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行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

アマゾンの最低賃金15ドル(1700円)は世界を駆け巡る

2018-10-04 22:31:42 | 労働
「GAFA」(ガーファ)Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとったもので、米国株取引で寵児となっていることは誰でも知るところで、このブログでも「年金生活者マネー、GAFAとどう付き合うか」で取り上げた。その中でも今年8~9月にかけて時価総額「1兆ドル企業」が2社誕生し、1社目がApple、2社目がAmazonだ。そしてアマゾンのCEOジェフ・ベゾスはついに世界一の長者になったとのニュースも流れた。偶然かアマゾンは全米25万の非正規社員の時間給を11ドルから15ドルへと来月から引き上げると発表した。年末に雇う10万人の臨時社員も時給15ドルと発表。
 
これまで低賃金とアマゾンを攻撃してきた労組も自分達の要求15ドルがすんなりとおり、あっけにとられている。アマゾンを敵視してきた民主党サンダース上院議員は手のひらをかえすように素晴らしいと褒めちぎっている。同じ低賃金の小売り大手ウォルマートは今年11ドルに引き上げたが、アマゾンの15ドルに対抗せざるを得ない苦しい立場だ。
 
アマゾンは英国でも時給10.5ポンド(1500円)へ引き上げると発表、この米国発15ドルの流れは世界に波及する。日本では東京の最賃でも985円、日本のアマゾンはどうするのか注目される。米国でも日本でも労働不足が大きな経営ネックとなっているから、賃金支払い能力の無い企業は退場を余儀なくされる。日本で15ドルになると、フルタイマーだと年間300万円を超える水準だ。
「グローバリズムを拒否する」と言って、国連での演説が嘲笑を買ったトランプ大統領、現実はGAFAはグローバリズムの中で成長し、米国経済の牽引となっていることを理解できないようだ。
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三菱電機もブラック企業に

2018-09-28 22:40:23 | 労働
新聞各社によると、「三菱電機の男性社員5人が2014~17年、長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症したとして労災認定され、うち2人が過労自殺していたことがわかった。5人はシステムエンジニアか研究職で、このうち3人に裁量労働制が適用されていた。同社は3月、社員約1万人に適用していた裁量労働制を廃止した。 同社によると、コミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)に勤務し、裁量労働制で働いていた40歳代男性は、16年2月に自殺し、17年6月に労災認定された。また、若手のため裁量労働制が適用されていなかった名古屋製作所(名古屋市)の28歳男性も12年8月に自殺し、14年12月に労災と認定された。自殺前の数か月間の残業時間は、40歳代男性が月80時間前後、28歳男性は100時間を超えていたという。 また、三田製作所(兵庫県三田市)と本社(東京都千代田区)でも、いずれも裁量労働制で働いていた40歳代の男性が、脳梗塞こうそくやくも膜下出血を発症し、15年と17年にそれぞれ労災が認められた」
 
以前、同社に働いていた自分としては、信じられない光景だ。特に情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)の男性(33)が職場のパワハラで精神疾患を発症し、16年に労災認定され、何かおかしいと思っていた。一方2018年3月期に1億円以上の報酬を受け取った上場企業の役員が前期より72人増え、538人で、最多は三菱電機の22人というニュースで、経営幹部の熾烈な競争が覗えた。長野工場を閉鎖したり、年金を削減したり厳しい時代を労使で乗りきっただけに、取締になるだけで1億円も報酬を受けるなど三菱電機の社内文化の変化に疑問を抱いた。
 
2014年から働き盛りの社員が自殺を遂げるなど、全く社内統制が取れてなかったことが明確になった。裁量労働制を採っている社員が自殺したり、脳梗塞を起こすなど信じられない。裁量労働とは自分の裁量で働くわけだから長時間労働とは無縁だ。それが長時間労働で労災が発生するとはパワハラによる成果を執拗に求められたのではないか?早急に第三者委員会を立ち上げ、原因究明が必要だ。そして社内文化を改革する必要がある。本来なら労働組合が防波堤になるべきだったが、今や全く役立たずであることがこの数年の労災認定ではっきりした。
2人も自殺者が出た以上、社長と労組委員長は辞任すべきだろう。
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カンボジャ、ミャンマー労使紛争防止セミナー

2018-08-10 22:52:23 | 労働
国際労働財団主催のセミナーに招かれ、今、日系企業が最も注目している2カ国の労使の生の声を聞いた。詳細は国際労働財団がいずれホームページで報告すると思うので、私なりの感想を述べてみる。
カンボジャは既に繊維産業のサプライチェーンとして国際有名ブランドが活動しているが、ミャンマーはこれからで日本を含めてグローバル企業の投資の伸び率はアジアではトップクラスだ。
 
カンボジャは伝統ある労組組織もあり、労使間での紛争も経験してきており、この数年、ようやく労働法、労働組合法の理解が進み、2017年に受理した紛争事件は50件に留まった。2016年に出来た労働組合法も労使関係が良い方向に向かう切っ掛けのようだ。また、カンボジャでの大きな紛争の種は最低賃金にあった。2014年の治安部隊出動による流血事件が起きた。政府はその後、2015年より、 月128ドル→140ドル→153ドル今年は160ドルと改善してきたことも良い雰囲気作りとなった。
 
ミャンマーは民主的組合組織(CTM)ができたのが2014年であり、歴史も浅く、労使関係は手探りの状態であった。2012年に労使紛争解決法ができ、争議に入る前に仲裁委員会が4段階にわたってそれぞれあり、企業内協議会から地域の仲裁委員会、そこでも解決しないときには争議行為となるが、最終段階の中央仲裁委員会での裁定が出たら労使は従わなくてはならない。おかげでストライキは紛争解決法ができる前は300から400件だったのが10分の一になった。しかし、労組が組織してない企業では不当解雇や賃金の不払いが原因で自然発生的にストライキが発生する。これを山猫ストと呼んでいるが日本では戦後の食糧不足の時によく起きた。これは暴力が伴い解決が難しく、労組の中央組織が介入し、地道に組合を組織して行くことが重要だ。
 
日系企業の代表でイオンの人事担当がマレーシア、カンボジャ、ミャンマーの事業展開(モール)での、事例を紹介した。現地企業建設と並行して、従業員教育だけでなく、イオン労組との連携でグローバルユニオンの協力も得て組合作りを入念に行った結果、開店から良好な労使関係を築いている。労組ということも解らない途上国ではこうした努力が必要だと感じた。
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テレワーク時代への課題

2018-08-02 21:35:19 | 労働
「日立製作所は2~3年以内に、10万人規模の社員が自宅や外出先で働けるテレワーク体制を整える。国内で働く社員の過半に当たる異例の規模だ。社外の業務拠点を100カ所以上に増やすほか、情報漏洩などのリスクが少ないシステム環境を整える。通勤時間を減らし生産性を高めるほか、多様な人材確保につなげる。日立は子会社などを含め国内で17万人、世界で30万人の社員を抱える。現在、自宅など社外で働く社員は1日当たり8千~1.5万人。社内調査では9万人がこうした働き方を希望したため対応する」との報道、もちろん自社でのシステム自体を製品化し、販売することも視野に入れてのことだ。
 
働き方改革の一環で、うるさい上司や無駄な会議の無い自由に働けるテレワークが評価されだした。日立の場合、既に在宅勤務を導入しており、17年度の全社員の平均残業時間は月26.2時間と15年度比で3時間減ったという。在宅勤務が話題になったのはPCの普及に伴ってのことで、その後、サテライトオフィスへの勤務などに発展したが、日本ではもう一つ普及が遅れた。職場の飲みにケーションに支障があるとかデレワークになるのではといった揶揄もあった。最も障害になったのはセキュリティと労働時間の把握だった。
 
最近のICTの発展はめざましく、PCに記憶装置を付けないシンクライアントPC(ハードディスクがないため、データが残らない)とシンクライアントサーバを利用することにより、安全性が確保できる。在宅のPCも認証用USBキーを差して、仮想シンクライアント環境を構築できる。こうしたことでモバイルワークも可能になった。
 
もう一つの問題は結構難しい。自由に働けるということは労働時間を自主管理することで、健康を損なわない個人の体勢を確立することだ。過労死の事例を見ても、教師とか医師のような裁量性がある労働でも義務感・責任感からオーバーワークになってしまう。ATOKアトックを使用していると、ある時間になるとコーヒーカップと共に「長時間経ってます、そろそろお休みを」といったポップアップが出て来る。PCやスマホに労働時間管理のアプリを入れて、1日8時間経過したり、時間外労働時間が週10時間超えたりしたら警告を発するようなシステムが必要だ。もちろん会社や労組でもそのデータを把握し、各個人のチェックが可能となる。
テレワークを導入すると中小企業には厚生労働省から最大150万円の助成金が支給される。セキュリティ環境を整えるに使えるので普及に弾みが付くのではないだろうか
 
テレワーク協会によれば
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。※「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語
テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つ分けられます。
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人手不足の2018年度、最低賃金は隣接県との格差が問題

2018-07-26 22:58:33 | 労働

2018年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安は、26円で決着した。16、17年度の25円を上回り、上げ幅は過去最大になった。この結果、最低賃金の引き上げ率は、安倍政権の目標通り3%以上になった。ただ、目安通りに引き上げられても、19県で時給は700円台にとどまり、最高額(985円)の東京と、最低額(760円)の沖縄などとの地域格差は225円と広がったままだ。

この目安が適正か、10月の実施に向けてこれから各県の最低賃金委員会で労使がしのぎを削ることになるが、人手不足の今年、最も問題となるのは隣接県との格差だろう。人は低い県から高い隣接県への通勤を選択するからだ。東京都(985円)と神奈川の格差は2円とほとんど無いが山梨(810円)の格差は170円と大きい、以前「トンネルをこえると格差が」と表現したが、山梨県上野原あたりは八王子は通勤圏だ。また千葉(895円)は東京都心へは通勤圏だが800円台のままだ。

近畿圏では大阪(936円)と奈良(811円)や滋賀(839円)兵庫(870円)との格差が問題となろう。私はかつて奈良の学園前から堂島まで「生駒のトンネルを抜けて」通勤した経験があるが、近鉄で30分ほどの距離だ。

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司法取引は労使信頼関係を崩壊させる

2018-07-22 21:37:27 | 労働

タイの発電所事業を巡る外国公務員への贈賄事件で、東京地検特捜部は20日、大手発電機器メーカー「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS、横浜市)の元取締役ら3人を不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)で東京地裁に在宅起訴した。6月にスタートした日本版「司法取引」(協議・合意制度)が初めて適用されたケースで、特捜部は同社側との合意に基づき、法人としての同社は不起訴(起訴猶予)とした。

各紙で同じ内容が報道されているので、事実なのだろうが、会社のために不正行為を止む得ず行っても、申告により個人はお咎め無いが会社は有りというのが司法取引だと思っていたがこのケースは全く逆だ。今回は現地の社員は関与していても許可した上司が起訴された。残念ながら途上国では賄賂はまだまだ商取引のコストになっている現状を見ると、現地社員が司法取引に巻きこまれ、会社は不起訴というケースが多発する恐れがある。

[会社は国際競争の中で苦闘している社員を守ってくれる]という信頼関係が根底から崩れ、こうした司法取引は米国では当たり前でも、日本の労使関係に大きな影響を与える。司法でのコストが削減されるかもしれないが、日本企業の国際競争力にボディブローで効いてくる。

司法取引とは違うが最近の事件で日産、スバルの不正検査によるリコールが気になっていた。スバルの場合2017年10月に発覚し、吉永社長が陣頭に立って、工場出荷時の無資格検査防止を指導していたにも拘わらず、2018年6月にまた同じ無資格検査をやっていたことが明らかになり、吉永社長は引責辞任した。社長の言うことが工場レベルでは無視されたというのが理解できない。今度の司法取引で改めて日本の労使信頼関係の行く末が心配だ。

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勤労統計と役員報酬

2018-07-08 22:09:15 | 労働
 
何故賃金が上がらない

有効求人倍率は1.49倍1974年2月以来の高さでバブル期を超え、新規求人倍率は2.13倍と経営者は口を開けば人手不足と言っている。確かに数字上は100の求職者に対し求人は149人......
 

2018年5月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)は春闘の結果が入っていると思うので注目したが、現金給与総額は、一般労働者(352、273円)が前年同月比1.9%増、パートタイム労働者(97,544円)が同0.9%増だった。連合の最終春闘結果も平均賃上げ方式をとる組合が2.0%アップなので、昨年(1.9%)よりやや増しだが、政府のかけ声3%に届かず何とも言いようのない惨めさだ。上場企業の役員報酬では一億円を超えたのが530人と史上最高の人数となっているのに較べると、首をかしげざるを得ない。

かつて、米国の労組の大会に招かれた時、組合員からGEの会長は組合員の400倍も報酬をもらっている。人間の働きの差はそんなにないと意見が出ていたが、日本の会社も頭を冷やして考えるべきだ。ソフトバンクやトヨタ、セブン&アイなど、社長の何倍も報酬をもらっている副社長や役員がいる会社が続出しているがどうゆう根拠なのだろうか?社長の働きがそれほど悪いのだろうか?まして組合員から見れば一生働いても届かない金額だ。

ソフトバンク アローラ副社長64億7800万円 
セブン&アイ デビント取締役21億8700万円
ソフトバンク フィッシャー取締役20億9600万円
トヨタ ルロア副社長6億9600万円

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働き方改革には意識改革で対応

2018-07-02 21:48:45 | 労働

働き方改革関連法は29日午前の参院本会議で可決、成立した。しかし、過労死の遺族達がこぞって反対をしている中での強行成立は何を意味しているのか?また、労働者は今後どう対応していくべきか?
残業時間の上限規制といっても世界的に見ても非常識な月100時間規制ではほんとに健康が守られるか厚生労働省は大きな責任を背負った。お隣の中国では月36時間規制で、それを超えて残業させているとして、アップルのサプライチェ-ンが問題視されている。外国人労働者に100時間も時間外労働をさせたら当然国際的に問題となるだろう。

高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の導入は安倍首相が以前から狙っていたホワイトカラーイグゼンプション制だ。国会審議では年収1075万円以上の専門職というだけで、どういう職種が対象になるのか明確ではない。具体的には省令でということになるのだろうが、この法案に対する厚生労働省の自信のなさが示されている。かつての労働省では考えられないデータの不備など失態も繰り返され、経団連の圧力で出来た制度といわざるを得ない。

この高プロ制では本人の拒否権が入ったのが唯一の救いだが、「自分の健康は自分でまもる」という強い意志を持つことが必要で、これは他の労働者全体にも言える。日本人は会社のためとか、同僚に迷惑を掛けられないといった意識が強かったが、今後は働き方改革には自己の尊厳をまもるという意識改革が伴わなければならない。経団連の経営者の狙いは、生産性向上といいながら、100時間規制という常識外れの長時間労働や高プロ制の導入で、相変わらず長時間労働の罠から抜け出せないでいる。

今回の法案では正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」が唯一改革と言える。

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外国人単純労働者倍増には問題が多すぎる

2018-05-31 22:55:09 | 労働

政府が5年滞在の技能実習制度を更に5年延長し、2025年には倍増の50万人にしたいと検討しているとの報道が日経新聞1面に掲載された。(5月30日)長労働時間、低賃金といった処遇面での問題点がこれまでも指摘されてきた。実際最近は処遇面から中国人からは嫌われていると聞いた。従ってヴェトナムやその他のアジア諸国からの実習生が増加している。

外国人が働く上で日本語が最大の難関で、学力のない単純労働者は簡単に職に就けない制度になっているが、政府はその日本語の難関を緩めても増やそうとし、日本語レベル最低基準を建設や農業分野で適用しようとしている。報道によれば、日本語能力の基準は原則、日本語能力試験の「N4」とする。「N1」~「N5」の上位から4番目で「ややゆっくりとした会話がほぼ理解できる」水準だ。同試験を運営する日本国際教育支援協会によると「300時間程度の学習で到達できる」という。建設と農業は「N4まで求めない」として、さらに日本語が苦手な人でも受け入れるとし、例えば農業では「除草剤を持ってきて」という質問に該当する写真を選択できれば採用するという。

労働安全面を軽視したあまりにも乱暴な改悪で、労働災害が頻発する恐れが強い。特に建設現場では日本語がしっかり通用しないと現場の労働者全てに労災の危険性が増す。ものが落ちてくるとかヒヤリハットを瞬間に理解し合えるか疑問だ。農業といえども最近は機械化が進み、2001年6月に開催されたILO(国際労働機関)の第89回総会は、「農業における安全及び健康に関する条約(第184号)と勧告(第192号)」を採択し、労災防止と労災保険の必要性を訴えている。写真を選択するレベルで日本語合格とは驚きだ。

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働き方改革の基本の基本

2018-05-07 22:45:52 | 労働
ヤマト運輸が1年前、労使で働き方改革で扱い量を減らしてでも従業員の健康を守ろうとしたことから、残業時間の制限や裁量労働とか、高プロ(ホワイトカラーエグゼンプションの焼き直し)とか国会で議論されてきたが、労働の実態がデータ不備などで解らず。議論が上滑りになっている。
 
基本の基本がほったらかしにされているのが気になる。先ずこのブログで何回か指摘してきたが情け無いくらい前進しないのが時間外割増率の世界水準への到達だ。日本の時間外割増率は欧州に比べれば半分ぐらいでアジアでも最も低い水準、経営にとって人を新たに雇うより現在員に残業をやってもらった方がコストが安い。この悪弊を取り除くことが政府・連合・労働組合の役割だ。時間外割増率の国際比較をすると、日本は通常日25%(1か月60時間を超えるとその部分50%)休日35%、マレーシア、シンガポールは通常日50%、休日100%で以前の統治国英国と一緒、ドイツは最初の2時間25%、それ以降50%、休日は60%、韓国は通常日も休日も50%となっている。
 
一般組合員は残業時間を制限すれば収入が減ると、反応する。経営者はそこを充分知っている。現場の労働組合は実際やりづらい。時間外割増率の改善と合わせててやらないと一般組合員は納得しないだろう。
 
基本の基本では有給休暇の100%取得だ。人員補充をしないとできない労働現場も多々有る。鶏の卵ではないが100%取得が先で、アジアの国々では日系企業でさえ実現できている。売上げや扱い量を減らしてでも先ず100%取得だ。
 
生産性を上げなければと経団連は叫んでいるが、一人ひとりの従業員がその気にならなければできない。欧米の企業は今やどうしたら従業員がその気になるか腐心している。米国でも非正規社員は40%を超えることを見据え、究極の働き方は好きなときに好きな場所で働くことが最も生産性が上がるという コンセプトで生産性を上げようとしている。日本ではかつて福利厚生を充実させることに労使は努力したが、今や欧米企業に後塵を拝している。
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