Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

ミュージカル「ヘアスプレー」

2009-06-05 00:00:19 | その他のライブ
6/2の初日にブロードウェイミュージカル「ヘアスプレーHAIRSPRAY」を観てきた。
新宿厚生年金会館、ずいぶん前に別のミュージカルで来たっけ。
そして最初に来たのは確か高校2年のコモドアーズの来日だったと思う。
あれから10年かぁ(ハイ、もうこの手のボケ、いい加減にします)
厚生年金会館、変っていなさ過ぎる。
まったくリニューアルとか改装した痕跡がない。

会場に入り、席を捜すがなかなか行き着かない。
どんどん前に進んでいくと、見つけた席は最前列のど真ん中。
足元は生オケが音合わせをしている。

誘ってくれたKさんに「どうやってこんな席取ったの?」
発売初日に電話しただけ、と言われる。ラッキー!

初日ということもあり、多くの芸能関係者が来場していた。
Mさんが、「あっ、○○がいるよ。見て、見て!」
と次々に教えてくれるが、日本の芸能界に疎い私は、
「ふ~ん。」と反応が鈍い。
突然、Mさん、「わぁっ、エリックベネイがいる!」
「えっ、どこ?」ダッシュしそうになった私に、
「いるわけないでしょ。」

海外の演劇は何度か理解できずに惜しい思いをしているので、
事前に映画「ヘアスプレー」でたっぷり予習。
KさんからDVDを貸してもらったのだが、2枚組みで特典映像たっぷり。
しかし、もちろん映画独自の歌、舞台版をカットした部分もある。

会場に突然、ドラッグクイーンが二人登場。
オーケストラのメンバーまで顔を乗り出し、デジカメで撮影している。
Mさんは、すかさず駆け寄ると二人の間に入り、記念撮影。
Mさんは本業は歯科医師、こんな愉快な女医さんなら、
きっと楽しく治療が受けられるだろうなぁ。

実は私も髪を盛り上げ、外巻きにカール、ヘアバンドをして、
60年代風のワンピースでコスプレをして行こうかと思っていたが、
厚生年金会館、遠いのであきらめました。
ご一緒したIさんからも
「頭を余り高く盛り上げたら、後ろの人に『前が見えません』なんて言われる」
(こういうシーンが『ヘアスプレー』中にあり)
でも、あのお姉さま達にはとてもかなわなかったから、
しないで良かった、ホッ。

舞台は60年代のボルティモア。
差別の強く残る時代。
オーディションに受かった高校生達が実際にテレビ番組に出ていた。
そのメンバーの20年後の同窓会のニュースからヒントを得た
ジョン・ウォーターズ監督が'87年に作ったカルトムービー。
そこからミュージカルが生まれ、そして2007年に新たに映画化された。

映画でも聴き込んだボルティモアのテーマソング「グッドモーニングボルティモア」
そして映画より舞台の方が、"I Can Hear The Bell"の曲、ずっと印象深い。

映画の中でミシェル・ファイファーの歌う
「ミス ボルティモア」
映画ではこの歌の印象が全体のバランスと異なるため、
監督がいくつか他の歌も用意したが、
ミシェルがどうしてもこの歌を歌いたいと主張したそう。
確かにこの曲の魅力には抗えない。

映画ではクイーン・ラティファの歌う差別に抵抗するデモシーンの曲、
"I Know Where I've Been"
舞台で、目の前で歌われるとぐっと来るものがある。
このモーター・マウス・メイベル、とても良い役だ。

"Welcome To The 60's" "You Can Stop The Beat"など、
思わず体が動き出す曲が満載。
休憩が終わるとキャストが出てきてダンスシーンの振り付け指導。
最後は小学生、中高生、若者、中高年、
来場者みんなでスタンディングで踊り終演となった。

オリジナルのウォルターズ作品は観ていないのだが、
'07の映画の「ヘアスプレー」と較べると、ミュージカルは最初の映画の影響か、
ブラックジョークが溢れている。

主役のトレーシーとその母エドナ、そしてメイベル、
ふくよかな女性3人のダンスと歌は生で観ると圧巻だ。
マイノリティーだったアフリカ系と太めの女性への賛歌。
そしてシュープリームス風の三人組の女性達の歌とダンスがクール!
曲の中にモータウンテイスト、デュエット曲では、
マービン・ゲイとタミー風の歌もある。

今では死語の二グロ、ブラック、カラードという言葉がさかんに出てくる。
ダンスホールもレストランも別、教室もプールも別、大学入学も拒否される、
こういう時代だった、差別の強い町、ボルティモア。

話は映画の方に戻るが、監督のアダム・ジャンクマンは、
Fox・tv「アメリカンダンスアイドル」でもゲスト審査員で登場している。
ダンサーから振付師そして今回の映画監督となった。

自分もユダヤ系、そしてゲイで差別を受けてきたと音声解説で話している。
トレーシー役のニッキー・ブロンスキーも背が低くて太めなことから、
侮辱を受けた事が何度もあったと話す。
監督は「アメリカは本来、多くの人種の融合する場所のはずなのにね。
でもどうして君はそんなに明るく育ったの?」と聞くと、
ニッキーは「おばあちゃんから、そういう事を言う人は、
自分に不満が合ってそれを他の人にぶつけているんだから、気にするなって。」
「そういうニッキーだからこの役がぴったりだったんだね。」と監督。

エリック・ベネイ、そしてR&Bのファンをやってきて、
アメリカのファンクラブのメンバーと交流していると、
普段は余り違いを感じることはないけれど、こういう作品を観ると、
アフリカ系の人達のアメリカにおける歴史も考えさせられた。
そしてアフリカ系に限らず、いろいろな差別についても。

笑って踊って楽しんで、超ポジティブ、
そして観る人を優しい気持ちにさせるミュージカル「ヘアスプレー」

主人公のトレーシー、母親のエドナ(映画ではジョン・トラボルタ)
そしてモーター・ハウス・メイベル(映画ではクイーンラティファ)
この3人があまりに豪快で可愛いくてカッコイイ。
見終わる頃には痩せている女性達がマイノリティーに見えてくる。