東洋経済社が2020年前半の就活動向を発表した。人気50社のランクを見ると、全体的には若者の保守性が覗えるが、人気企業の労働実態とか仕事の中身とかきちんと調べているのか疑問だらけの結果と思える。女性に人気のANA,JALだが、なんとなく華やかな仕事に引きつけられているのだろう。JALが倒産した企業だということをどれだけ理解しているのだろうか?機長や副機長の飲酒問題は航空各社に起きている。何故こうした問題がこの業界で起きているのか調査したのだろうか?
もう一つ、数十年前から変わらないのは大企業好みだ。相変わらず大手銀行や証券会社がランクに入っているが、このネット時代最も困難に直面しているのが、銀行と大手証券会社だ。安定性重視は判るが、成長性をもっと重視すれば証券会社ならネット証券だし、銀行のライバルになるのはネット銀行やアマゾンや楽天などのプラットフォーマーだろう。
旅行会社も人気企業だが、これもこれからはネット旅行会社だし、従来の旅行会社は外国へ行ってみれば判るがシェアは低下している。どうしてネット旅行会社を選択しないのか理解に苦しむ。それと添乗員は一見華やかに見えるが、最も困難な仕事の一つで、苦情無しでツアーが完結するのは当たり前で、外国ツアーにはかなりのキャリアと体力勝負の面もある。
平成が終わり、この30年間の企業比較が報道されている。今朝の日経では時価総額が増えた企業ベスト10をのせている。トヨタ、キーエンス、日本電産、ソニー、任天堂がベスト5だ。就活ランク50社には一社も入っていない。
株価の倍率でいったら日本電産は70倍でトップになっている。次がキーエンスだ。日本電産に当時就職した人が自社株を100万円買っていたら今や7000万円になっている。
これからこの5社がさらに伸びるとは限らないが、就活50社より成長するだろう。さらにIT,プラットフォーマー、AI関連の企業はきら星のごとくある。どうしてそうした企業を選択しないのか、転職し、自分を磨きながら最終の仕事を見いだすというのが若者の特権だろう。クラーク博士の「少年よ大志を抱け」という格言がよみがえってきた。
2019春闘、全体賃金増が3%にも届かず不振を極めているが、経営側主体で番外編がいろいろと出てきた。背景は人材不足、特に優秀な人材を確保(採用と流出防止の二面性)しないと企業の死活問題となる危機意識がある。しかし、落とし穴もある。
先ず組合の要求(0.5%のベア)の倍の回答1%アップをして、組合員に覚悟を迫った三菱UFJ銀行、ゼロ金利下で銀行の経営は厳しい。フィンテックで競争も激しい。三菱UFJ銀全体で構造改革が必至だ。かつては大卒の大量採用の同行も採用を絞り、2023年度末まで6500人が自然減で減少する。その間、業務量の削減は3000人分となる。定型業務をITで自動化し、将来は1人あたりの負荷も軽減されるが、目先の数年は従業員減のほうが早く、負荷が掛かる。組合員に覚悟を迫った回答だ。
ユニクロのファーストリテーリングは現在21万円の大卒初任給を、2020年春入社で国内や海外の転勤がある職種については21%高い25万5千円にすると発表、採用予定の約650人のうち、国内外の転勤のある職種は数百人にのぼる見込み。19年春に入社した新卒社員の給料も見直すとのこと、20%を超える初任給アップは例がない。年功序列賃金だと全体の底上げにつながるからだ。積極的な海外展開を進めるために優秀な人材が欠かせないが、外資系企業や国内の大手商社などに学生をとられないよう、商社の初任給(三菱商事、三井物産と住友商事が19年春で25万5千円)を意識した額だ。18年春入社の初任給は20万6700円だから下なりのレベルと言えよう。
IT関連ではもっと凄いことが起きている。LINEは新卒採用で、高度な技術を持つエンジニア向けの選考コースを設けた。20年春の新卒採用では、初年度の固定年俸の最低額を700万円と、19年春の約600万円から引き上げた。通常の選考コースで採用されたエンジニアの最低額528万円に比べ、200万円近く高い。
初任給で数百万円単位で差をつけるのは保育士の転職支援を手掛けるスタートアップのネクストビート。19年の新卒社員から一律の初任給を撤廃し、資格やスキル、内定後のインターンでの実績などに応じ、年俸が420万~840万円の範囲で決まる。
勇ましい賃金増だが、落とし穴もある。処遇というのは公正でなければ全社のモラルは低下する。一部の厚遇が多数の不満を呼ぶという事例だ。ユニクロにしても一部の幹部候補生を優遇しても、大部分の非正規社員をどう処遇して行くかに気を配らないと、小売業で起きてるバイトテロみたいなこともあり得る。LINEでも、同じエンジニアで初任給を200万も差をつけるとなると、評価システムが納得性を持たないと、不満を持つとサヨナラと云うことになる。
13日に金属労協への回答が示され、今春闘の流れが判明した。一口で言うと3%にも達しない昨年マイナスαの回答で、マスコミ各社の反応は厳しい。日本の企業は450兆円とかつて無いほど内部留保を貯め込みながら、従業員への配分は渋かった。日本経済の永年の低成長は偏に実質賃金の低迷とその結果の個人消費の不振にあることは明らかで、殆ど労働組合の影響力が無い米国の最近の賃金増3.4%を見ても、日本の労働組合の力不足が目立つ。
最近では麻生財務大臣までが物価は2%上がらなくても良いと言いだしている。まさにデフレ的低成長を容認というか先進国の中で最低の成長を受け入れだした。今春闘の回答はそうした背景が色濃く反映された結果ではないかと思う。今や日本は格差社会、大企業の賃金が低迷している中、欧州のように最低賃金を5%ぐらい引き上げる政策を採るべきだ。
労働組合の委員長は最近賃金アップより生産性向上を言いだしている。高齢化社会では生産性向上がない以上成長はプラスにならない。正論を言っていると思うが、具体的にどうするか連合を中心に労働改革と共に提案する必要がある。1980年代エレクトロニクス革命の折には、大企業での工場をストップしてまで従業員教育を行い見事乗りきった。国からの各種支援もあったが主体は各企業であった。公的職業訓練は技術革新に対応できず役に立たなかった。
これからのAIやブロックチェーンなどに対応する人材をどう育成するか、転換教育をどうするか、連合をはじめ労働組合はドイツの職業訓練制度をはじめ欧州の具体的制度を研究し、政府に要求すべきだ。企業は貯め込むばかりで当てにならない。米国では貯め込んだ金を自社株買いなどに集中し、大問題となっている。
何回かこのブログで、世界でも不思議、日本の有休取得率最低!!、アジアを見ても有給は100%取得することが当然なのに。この2019年4月から、年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象に、年5日の有給休暇を確実に取得させることが企業の義務となったが、法律で定めなければ、取れない現実を変えなければ働き方改革など空念仏だ。
しかし、永年労使で有休取得率100%をめざし成果を上げた企業がある。ホンダは私が金属労協の事務局長をやっていた1995年以来努力し、殆ど毎年100%を達成してきた。法律で定めなくとも労使でやる気を出せば出来ることを証明した。しかも素晴らしいのはサプライチェーンの関連企業までがほぼ100%取得し、関連企業にしわ寄せをしてないことだ。これに負けじとトヨタも関連企業を含め、90%台を達成しており、ダイハツ、マツダなど自動車産業全体に良い影響を与えている。
他に90%台まで取得率を上げた大手上場企業はNTTグループ、コマツ、関西電力、中国電力、JR東、SCSK、東亞合成、AGC、NTNで、私の出身の電機産業は機械に分類されてるダイキンのみで、他には1社も見当たらない。有休を取得することは当然家族と過ごす時間が増えることで、心身ともに癒され、明日への活動につながる。企業業績も上がる訳で、就活や投資をする上で、このホワイトリストは参考になる。
このリストは東洋経済社から発表されている。
昭和40年代、私が就職した頃は、大方のデパートや商店は元旦はもちろん、3日まで休みだった。家電商品の初荷は5日前後、メーカーの営業所にいたので、販売店を回って形式的に軽い蛍光灯などを届け、販売店で祝い酒を振る舞われ、この日だけは酔っ払っての帰社が許された。大型店時代となると、大晦日に出荷が多くなり、伊達政宗が始めたという仙台の正月営業のごとく、デパートもショッピングモールも元旦営業が始まった。
昨今の働き方改革の号令で、今年は元旦休業するデパートや全国チェーン店が増えてきた。近所のはやっているラーメン屋は3が日休業だった。しかし、前述のごとく、昔は正月は休みだったのだから働き方改革でなく、これは働き方が元へ戻ったのではないだろうか?勘違いしてもらっては困る。
大晦日の新聞で「2億円事件」という見だしで全面広告を幸楽苑がだした。読んで笑ってしまった。大晦日の15時から元旦まで休みますという広告だが、売上げ2億円を犠牲にするという内容だ。犠牲にしても従業員の働き方改革を行うという宣言広告だ。日本の多くの経営者の感覚はこうした「休業=売上げ減」というもので、従業員が有給休暇を取りづらいのもこうした感覚が根底にあるからだ。もちろんゾゾタウンの前沢社長のように、働き方は従業員の自主性を重んじるという若い社長も出てきたので、将来は明るいと思いたい。
前掲の広告にも元旦には頑張っている社員にも「幸」せで「楽」しい時間を。と触れているが、働き方改革は従業員が「やりがいを感じ、幸せになってもらう」ことで、それにより生産性が上昇につながることを肝に銘じてもらいたい。
2012年に旅行会社の調査に基付き、日本の有給休暇取得率は世界で最低とこのブログで書き、今でもそのブログはかなり読まれている。今年ベストテンに入るくらいだ。先日同じ旅行会社エクスペディアから同種の調査結果が発表され、依然として経済大国の日本が世界で最悪という結果にがっかりした。この6年間、働き方改革という号令で政官労使一体となって取り組んできたはずだったからだ。調査全体からむしろ悪化しているとさえ思える。


私が金属労協に居た頃は、2012年のブログでも触れたように、有休消化100%を目指す運動の中で、達成した組合もあった。今はどうなっているのか判らないが、この調査を見ると、人手不足で後退しているように感じる。また、労務構成も大きく変化し、正社員が少なくなり、ラインの責任も重くなり、休暇が取りづらいということもあるだろう。依然として過労死の問題さえ起きてる企業も続出している。
ここまで、後退か進展がないとは、労使の責任は大きい。働き方改革の一丁目1番地が有給100%取得であることを認識してほしい。
2012年のブログ
https://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/24c599b0b79c8839e1c6a5dde0f397b0
政府・与党が今国会の最重要法案と位置づけてきた改正出入国管理法が8日未明の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立し、2019年4月1日に施行する。19年度から5年間に14業種で最大34万5150人の受け入れを想定となったが単純労働分野に道を開くもの安倍首相が国会答弁で何回も移民政策の変更ではないといっているが、日本にとって5世紀以来の外国人受け入れ政策となり、大きな歴史的な転換だ。
5世紀朝鮮半島で新羅により百済が滅亡され、多くの百済人が日本に渡来し、渡来人とか帰化人と云われ、日本の人口当時500万から600万の中でどのくらいの人数が判らないが、かなりの数にのぼったことは全国にある神社名や地名から事実だろう。銅、鉄の生産技術や陶器、建築など日本の発展にプラスになったことは否定できない。
今回は、労働力不足を補うための外国人受け入れで、かつて西ドイツがトルコ人労働者を受け入れたことに類似する。ベトナムや東欧の難民も含め、400万人に達している。移民達はキチンとした処遇を受け、故国に帰ることなくそれぞれの社会を築き、ドイツ社会に溶け込むことはできないでいる。今回の法律は多くの問題点特に外国人労働者の処遇についてはこれから対応するといった実にお粗末な受け入れ体勢で、国会だけでなく、自治体のしっかりとしたフォローが必要だ。
日本人はルーツをたどれば、多民族が混血してきた。外国人労働者のかなりの部分はアジア人と予想され、悠久の歴史の中で社会に受け入れ、更に混血が進むことになるという覚悟が必要だ。
パリで燃料税引き上げに抗議する1日のデモに伴い破壊や略奪が多発したことに関し、パリ市は3日、バス停など街頭設備の損壊だけで被害額は計300万~400万ユーロ(約3億8千万~約5億1千万円)に上るとの推定を明らかにした。11月24日にシャンゼリゼ大通りで起きた大規模な衝突の際の被害に比べ、3~4倍に及ぶとみている。内部が破壊されるなどした凱旋門や略奪も行われた店舗、放火された路上の車などの被害は含んでいないという。そしてついにマクロン首相は燃料税引き上げを延期
フランスのデモは最初、労組が初めても、関係ない人でも趣旨に賛同なら誰でも参加する。かつて、フランスのナショナルセンターCGTとかFOなどに訪れた時、彼らの自慢はデモでどのくらい一般人を参加させたかということで、それによって運動の評価が決まる。日本の組織された登録されたデモとはかなり違う。
今回は黄色いジャケットが誰が組織したのか今だに判らず、賛同した人がどんどん参加し、全国規模に膨れあがった。政府はとりあえず、野党と交渉してるが訳のわからない黄色い集団だけにマクロン首相は頭を痛めてることだろう。
外国人労働者の積極的な導入に舵を切る今回の出入国管理法改正、これまで技能実習生や外国人留学生のアルバイトで人で不足を何とかカバーしてきたが建築業界や農業からの圧力で政府は単純労働に技能検定制度を新たに設け、優秀な外国人労働者には家族帯同もみとめ、実質的な永住権を与えようとしている。
国会では野党からの移民政策だとの追求に安倍首相は「制限なく外国人を受け入れて国家を維持する、いわゆる移民政策はとらない」と移民でないと再三答弁している。この答弁自体,制限無く外国人を受け入れている国など無いので詭弁に過ぎない。欧米諸国は移民を制限しながらも認めている。今欧米諸国で大問題になっている難民であって、移民では無い。
移民の定義は「1年以上移住したら移民」(国連)などいろいろあると思うので、神学論争みたいなものは止めて、今の技能実習生やアルバイトの暗部(低賃金、長時間労働)を早急に改善して、ゲストワーカーとしての処遇を日本の労働法に沿って決めることがとりあえず重要だ。
そして今回の法改正の重要な点は優秀な労働者には家族帯同長期滞在を認める点にあり、既に日系ブラジル人労働者の導入でいろいろな経験をしている。子供の教育や年金など受け入れに関して多面にわたり、対策が必要なのだからそうしたことを国会で決めることだ。ことは出入国管理法の改正だけでは収まりきれない。
厚生労働省は先月23日、2018年「就労条件総合調査」結果を公表した。それによると2017年1年間の年次有給休暇の取得日数は9.3日(前年9.0日)で、取得率は51.1%(同49.4%)という結果だ。働き方改革とか大騒ぎをしている割には肝心の休みをきちんと取ってないことが明らかになった。与えられた休暇も消化せずに働いているのに長い間実質賃金は低迷している。途上国を含めて休暇を半分しか取ってない国は日本だけだ。
この調査、企業規模別にみると、有給休暇取得率は「1,000人以上」の大企業でようやく5割を超えて58.4%、「300~999人」の規模の企業では47.6%、「100~299人」の中企業で47.6%、「30~99人」の小企業だと44.3%と人手不足は労働者に重くのしかかっている。産業別では、「電気・ガス・熱供給・水道業」公共性の企業が72.9%と最も高く、「製造業」は58.4%、人手不足が深刻な「建設業」38.5%、「卸業、小売業」35.8%、そして「宿泊業、飲食サービス業」は32.5%と最も低い。時間外労働の実績がこの調査では入っていないが、おそらく有給休暇取得率の低い産業ほど時間外労働は多く、この状態では就職しようという奇特な人はいないだろうから、悪循環に陥っている。
いずれにしろ実質賃金は上がらない、有休も満足に取れないという状態で日本の勤労者は散々だ。経営者の報酬は毎年上がり、企業の内部留保は貯まる一方なのに。当たり前の権利である有給休暇を100%取ることが働き方改革の一丁目1番地だ。