行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

現代ギリシャ神話の行方

2011-09-29 22:43:30 | Weblog

ギリシャの国債をどこが買っているか日本のメディアではあまり触れられてないが、国際決済銀行のデータではほとんどが欧州諸国が保有、フランス567億ドル、ドイツ340億ドル、英国141億ドル、ポルトガル103億ドルなど欧州全体で1363億ドル(10兆円余)で、米国は73億ドル、そして日本は16億ドルといったところだ。

各国の金融機関が保有しているわけだが、フランスは民間銀行で7割近く持っているのに対し、ドイツは公的金融機関が66%保有している。ギリシャがデフォルトを宣言した場合、フランスでは大部分民間銀行が負担することになり、経営危機に落ち込む可能性がある。また、ポルトガルが結構抱え込んでいるので、ポルトガルの国債に悪影響を及ぼす可能性が出て来る。

EU各国のギリシャへの支援もフランスなど民間銀行への資本充実で安全ネットを構築するまでの時間稼ぎで、EU経済、そして世界経済へのインパクトを少なくするねらいだ。金融危機を起こさないというメッセージだが、どうなるか、新興国はリーマンショック時の時のごとく資本が国外へ逃避するのではないかと危惧している。

日本で誰がギリシャ国債を保有しているかデータがないので判らないが、結構個人が持っていて、肝を冷やしているのではないだろうか。その昔、アルゼンチンがデフォルトを宣言した時、証券会社に薦められて労働組合をはじめ民間機関が保有し、価値がゼロになったことを思い出した。アルゼンチンの労組幹部に日本の組合がひどい目にあったよといったら、あんな堕落した政府を信用するのが悪いと言われた。

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現代ギリシャの神話

2011-09-27 22:07:41 | Weblog

現代文明の発祥の地ギリシャが世界経済恐慌への鍵を握っているといった報道がされているが、なんでそうなるのか具体的な説明はないままだ。ユーロ圏を馬に例えればギリシャはしっぽのごとく小さい。普通はしっぽが動いても馬は動かない、ところが今やしっぽの動きで馬が転びそうなのだ。

事の発端は、政権が替わりよく調べたら財政赤字は4%でなく、13%だと発表してから蜂の巣を突っつく騒ぎがはじまり、ギリシャの国債は信用をなくし、いまや2年もの金利が70%、事実上破綻を来している。

ユーロはそれ以来下落の一途、本日はついに102円台、1年前よりギリシャ救済の小田原評定で何も決まらないため、市場が督促をしている。ギリシャの国債を誰が引き受けるのか定かではない。デフォルトを宣言したらギリシャ国債を有しているEUの銀行が破綻するかもしれないという恐れが流布されている。

ギリシャ内閣は、2014年までの財政再建プログラムを順守するため、月1200ユーロ(約13万円)を超える年金受給者への支給額を20%カットすることや、55歳に達する前に退職した公務員への支払いを一段と削減すると発表したが、国民は承知しない。労働者のほとんどを公務員にしたという信じられない失業対策も神話の一つだ。

年内に公務員3万人を「予備労働者」に指定し、対象者については給与を現在の60%に削減するとともに、公共部門で新たな職を探す猶予を12カ月与え、その間に職が見つからなければ解雇する。としているが労組はストライキで抵抗し、実現は難しいだろう。

ギリシャ政府報道官は「これらの選択肢は、ギリシャがその責任を果たし、ユーロそして欧州連合(EU)の中核にしっかりとどまることを望むとともに、その能力を有しているというメッセージをわれわれのパートナーや市場に送るものだ」と悲壮の覚悟を述べたが、できなければデフォルトだ。

ギリシャごときが破綻しても、世界経済への影響は大したことないと思うのだが、市場は恐れている。何が背景にあるのか?続く大国スペインかイタリアの国債が危機をむかえるのか、一人あたりGDP4500ドルの中国がイタリアの国債を買うというのもおかしな話だ。メディアの報道も表面的で掘り下げがない。この1年夢芝居のような世界経済だ。

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初秋の昭和記念公園

2011-09-25 22:04:36 | Weblog

ようやく涼しくなり、台風15号の被害も気がかりなので、久しぶりに昭和記念公園を散歩した。大きな被害はないようだが何カ所か木が倒れていた。沙羅の木が2本、根こそぎ倒れているのを見たが、この木は根が余り張らないようだ。
お彼岸の花、曼珠沙華は風でかなり倒れていたが、木陰のものは無事だった。

可哀相なのはコスモスで、東花畑のコスモスは密集したまま傾いていたので、花が隠れてしまっていた。早咲きといってもまだ5分も咲いていないので来週末が見ごろだろう。

ナンバンギセルはすすきの根元なので風の影響はなかったようだ。

こもれびの丘入口に目立たないが珍しい小さな花、カリガネソウが群生していた。

とらのお、ヤブランなど

 

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東京の田舎あきる野をミニトスカーナと呼ぶ

2011-09-24 21:35:07 | Weblog

我が家から1時間足らず、あきる野市秋留台公園付近は広大な畑が草花丘陵へと拡がり、ミニトスカーナと勝手に呼んでいる。秋川ファーマーズがその中心にあり、周囲の地産野菜を農家の名前付きで、販売している。産みたての卵や生花も売っている。それよりも東京ばなれしたのどかな景色に癒される。

ここまで来ると、御岳山をはじめ奥多摩の山が身近に感じられ、その景色を見ながら畑の真ん中にぽつりとある蕎麦「花がき」へ、手打ち蕎麦も水が良いせいか実に旨い。秋川ファーマーズから西へ徒歩5分のところだ。近所の花見のシーズンには秋留台公園が賑わうが、私はちょっと先の日ノ出町桜山公園や平井川の堤まで花見に行く。

そして、時には南に下り、武蔵増戸駅南口の「薪釜屋よしぞう」で、地産の野菜を使用したサラダやピザをいただく、ミニトスカーナにふさわしい味だ。写真のチェザーリは8500円と結構値段がはったがベローナの近郊で採れるアマローネ種の赤で、希少価値のあるすばらしい味だ。いつも混んでいるので予約をして行くが、駐車場があるので助かる。小学生の頃、ここ武蔵増戸にはキャンプや川遊びに来た記憶があるがここでピザを食べるとは夢にも思わなかった。最も当時はピザの存在すら知らなかった。

電車の場合、ミニトスカーナにはJR五日市線東秋留下車北口左へ徒歩15分

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映画「日輪の遺産」浅田次郎の想像力のすごさ

2011-09-22 21:58:23 | Weblog

私は10年ぐらい稲城市に住んでいたことがあって、舞台が稲城市立病院に隣接する米軍リクレーションセンターということもあり、小説「日輪の遺産」を読んだ。旧陸軍の弾薬庫ということは何となく聞いていたが、そこを舞台にこれだけの小説を書いた浅田の想像力には舌を巻いた。

それが映画化になり、見に行かなくてはと思いつつ、ようやく今日果たせたが、映画の世界ではそれなりに迫力があった。ポツダム宣言受諾をめぐって近衛兵が反乱を企てる場面では、当時の陸軍の思考停止で受諾を阻止しようとする緊迫した殺伐とした状況が時代背景だ。これに対し、主人公の職業軍人の堺雅人演じる真柴少佐と中村獅童演じる曹長の人間味あふれる行動で救われる。

物語はこうした一連のノンフィクションの部分にマッカァサーの財宝というフィクションを巧みにかみ合わせ、そこに悲劇の女学生勤労部隊の運命が加わる。軍事工場へかり出された勤労女子学徒の実態が今の女学生にどう映るか、私の伯母は暗い中での作業で目を悪くしたと聞いた。私のかつて職場だった三菱電機の工場にも戦中はかなりの女子勤労学徒がいたのでその模様をよく先輩から聞いていたが、映画とはいえ、こうした場面を見るのは初めてだ。

最後の場面、思考停止の軍令殺人者が生き残りの女子学生を撃とうとする瞬間、真柴少佐の居合抜きで一撃の下に倒される。非人間的な命令を下した体制へ中佐の怒りが一撃となったと考えるのは読み過ぎだろうか

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大相撲が面白い

2011-09-20 21:33:56 | Weblog

秋場所は初日から切符が余るなど不振であったが、ここへ来て満員御礼、理由は簡単面白いからだ。立役者は4人、先ず琴奨菊と稀勢の里の両関脇が元気に大関取りを競っているからだ。本日は両者が対戦し琴奨菊が勝ち、一歩先に走った。久しぶりに日本人関脇の大関取り争いで盛り上がっている。

もうひと組はグルジア出身の臥牙丸とチェコ出身の隆の山で、こちらは外国人力士だ。臥牙丸は185cm、199kgの巨漢で見てるだけで楽しくなるかつての小錦みたいだ。本日も勝って9勝1敗と日に日に強くなっている。一方の隆の山は185cm、98kgのヒョロ、新入幕ながら4勝し大健闘で、入場すると横綱以上の拍手が起こる。

昨日はこの巨漢とヒョロが対決、体重差101kgというから倍以上の差の中での相撲は大いに場内を沸かせ、スピードで翻弄しようとする隆の山を旨く捉まえて臥牙丸が勝った。これからは臥牙丸と隆の山の対決も楽しみの一つになってきた。

大相撲は事件もいろいろあったが、魁皇が引退し、大関、横綱は全て外国人に占められ、相撲協会は瀬戸際に追い詰められた。これでは遺憾という責任感が少しでも日本人関脇に刺激を与えたのだろう。琴奨菊と稀勢の里が切磋琢磨し、横綱を目指すことで大相撲も救われる。

大相撲の世界だけでなくスポーツの分野では外国人の優秀な人材が活躍し、日本のレベルを上げている。少子高齢社会の中、他の分野でも優秀な外国人人材を導入し、日本を活性化することを真剣に考える時だ。

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福島の旅、会津平野は黄金色だった

2011-09-18 22:49:39 | Weblog

喜多方の農家の赤煉瓦建造物を造れた豊かさとは何なのか考えたら、やはり基本は会津平野を埋め尽くす黄金色の稲だった。この上に会津藩は会津塗りや本郷焼など陶芸品の殖産興業を成した。

会津若松の郊外に会津藩校日新館の復元があり、子供(6歳から9歳まで)の教育に莫大な投資をしていたことが判ったが、これも財政が豊かであった証拠だろう。白虎隊は一夜にしてできたものではなくこうした教育制度があったからこそできたと理解した。この藩校は軍事教練から天文学まで網羅した全人格教育を実施していた。藩校の門前に什の掟が掲げられていた。注、子供は10人のグループに分けられそのグループを什と言った。

この日新館に、着剣し銃を片手に持った女性の絵があり、福島の友人から山本八重のことを聞いた。会津のジャンヌダルクといわれ、白虎隊に砲術訓練を施し、戊辰戦争では洋式銃で城に籠城して闘った女性で、数奇な運命を経て京都に移り、同志社大学を創設した新島襄の妻となった。NHKの再来年の大河ドラマの主人公とのことで篤姫、江と続く女性の活躍が見ものだ。

会津平野の黄金色の実りは今年の豊作を連想させるが、唯一の心配であったセシウムの汚染は喜多方も会津もないとの発表でホッとした。

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福島の旅、赤煉瓦の蔵を訪ね喜多方へ

2011-09-16 21:41:23 | Weblog

芦の牧温泉大川荘に泊まり、喜多方へ、喜多方というとラーメンだがこれは街興しでヒットした成功例だ。しかし喜多方は蔵の町の方がふさわしい。街巡りをする馬車があるというので期待していたが、観光客が少ないせいか休止中で、郊外の農村集落を訪れた。そこには先の震災でも倒壊することなく日常使用している驚きの赤煉瓦の蔵があった。

三津谷集落5件の農家にそれぞれ赤煉瓦の蔵があったが、若菜家の蔵は芸術品に近かった。明治43年に作られたものだが、1階は農作業場、2階は52畳敷きの大広間になっている。この煉瓦日干し煉瓦でなく近所の登り窯で焼かれた逸品で、陶板に近い艶を持ったものだ。明治の時代、日本には珍しい建造物で、ドイツ人技師が設計した。

下の写真は三階建てで今でも倉庫として使っている。屋根は日本瓦で大正5年に建てられた。


下は大正10年建造の味噌蔵でここでは味噌の販売もしている。

いずれも農家の納屋、土蔵という既成概念を打ち破る国指定有形文化財で当時の日本人の気概を貰って帰ってきた。
もう一つの出会いは、この農家で葡萄を販売しており、試食したところ甘くて美味しいので品種を聞いたら青森で堪能したワインの原料スチューベン種だった。この農家は代々進取の気性を持っているようだ。

http://blog.goo.ne.jp/ajimayukuo/e/457a80ba9903685f18c73ce44c49d398

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福島の温泉と厳しい現実

2011-09-14 23:18:54 | Weblog

毎年この時期、福島の友人達と旧交を暖めるため、福島の温泉に行く。今年は震災お見舞いという特別な意味もあった。新白河で友人の車に乗り込み、芦の牧温泉へ、途中の道路はまだ地割れが多く、修復中のものやまだ手がつかない箇所もあった。崖崩れの修復工事も何カ所か有り、完全復旧にはまだ時間が必要だ。

芦の牧温泉は清流を望む谷にありながら、地震の影響も少なく、先日の大雨にも拘わらず崖崩れの跡もない。岩盤に自然林がしがみついている風情で、杉の人工林のように脆くはないのだ。その清流と自然林を眺める崖淵に棚田のごとく三段になっている露天風呂があり、そこで湯浴みをしながら、福島の友人の話を聞いた。

毎日、近所の放射能を計ることが日課になっている。行政の対応やマスコミの報道に不信感を持ち、自分で確認するしかないと言いきる。テレビもニュースは見ないでドラマか映画しか見ないと語る。友人は果樹を栽培し、蜂蜜も採っているが、蜂蜜は放射能の心配も有り、今年は自家消化のみとのことで土産にリンゴと梨を用意してくれた。

その時の友人の悲しい発言が忘れられない。「遠くから親戚が見舞いに来た時、野菜をお土産に持たせる人が多いが、高速インターの入口にそうした野菜が捨てられている」

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9.11テロはイスラムのキリスト教徒への反逆???

2011-09-12 22:23:44 | Weblog

自民党の石原伸晃幹事長は10日、青森県弘前市で講演し、11日で10年を迎える米同時多発テロについて「歴史の必然として起こった出来事ではないか」と信じがたい発言をした。

具体的には「テロは産業革命から続いた西洋文明の支配、ピューリタニズムに象徴されるキリスト教支配へのイスラム圏の反逆、そして歴史の必然として起こった出来事ではないか」とし、記者団に「歴史解釈の持論を述べただけで、テロ行為を肯定したわけではない」と釈明した・・・・と報道された。

オバマ大統領は事件以来、差別されてるイスラム系米国民に最大限配慮した演説をして国民の団結を訴えた。テロリストとイスラム教を峻別するという米国民の努力に、この石原発言は最も不適切なものだ。歴史解釈でもこの間違いはどこから来たものだろうか。キリスト教とイスラム教の戦いははるか昔、1100年前後の十字軍やイベリア半島での領土争いに遡る。しかも今日、イスラム教はパキスタン、インドネシア、といったアジア圏まで拡大しており、両国はイスラム圏最大の人口でヒンズー教や仏教とは争ったがキリスト教が支配したという歴史はない。

論評に値しない失言をして大臣を首になったものもいるが、政治家特に影響力のある要人の発言には注意しすぎることはない。石原発言は宗教戦争は歴史的に避けられないような印象を与え、多宗教国家に取っては迷惑なことだ。

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