最近のTPP問題、国会での議論を聞いていると、質問も、首相の答弁も全て生産者側に立った議論で、消費者のことは全く考慮されないでいるのにはうんざりする。農業を守るため例外品目を死守せよといったことに対する首相の答弁も何とか勝ち取るといったまるでTPPは環太平洋の国々特に米国との戦いのような議論に聞こえる。
TPP、FTAといった自由貿易の枠組が現在何故盛んになったのか、日本だけが何故参加率が低いのか、基本に立ち返って議論をして貰いたい。信長、秀吉が行った楽市楽座は日本国内で初めて行われた自由貿易といって良いだろう。道路を整備し、橋を架け、諸国から特産物を安土に集め、誰でもが参加できる市場を開設し、庶民の生活向上と経済の発展をねらったものだ。今やかつて無いほど世界的な規模で楽市楽座が行われている。貿易または交易は輸出入を通じて、国民の生活を向上させ、より大きな経済圏へ発展させるから自由な枠組を作ろうと努力してきた。そのおかげで私たちの生活は豊かになってきた。
しかしまだ日本の消費者は世界で一番高い米やパンを買わされている。700%(米)や250%(小麦)の関税がかかり、その税は農業関係者に補助金として使われている。消費者の負担で日本の農業を支えているのがこれまでの農政であった。それに風穴をあけようとしたのが補助金を止めて農業者の所得補償制度であった。TPP議論に合わせて消費者の負担を減らす農政に転換して貰いたい。
円安で輸入小麦の価格を9.7%上げると農水省は言っているが、それぐらいは関税を減らせば済むことで高いパンを更に高くすることはない。讃岐うどんの小麦までが豪州に依存していること自体日本農業の矛盾を現している。