働き方改革関連法は29日午前の参院本会議で可決、成立した。しかし、過労死の遺族達がこぞって反対をしている中での強行成立は何を意味しているのか?また、労働者は今後どう対応していくべきか?
残業時間の上限規制といっても世界的に見ても非常識な月100時間規制ではほんとに健康が守られるか厚生労働省は大きな責任を背負った。お隣の中国では月36時間規制で、それを超えて残業させているとして、アップルのサプライチェ-ンが問題視されている。外国人労働者に100時間も時間外労働をさせたら当然国際的に問題となるだろう。
高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の導入は安倍首相が以前から狙っていたホワイトカラーイグゼンプション制だ。国会審議では年収1075万円以上の専門職というだけで、どういう職種が対象になるのか明確ではない。具体的には省令でということになるのだろうが、この法案に対する厚生労働省の自信のなさが示されている。かつての労働省では考えられないデータの不備など失態も繰り返され、経団連の圧力で出来た制度といわざるを得ない。
この高プロ制では本人の拒否権が入ったのが唯一の救いだが、「自分の健康は自分でまもる」という強い意志を持つことが必要で、これは他の労働者全体にも言える。日本人は会社のためとか、同僚に迷惑を掛けられないといった意識が強かったが、今後は働き方改革には自己の尊厳をまもるという意識改革が伴わなければならない。経団連の経営者の狙いは、生産性向上といいながら、100時間規制という常識外れの長時間労働や高プロ制の導入で、相変わらず長時間労働の罠から抜け出せないでいる。
今回の法案では正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」が唯一改革と言える。
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