だった。
自分の曲じゃなくて、この曲で戻ってきた彼女の心意気に感服した。
会場の皆も大喜び。
ステージを去っていくベティー・ライト、
彼女もショウの途中からどんどんのってきているのがわかった。
会場の盛り上がりとベティーの気持ちの高まりが生んだ思わぬサプライズ。

実は前々日、気が滅入るような芝居を観てしまい、それを引きづっていた。
そんな気分を一掃してくれるような爽快なステージだった。
対象は違うが同じようなことを会場で会った女性も言っていた。
先週に失望するライヴを観ただけにこれですっきりしたと。
やはりライヴパーフォーマンスが観客に与える影響は大きい。

今日は大雪。
昨晩も寒かったはずだが、良いライヴを観た後はいつも心身ともに温まる。
今日もベティのお蔭で気分は最高。

ベティ・ライト / Betty Wright(Vocals)
アッシャー・ウィリアムズ / Asher Williams(Background Vocals)
アイシャ・”ボンブシェル”・ライト / Aisha ”Bombshell" Wright(Background Vocals)
アシャーラ・ジェンキンズ / Ashaala Jenkins(Background Vocals)
エイベル・パボン / Abel Pabon(Keyboards)
チャールズ・ライト / Charles Wright(Guitar)
アンジェロ・モリス / Angelo Morris(Bass)
イグナシオ・ヌニェス / Ignacio Nunez(Percussions)
ジェラルド・ワーレン / Gerald Warren(Drums)