行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

うなぎ・アンギラスの思い出

2013-07-29 22:23:16 | Weblog

稚魚(シラスうなぎ)が今年は不作で10年前より10倍高くなったとか土用の丑の日の前から報道され、中には大手のスーパー2社は年末に手配していたので安売りができるとか紙面は盛り上がって、食いしん坊の筆者は何となく今年もうなぎを食べなくてはと思わされた。うなぎが不足しているなどとは信じられないほど和食屋でも回転寿司でもうなぎの特売を競っている。確かに値段は高くなって、アベノミクスに貢献してる。神保町のうなぎ専門店では日本産2200円が2800円になっているし、牛丼チェーンの中国産も2枚入りは昨年は確か1000円以下が1180円になってる。

うなぎは焼きたてがうまいので、スーパーで買ってきて家で食べると固くなってうまくない。中国産でも店で食べると柔らかく、たれも美味しい。1970年代、砧に事務所があったときは昔からの冷房もないうなぎ屋があり、店先の大きなたらいにうなぎがにょろにょろしていた。朝からそれをさばいて串に刺し、昼に行くと蒸して、炭火でたれを付けながら出してくれる。においが何とも食欲をそそり、今では贅沢な天然うなぎを食べられた。

もっと前、最初の赴任地大阪でご馳走になったのが黒門市場でのまむし丼、こちらは蒸さずにそのまま焼いて出す。貧乏学生で、うなぎなど食べたことなかったから就職して初めての鰻丼は関西のまむし丼だった。出張先でのうなぎでは三島の大きな料亭でのランチ、ここのというより静岡の特徴か、たれがとろみになっていて馴染めない味だった。

外国では欧州に行くと、うなぎの燻製が良く出て来るが、しつこくて多くは食べられない。最初にスペインに行ったとき、名物と聞いて食べたのがシラスうなぎ(アンギラス)の油炒め、今考えると貴重な稚魚だけを食したのだから贅沢だった。この時に知ったのだが、欧州と中国のうなぎはアンギラス種で日本のうなぎとは種が違うという。

米国ではうなぎよりナマズが南部の名物料理だ。マスターズを開催するオーガスタカントリイー倶楽部でも名物だと、ランチだけ真似をした日本のゴルフ場でナマズフライを食べたことがある。今、このナマズをめぐって米上下議会でもめてる。外国産のナマズの衛生管理をめぐって食品薬品局、農務省、商務省の縄張り争いと、検査体制だけで2000万ドルもかけ、さらにその維持に年間70万ドルもかけてると議会が廃止を求めてる。これに対し、南部選出のナマズ族議員が中国などからの輸入を規制し、国産ナマズを守れと叫んでいる。

同じようなところに住んでいるのだから、ナマズの蒲焼きならうなぎの代替品になるのではないか、どこかの店で挑戦して見る価値があるのでは。

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TPP狂想曲

2013-07-27 18:29:13 | Weblog

マレーシアのリゾート地コタキナバルで開催されたTPPラウンド、日本が初めて交渉に参加できることから、100人の交渉団を送り込んだ。全体で600人の交渉団だから各国ともその人数に目をむいた。今回はこれまでの経過を記録した膨大な資料を提供されることから、各省庁の精鋭が世界中から集められ、先ず読み込むことが仕事だから人数は出来るだけ必要なのだろう。

これに劣らず、大デリゲーションを送り込んだのは各業界団体の代表団で、農協、医師会、などいわば日本の交渉団への圧力団体だ。交渉内容をいち早く把握したいことから出かけたのだろうが、こうした国際ラウンドではその交渉内容がその日に発表されたり、代表団からコメントが出されることなど、はじめからあり得ないことは判っていても現地に居ることが圧力になると思うのが業界団体で、まして風光明媚なリゾート地となれば我も我もと参加することになる。

一方東京では、アヒルのコマーシャルでおなじみの米国保険会社アフラックが日本郵政と提携し、アフラックのがん保険を郵便局で販売することになったと発表した。これまで執拗に日本郵政は国営企業で保険業を営業することは民業圧迫でけしからん撤退すべしと米政府と伴に主張してきたアフラックが手のひらを反すように提携した。TPPでの米国の主張を先取りした感があるが、郵政の新社長といっても化石のような経済人西室泰三社長(78歳)は安倍政権から送り込まれた人、TPP交渉と無関係とは考えられない。

アフラックの代表、チャールズ・レイク氏はついこの間まで日本郵政傘下のかんぽ生命保険ががん保険などに参入することを「民間企業との対等な競争条件とはほど遠く不公正だ」と批判してきたが、自らのがん保険販売促進のためになれば郵政のがん保険参入は不公正では無いと言うことか。
いずれにしろ、TPP交渉では何が起きても不思議ではないという事例で次は何が飛び出すのか・・・・

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富士山の入山料、是非実現を

2013-07-25 17:53:06 | Weblog

富士山が山開きして試験的に1000円の入山料を取ることになったが、あくまでも自発的な徴収だそうだ。富士山は高山だし、山頂にかけては岩山で、落石も生じやすく登山道の整備が必ず必要だ。多くの登山者が国内外から来るので、登山者の安全のためにも入山規制と同時に避難小屋やトイレ、水飲み場も必要で、いくらかの入山料を徴収しても文句を言う登山者はいないと思う。

以前、このブログで夏の嬬恋高原から次のような便りを書いた。
「トレッキングを楽しんでいる。鳥の声、谷川のせせらぎを聞き、高山植物の花を愛で、身も心も洗われるようだ。しかし、大きな課題を考える機会にもなった。山道のごみ問題やトイレの設置はこれまで百名山で提起されてきたが、地方財政の危機的状態では、基本的な山道の整備が精一杯なのだろう。今回、湿原での木道が荒れて更新されてない場面にかなり会った。危険な状態の個所もあった。
中高年を中心に登山人口はますます増える。安全の確保と財政危機を考えると入山料を取る時期になったのではないか。山の自然を愛する人は反対しないだろう」

登山道の整備は安全に直結する。湿原の木道や岩場での鎖など、壊れていたら危険だ。全て地元の管理者に負担させることは忍びない。富士山で入山料を実現すれば、人気の山や自然公園での先例となり是非実現して欲しい。

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暑さを吹き飛ばす松山、大谷の活躍

2013-07-23 15:06:28 | Weblog
全英オープンでの新人松山英樹の6位入賞は快挙で、あのウッズと同順位で並んだことでも素晴らしい。本人はパットが優勝者ミケルソンとの違いで悔しいと言っているが、奢ることなく今後の課題を挙げているところは更なる飛躍が期待できる。
ただ、マスコミやファンの性急な期待「次のメジャーで優勝を」を意識すると墓穴を掘ることになるかもしれない。

優勝者ミケルソンはキャディのマッケイと21年前から組み、毎年切磋琢磨して20回目でようやく手にいれた勝利だ。メジャーでは何度も2位を経験し涙を流した。そのくらい全英オープンの勝者になることは険しい。ミケルソンが美人の奥さんと3人の子供に祝福され喜んでる光景がテレビで撮されたが泣いてはいなかった。泣いていたのはキャディのほうで、21年前、ミケルソンの所持金は10ドルだったと語っている。

このストーリーに較べれば松山英樹は恵まれている。賞金はすでに1億円以上も稼いでいる。バックアップするスタッフも充実している。後は今のメンタリティをいかに維持していくかだろう。

大谷のオールスターでの活躍は、退屈なオールスターゲームを面白くしてくれた。大谷が直球勝負を貫いたため後に出てくる投手は直球にこだわらざるを得ず、これがかえって打者にプレッシャーをかけ、ホームランが出なかっためずらしいゲームとなった。この大谷効果はセリーグの新人3投手リレーとなり、各人の直球での勝負は見ごたえがあった。

栗山という良き監督のもと、二刀流がどうなるかこれまた楽しみだ。

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参議院選挙の投票率は危機的に低い

2013-07-21 22:57:43 | Weblog

回転木馬のように日本の首相はよく替わると外国から揶揄されるが、今回の参議院選挙で勝利した安倍内閣の寿命はどうなるのだろうか。
今夏の勝利はアベノミックスの成果?によるもので、今後先ず経済の先行きが注目される。今年一杯は復興やその予算を流用した公共投資などで景気は持つだろう。公共投資の執行率は予想以上に早く、問題は財源がなくなる来年度で、内閣参与で安倍さんのブレーンである浜田教授は消費税の実行を遅らせることを提案している。来年景気が失速すると安倍内閣も失速しかねない。

消費税増税は国際公約で、これが実現しないと、日本の国債格付けダウンと国債売り、そして更なる財政の引き締め、社会保障給付の低下を国際社会から求められことになる。

今回主要な争点として脱原発や、憲法問題をうまくすり抜けてけ来たが、参議院選挙の重しが取れ、右バネが働き憲法改定を画作しだすと9条改定に国民の多くが反対している現状では国会に大衆のデモが押しかけ、ブラジルやトルコのようなことになるかもしれない。中韓との関係悪化も加速することになる。

今夏の投票率が前回選挙より悪く、32.6%と民主主義の危機に近いことを安倍内閣は認識して対応しないと進む道を誤り、回転木馬の状態になる。

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古い友人を切り捨てたNTTドコモ

2013-07-19 22:58:08 | Weblog

NECがスマホから撤退という報道、NTTドコモの新戦略ツートップの影響によることは明らかだ。NECは日本電気時代、NTTドコモの前身電電公社とは機器メーカーと通信公社間で最も親密な関係にあった。他の機器メーカーからはその一体ぶりを日本電気公社と揶揄されるくらいであった。そしてドコモになっても携帯やスマホをNECは供給してきた。

ところがこの夏、NTTドコモはツートップ戦略と名を打ってサムソンのGALAXY S4とソニーのXperia Aに販促費を集中し、ツートップに指名された2機種の販売が大きく伸び、NECやパナソニック、富士通のスマホは反動で打撃を被り、撤退に追い込まれている。
各社のスマホにはそれぞれ特色と違いはあるが、私には古くからの友人を切り捨て何故ツートップなのか理解しかねる。古くさいと言われるが、こういう商道徳にもとる戦略が長続きするのか疑問だ。

果たして、電気通信事業者協会(TCA)が発表した携帯電話事業者別純増数を見ると、夏商戦が本格化した6月はソフトバンクモバイルが24万8100、auが23万2200の純増を記録する一方で、NTTドコモの純増数は5900のマイナスとなっている。同月の携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の利用者数を見ても、KDDIが8万5300、ソフトバンクモバイルが5万9900の増加であるのに対し、NTTドコモはなんと14万6900のマイナスと、流出傾向に歯止めはかかっていない。自分もそろそろNECか富士通のスマホにと考えていたが、ツートップ戦略に出くわし、断念したくらで、ドコモからKDDIやソフトバンクへの流出傾向は日本の消費者のドコモに対する反発と受け止められる。

 

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米国銃社会のこわさ

2013-07-17 22:27:59 | Weblog

今週に入って、米国からのトップニュースは自警団団員ジンマーマンによる黒人少年射殺に対し、無罪判決が出て、全米で抗議デモが起きていることだ。自警団は警察に頼らず自ら武装して治安に当たっている。よほど治安の悪い地域なのだろう。今回のケース、少年が暴行を加えたから射殺したという正当防衛が陪審員裁判で認められた。大統領が黒人でも、南部(裁判はフロリダ州)では依然として人種差別がはげしいことが判る。

南部と言えば、ハリケーンカトリーナでテキサス州など壊滅的打撃を受けたことは記憶に新しい。その時の状況を被災者の1人がブログで書いている。
「自分の家がどのくらい被害を受けたか見に行くため、避難先から高速道路に入ったが現地では警察によるブロックで閉鎖されていた。自分の家を見に行くといったら、危険だが、どうしても行くなら拳銃を持っていけと渡された。幸い自分の家は洪水や風の被害に遭わず無事で隣人も来ていた。ところが暴徒と見られる一団がうろついている。隣人と窓際で銃を構え、準備をしたが、幸い暴徒達は襲ってこなかった」

日本の大震災や原発被災の町村では考えられない状況だ。治安の悪化、それに対する武装した自警団、銃社会がなくならない背景が判るが、被害者の少年の人生を奪ったのも銃だ。ジンマーマンの弁護士は今後、彼が襲われる可能性もあるから銃を放せないと語っている。この事件でオバマ大統領の銃規制へのはずみを期待したい。

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米国は地球上でベストの国なのだろうか

2013-07-15 22:40:50 | Weblog

前々回のブログで米国経済のすごさを書いた。素晴らしい企業がきら星のごとく存在する。それならば米国人は最高と言って暮らしているのだろうか?

米国各種世論調査から現実を見てみよう。
年齢層18~44歳で最も多く飲んでいる薬は抗鬱剤で8人に1人は抗鬱剤を飲んでいる。この20年間で抗鬱剤の使用は400%増えている。
この10年間で中年の米国人の自殺率が急増している。特に団塊の世代は経済的な悩みで自虐傾向から鎮痛剤常用に陥っている。いまや自殺者数は自動車事故死を上回っている。1999年から2010年までに35歳から64歳の層の米国人の自殺率は3割近く増えており、10万人あたり17.6人の自殺者数で、中年の男性の自殺者は、10万人あたり27.3人と女性の8.1人をはるかに上回っている。

米国の生活保障はフードスタンプを配ることだが、なんと47百万人の米国人がフードスタンプを利用しており、6人に1人ということになる。医療扶助制度を利用している米国人は2000年以来6割増えて54百万人、身体傷害保険利用者は7割増えて9百万人になっている。
全体で見ると、1億人の米国人(3人に1人)が何らかの連邦政府の福祉厚生プログラムを受けていることになってる。

企業が栄えても、分配が上手く行かなければ国民はどうなるかという見本で、日本はまさにその岐路に立っているのではないだろうか

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アベノミックスの成果、とりあえず円安効果だが・・・

2013-07-13 23:39:07 | Weblog

日銀の異次元緩和で今年は60兆円ものお金が供給され、唯一はっきりした成果は円安だろう。1年前の1ドル70円台が100円前後になったのだからプラス、マイナスの効果は大きい。製造業で言えば、海外生産より国内生産で耐えてきた企業にとって盆と正月が1度に訪れたような効果だ。その典型例が富士重工で、特色ある車で米国市場を中心に頑張って輸出比率は7割になっている。4~6月期の営業利益は前年同期比4倍という円安効果だ。

逆に現地生産を優先させ国内生産を縮小させたメーカーは輸入製品のコスト増で円安はマイナス効果になる。猛暑でエアコンが爆発的に売れているが経済産業省の統計では日本で販売されているエアコンの半分は海外からの輸入品で、場合によっては円安のおかげで売れば売るほど赤字になる事もある。

例えばパナソニックは白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機)の半分を海外で生産している。仮に円相場が1ドル=105~107円まで下落すると「1円円安になるだけで、10億~11億円営業利益が下がるマイナス効果」(高見社長)がある。このため、同社は現状の海外生産態勢を急遽見直し、国内生産比率を3割から5割に戻すことを決めた。柔軟に国内生産比率を高められるパナソニックのような企業ばかりでなく、円安を恨めしく思っているメーカーもあることだろう。

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米国経済のすごさ

2013-07-11 23:03:45 | Weblog

企業の時価総額の世界ランキングが6月末のデータで報道された。企業価値を計る上で最も簡便な指数が時価総額で、世に認められているランキングと言っても良い。いつものことながらトップテンに大部分米国企業が占めるが、今回の場合、米企業の躍進が凄く、トップテンの内、9社を占めている。1位がエクソンモービル、2位がアップル、3位マイクロソフトで前年ベストファイブにランクインした中国企業3社は中国工商銀行が10位に残るのみとなった。特に躍進したのが前年19位のグーグルで、8位にランクインした。

製造業ではGEだけが前年の11位から7位へ躍進し、気を吐いている。日本勢のトップトヨタは前年の27位から18位へ躍進しアジア勢製造業で唯一20位以内に入っている。100位以内に入った日本企業は64位の三菱ファイナンシャルグループ、92位の日本たばこ、95位のソフトバンク、100位のNTTとなっている。欧州勢は20位以内にスイスのロッシュ、ネスレと英蘭のロイヤル・ダッチ・シェルのみだ。米国企業の圧倒的な強さが目立つ。

これを見ると世界経済での米国の強さが目立つが、その源泉は伝統的なエネルギー産業と先端を行くアップル、マイクロソフト、グーグルに代表されるソフト産業だ。1年後にはフェイスブックがランク入りするかもしれない。

同じ日に「アメリカの衰退と東アジア」といった講演会のビラが入っていたが、むしろ「アメリカの躍進と後退する東アジア」と言い換えた方が良いだろう。講師が元外務省国際情報局長というのだから経済のことは眼中にないのかもしれない。

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